AYAの徒然草(27)  『「香り」で生活をプロデュース!?』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第27回 『「香り」で生活をプロデュース!?』

私は、自分の部屋でよくアロマキャンドルを使います。部屋のライトを間接照明だけにして、キャンドルのともしびとアロマの香りを楽しみ、とても癒されています。私が好きな香りは、ラベンダーとカモミール。どちらの香りも、緊張感をほぐしてくれ、とてもリラックスできるんです。アロマ(アロマテラピー)とは、日本語で「芳香療法」と言います。植物の香りの成分をエッセンシャルオイルにして使用し、「嗅覚」によって人間の自然治癒力や本来の美と健康を引き出す療法です。リラックス効果をもたらす他、様々な効果があるんです。

ところで、人間の五感の中でも、「嗅覚」による刺激が脳に及ぼす影響って、他の感覚よりも大きいと思いませんか?だって、おなかが空いている時に、美味しいそうな食べ物の写真を「目で見る」よりも、美味しそうな「匂いを嗅ぐ」方がより一層食欲をそそりませんか?

だから、私は、テレビで美味しそうなすき焼きやしゃぶしゃぶ、それにカレーやラーメンなどの CM が出てくると、「美味しそ~」と思うと同時に、映像と一緒にその食べ物の「香り」が伝わってくれば(テレビのどこかから香りが出てくれば)、CM 効果が何倍にもなると思うんだけどなぁと、半分夢のようなことを考えながらつい見てしまいます。映像だけだと、次の CM が流れてくれば、すぐにそっちに気が移っていませんか?また、香り付きの CM があったら、香り無しの CM よりも、後々まで強く「記憶」に残ると思うんです。

それはきっと、嗅覚による「記憶力」がとても強いからだと思います。私は街で、懐かしい「香り」に出会うことがよくあります。その昔に好きだった男性がつけていたボディコロンと同じ香りがすると、瞬時にその時の淡い気持ちが蘇りますし、まさかと思うけど近くにいたりして!なんて思うこともあります。「嗅覚」による記憶は、まるで自分がその記憶の中の 1 シーンにいるかのような感覚に戻ると思うんです。

そんな、人間の嗅覚による「記憶力」に働きかけるために、「香り」を利用したプロモーション活動をしている映画があります。今、公開中の「パフューム」という映画の宣伝用のパンフレットは、こすると香りが出てくるようになっていました。こすったパンフレットをカバンの中に入れておくと、カバンを開ける度に良い香りがほのかにして、パンフレットの存在感をとても大きく感じました。また、街でみつけたその映画の宣伝用の看板には、ボタンを押すとバラの香りが出てくるような仕組みがなされていました。「嗅覚」に働きかけたプロモーション方法を取り入れたのは、この映画のテーマが「香り」だということが一番のきっかけだとは思いますが、でも、視覚(映像)や聴覚(音楽)だけでは訴求できないことを十分に伝えられていると思うんです。

私は、このようなプロモーション方法にだけではなくて、商品自体に「嗅覚」に働きかけるような工夫が施されたモノがもっともっとあってもいいのになぁと思うんです。

その一つ目は、「アロマ掃除機」。床のお掃除ができると同時にアロマの香りが部屋中に漂い、リラックス効果も発揮できちゃう一石二鳥の掃除機です。あらかじめ、掃除機の中に何種類かのアロマオイルを入れておくことができて、その日の気分で排気口から出てくる香りを選べるなんていう掃除機があったら、お掃除が苦手な人も(男性も?)、掃除機をかけるのが楽しくなるような気がします。

二つ目は、「匂いを伝える携帯電話」があったらいいのになぁと思います。昔は、電話は音声だけで伝達するツールでしたが、今は、メール機能も発達して、静止画はもちろん、動画も送れ、聴覚と視覚の両方を活用できる伝達ツールですよね。そこで更に一歩進んで、携帯電話で「香り」が伝わるようになったら楽しいと思いませんか?実は、こんな夢のような携帯電話の研究は数年前から進められていて、近い将来実現しそうなんですよ。
自動車で言えば、車内の芳香剤として、安価でも、たくさんの種類の中から好きな香りを選べることができたり、自分で好きなように調合できるものが市販されています。また、シトロエンでは、吹き出し口に香水をセットすることができるエアコンが付いた車が発売されているそうです。芳香剤を別に取り付ける必要がないので見栄えも良く、さりげなく「香り」を演出できるエアコンなんです。セットする香水は、香水の専門メーカーによって 9 種類の香りが用意されているそうです。さすが、香水文化の発達したフランスならではの発想ですよね。

でも、単なる車内の芳香や消臭効果のためだけの 「香り」ではなく、プラスαの機能を持たせた「香り」の活用の開発をもっと進めて欲しいなぁと思うんです。数年前の東京モーターショーでは、三菱自動車工業が、居眠り運転等を防止する技術に「香り」を活用するシステムを発表していました。エアコンから、注意力維持機能があるという柑橘系の香りが運転席に流れる仕組みになっているんです。これと同様に、長時間の運転により目が疲れてきたなぁと思うような時に、眼精疲労やリフレッシュに効くペパーミントなどの香りが吹き出し口から流れてくるなどの機能もあったら、車内でいろんなアロマ効果を発揮でき、運転者の様々な「運転疲労」を軽減させることができると思うんです。アロマテラピーは、医療ではありませんが、効果は実証されているので、楽しむだけの「香り」ではなく、「香り」に実用性を持たせたら、自動車事故の防止に役立つと思うんです。

日本人は欧米人に比べると体臭が強くないため、香水文化ってあまり根付いていないですよね。そのせいか、「嗅覚」を意識して作られたモノって少ないと思うんです。だから、もっと「嗅覚」に働きかけた商品の開発を進めれば、これまでにない効果があってヒットするんじゃないかなぁと思うんです。そして、そんな実用的な「香り」と自分の好きな「香り」で自分の生活をプロデュースできるようになったら、楽しい生活になると思いませんか?

<佐藤 彩子>