AYAの徒然草(68)  『時空を超えたボディーガード』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第68回 『時空を超えたボディーガード』

「ひたすら思い込めば必ず全てが上手くいく」と私の友達は断言するんです。と言っても、恋愛に限定した話でしたが、私の友達は自信を持ってそう言うんです。日曜の昼下がりの午後、友達と美味しいケーキを食べながら、そんな話題になりました。でも私は、そんなのウソだと思い、半信半疑で聞いていたんです。だって、恋愛は相手の気持ちがある話なのに、自分がひたすら思い込んだだけで、事を自分の持って行きたい方向に進ませることができるなんて・・・、そんなのあり得ませんよね?

しかし、彼女は確かにモテるし、私が知っている限り、彼女が振られたことはないような気がしてきて、そう思ったら、つい、「思い込むって、つまりは念じるってこと?」と質問してしまいました。すると、「うん。ひたすらね。それも強くね。イメトレとかポジティブシンキングとかそういう次元じゃなく、念力を出すのよ。体中の全細胞を集中させて念力を出すの。」と言うんです。
自分が質問したにもかかわらず、これはますます私には理解不可能だなと思い、私はケーキを食べることに集中し、その先の話も聞き流していました。
私が真剣に話を聞いていないのを察してか、別の友達が、「それってもしかすると、念力で、自分の守護霊に願望を伝えてかなえてもらう感じ?」と質問して、さらに話を変な方向へ持って行ってしまいました。すると彼女は、「そうそう、その通り。守護霊に導いてもらっている感じ。」と答えていました。
私は「守護霊」という単語を聞いた途端、少しうんざりしてきて、二つ目のケーキを頼みたい気分になりました。

彼女曰く、自分の守護霊は、自分の理想の男性像を良く知っているので、好みの男性と巡り会わせてくれる力を持っているそうなんです。だから、自分はこういう男性が好きで、こういう恋愛がしたいといつも念じて守護霊にお願いしておかないと、そういう男性が近くにいても、出会うチャンスを逃すそうなんです。彼女は私の顔を見ながらこう言うので、私は思わず、「それで、その守護霊は誰なの?」と聞いてみたんです。

彼女は、「おばあちゃん」と断言しました。「なんでわかるの?」と聞くと、「だって、私は、亡くなったおばあちゃんがいつも一緒に居てくれると思うだけで、不思議と自分は一人じゃないって気になれるんだよね。私ってほら、恋愛に関しては意外と小心者じゃない?だから、べつに特別なパワーがあるわけじゃないけど、こうやっておばあちゃんに念力で願望を伝えて、いつも応援してもらっているのかもしれない。」と言うんです。
自分の恋愛がいつも成就しているのは守護霊のおばあちゃんが見守ってくれているおかげだと言う彼女に、私はとても驚きました。彼女は、聡明で、好奇心旺盛で趣味も多く、人脈も広く、そして、性格は穏やかで、誰からも好かれるとてもステキな女性です。外見だって、いつも清楚な格好で凛としていて、話し方は物腰柔らかで、とても品を感じます。彼女はそんな女性だから、多くの男性が自然と彼女に魅力を感じているのかと思っていたら、「念力」や「守護霊」がそうさせていると言うんですから、私にはとても意外な話だったのです。と言うか、スピリチュアルトーク番組「オーラの泉」の見すぎで、その影響を受けているんじゃないかしらと思うほどです。

彼女は、好きな男性ができると、「どうかこの人も私のことを好きになりますように」と守護霊のおばあちゃんに向けて念じながら、「私も自分自身をもっともっと磨きますからどうかお願いします!」と誓っているそうなんです。
ただ単に一方的にお願いするだけじゃなく、自分にもちゃんと課題を出しているんですね。そこがエライなぁと思いながら、実は、恋愛が成就しているわけはそこにあったんじゃないかなぁと思ったんです。いつも良い結果に導かれていたのはそういうわけだったんだなと、不思議な納得感があったんです。

そして私は、彼女のそんな話を聞いているうちに、守護霊が本当に存在するのかしないのかはどうでもいいことなのかもしれないと思い始めました。大事な点はそこではないような気がしてきたのです。
「信じるものは救われる」とよく言いますよね。彼女の場合もきっとそうなんです。つまり、守護霊がいると信じて、それが自分を守ってくれていて、そして、その存在のおかげで自分の願いがかなっていると信じるだけで、その時点でもう守護霊の役目は十分なんだと思います。存在自体やそれが誰なのかがポイントなんじゃなくて、「信じること」が大切なんですね。非現実的な話かもしれませんが、時には目に見えないものを信じてみることもいいことなのかもしれません。
そして、「守護霊」は、多くは自分の先祖の誰かだと聞いたことがあります。だから、守護霊の存在を信じるということは、「私はご先祖様への感謝の気持ちを忘れてはいませんよ」というメッセージでもあると思うのです。先祖あっての自分ですから、先祖を敬う気持ちは忘れてはいけませんよね。そして、結果的には、その気持ちが、自分を守ってくれて幸せを運んでくれるんですから、こんなにいいことはありません。
さて、みなさんは、どうですか?「目に見えない誰かに守ってもらっているような気がする」と思う瞬間ってありますか?私は、そう言われると、あるかもしれないなぁと、いくつか心当たりがあります。そんな瞬間は、本当に私の守護霊が守ってくれていたのかもしれません。だとすると、「守護霊」は、時空を超えてやって来た専属ボディーガードみたいな存在ですね。私のような生活では、毎日先祖のお墓参りをすることはちょっと難しいです。
だからと言って、惰性で先祖を敬う気持ちを忘れてはいけないと思うんです。友達の話を聞いているうちに、私も、いつも自分を守ってくれているボディーガードにちゃんと感謝しないといけないなぁと思いました。今日 7月 15日は、旧暦のお盆ですね。今日は改めて、ご先祖様に感謝の気持ちを向けたいと思います。

<佐藤 彩子>