中国フラッシュニュース(9)『中国民族資本の自動車業界参…

今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第9回『中国民族資本の自動車業界参入への苦闘』
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先日、中国携帯電話メーカーの最大手である波導(Bird)社が南京汽車集団との合弁企業の解消を発表した。同社の自動車業界参入への「挑戦」は1年足らずで挫折した。

昨年以来、家電メーカーによる自動車業界への進出がブームとなっていた。
波導(Bird)のほか、エアコン大手の「美的」社が 17 億元で湖南三湘客車(バスメーカー)を、「奥克斯」社は瀋陽双馬(農業車両メーカー)をそれぞれ買収し、成長を続ける自動車業界での成功への夢を膨らませた。これらの家電メーカーの「挑戦」を精神的に支えたのは、「トヨタも紡績機械から出発してここまで成長した。日本で実現できたものは中国にもきっとできる。」という「日本の神話」であった。

しかし、現実はそんなに甘くなかった。波導(Bird)が早々に脱落したほか、「美的」や「奥克斯」も、自動車を量産する計画はなかなか進んでいない。

家電メーカーにとっては、自動車業界進出のタイミングが悪かったとも言える。2003年まで盛り上がった中国の自動車市場は、2004年に入り、急速に勢いを失ってきている。また、VW、GM、ホンダをはじめ、海外大手の自動車メーカーによる中国自動車市場の勢力図が固まりつつあり、「門外漢」の家電メーカーが割り込む余地も少なくなってきている。彼らにとって、今後も厳しい状況が続くことが予想される。

<張 浩群>