AYAの徒然草(38)  『「テレパシー」は、「手レパシー」かもしれません。』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第38回 『「テレパシー」は、「手レパシー」かもしれません。』

一昔前に、「来てます!ハンドパワーです!!」と言いながら、テレビで超魔術を披露するマジシャンが一大ブームを巻き起こしていました。これは、超能力的な演出を加えたマジックショーでしたが、ハンドパワー自体は、私たちのような普通の人でも潜在的に持っているものなんですよ。そう、みなさんにも、私にも、ハンドパワーはあるんです。

両手のひらを 2~ 3cm の距離まで近づけます。その後、ゆっくりと離します。次にまた、両手のひらを 2~ 3cm のところまで接近させ、また、ゆっくりと離します。これを数回繰り返すと、手のひらを近づける時は反発する感覚が、離す時は引っ張られるような感覚になるはずです。人によって強弱の差はあるようですが、これが、ハンドパワーの感覚です。「気」と呼ばれるパワーなんだそうです。どうですか?みなさんも、来ましたか?
このハンドパワーによって、実際に、病気が治ったという人もいるんです。手を患部に当てて念じることで、「気」のパワーが驚異的な治癒力をもたらすこともあるそうなんですよ。すごいですよね。手から出るパワーはあなどれません。

そう言えば、病気や怪我の処置をすることを「手当てをする」と言いますよね。これは、昔から自然に行われてきた、具合の悪いところに手から出る「気」のパワーを送り込む治療法が、語源になっているんです。みなさんも、体のどこか具合が悪い時、例えば、お腹が痛い時、無意識のうちに手でお腹をさすったりしていると思います。

また、お母さんが作ってくれたおにぎりが美味しいのは、「手」で握っているからなんですよ。コンビニのおにぎりが味気ないのは、ハンドパワーが送り込まれていないからなんです。お母さんのおにぎりは、握っているうちに、お母さんの愛情と一緒に「気」のパワーも送り込まれているから美味しいのです。

それに、政治家が選挙活動の時に、一人一人と「握手」をすることにこだわるのも、ハンドパワーを活かしたいからなんです。握手をするとしないのとでは、印象が全然違うんです。握手をすると、雲の上の人だと思っていた人に親近感がわいてくるんです。

「握手」と言えば、私の知り合いに、人と会う時に必ず、元気良く「ハイ、ど~も!!」と言いながら握手をする方がいるんです。相手が日本人でも外国人でも、握手をしながらの挨拶の言葉は「ハイ、ど~も!!」なんです。私も、この方とお会いする時はいつも「ハイ、ど~も!!」と言いながら握手をします。この方にとって、「ハイ、ど~も!!」が、「こんにちは」のような 1 つの挨拶言葉になっているんです。そして、久々に会う時には、気持ちが込み上げてくるのか、この「ハイ、ど~も!!」を 3~ 4 回連発するんです。「ハイ、ど~も!!ハイ、ど~も!!ハイ、ど~も!!」というふうに。もちろん、言いながらずっと、相手の目を見て握手をし続けるんですよ。私は、最初、この挨拶がとても衝撃的で、それになんだかおかしくなってきてしまって、お腹を抱えて笑ってしまったんです。でも、この方は、至って自然に、普通にこの独特な挨拶をするんです。
「握手」は、万国共通の挨拶ですよね。例え言葉が通じない相手でも、心が通じ合える便利な挨拶です。これは、「握手」は、相手に対して敵意がないことを示すことができるからです。また、手の握り方で、相手の自分への気持ちがわかるものですよね。しっかり握ってもらうと、好意や意欲といった前向きな印象を受け、同時に、自分の中にも、相手に対する信頼感が自然とわいてきます。だから、逆に、ゆるく握られてしまうと、相手は自分に対して非好意的なんだなという印象を持ってしまうものです。

人とのつながりって、ほんのちょっとしたことがきっかけになりますよね。そのちょっとしたきっかけから良い関係を築いていく最初の一歩が、この万国共通の挨拶、「握手」だと思うんです。「ハイ、ど~も!!」の彼も、人と握手をする時に、これから先、その人と自分が良い関係を築いていけるかそうでないかがはっきりとわかると言っていたんです。つまり、彼の独特な握手の挨拶は、実は、彼にとって、相手を見る重要なセンサーになっていたというわけです。

その方から、握手の大切さを聞いてからというもの、私も、初めて会う人や久々に会う人との挨拶では、自然と握手をするようになりました。確かに、握手をすると、その人との心の垣根が低くなるような気がします。その人の心の内が伝わってくるような気がするんです。それはきっと、握手をしているほんの数秒の間に、「ハンドパワー」が、何かを送り届けているからなんですね。人は、手と手が触れ合うと、その瞬間に心と心が通い合うんです。

私が今、大切にしている人たちと、良い関係を築いてこれたのは、この「握手」が一役買ってくれているような気がしてきました。手と手が触れ合うことが、心が通い合う第一歩ということを実感しているんです。また、会って楽しいひとときを過ごした後の別れ際の「握手」が、その次に会うまでの間に、「テレパシー」を引き起こしてくれるような気がします。「そういえば、あの人、しばらく会っていないけど、どうしているかなぁ?」とか、「久々にまた会いたいなぁ。連絡を取ってみようかしら。」と思わせるような「テレパシー」です。握手が引き起こすこの「テレパシー」は、「手レパシー」と書くべきかもしれませんね。

私は、これからも、この「手レパシー」で、いろんな人と心を通わせながら、人とのつながりを大事にしていきたいと思います。そうそう、いつか、「手レパシー」で、ビビビっと来る人が現れるかも!!という期待も持ちつつ、握手で挨拶を続けて行きたいと思っています。

<佐藤 彩子>