中国フラッシュニュース(20)『2004年自動車市場総点検』

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第20回『2004年自動車市場総点検』
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まだ少し気が早いが、中国の自動車業界関係者からは、既に 2004年の自動車市場を総括する議論が出て来ている。2003年、中国の自動車市場は驚異的な成長を見せ、ほとんどのメーカーが「作れば売れる」という空前の好景気を享受した。しかし、2004年になり、市場の状況は一転し、自動車市場が厳しさを増したことから、自動車メーカーの中で、大きく明暗を分ける一年となりそうである。

そこで、中国自動車市場の実態を「2004年自動車市場総点検」として以下の通り総括する。

1.失意の「ドイツ車」
VW はこれまで 20年間にわたり、中国の自動車市場をリードしてきた。2003年、中国における VW の販売台数は 70 万台に達し、圧倒的な強さを見せていた。しかし、2004年に入り、VW の販売台数シェアは徐々に下がり、6月には、ついに販売台数のトップを上海 GM に明け渡した。鳴り物入りで生産を開始した BMW も、新車販売価格値下げの波に逆らえず、9月に初めて 5 万元の値下げに踏み切ったものの、販売台数は依然低迷している。
2.市況に逆行する「日本車」「米国車」
上海 GM は優れたマーケティング能力を見せた。値下げ戦略を巧みに打出しながら市場にサプライズを与え、大幅に販売台数を伸ばし、VW から首位の座を奪った。

中国の自動車市場において後発組である日本車は、粘り強い「ポテンシャル」を見せ付けた。日本車は、さほど大きな値下げの波に飲み込まれず、着実に販売台数を伸ばした。例えば、トヨタはわずか 5000 元の値下げを実施しただけで、カローラーの好調の売れ行きをキープしている。また、日産はティアナを投入し、初めて欧米車の牙城である高級車市場へ進出した。

3.急追する韓国車
現代自動車は、昨年好調だったソナタに加え、エラント(1.6L)を投入し、値下げを効果的に繰り返しながら、大幅に販売台数を伸ばした。

4.迷いから抜け出せないフランス車
2度目の中国市場進出となるプジョーは、プジョー 307 を投入した。最初こそ好調な滑り出しを見せたものの、すぐに生産能力の不足が露呈した。その結果、目標の 15,000台には達成できず、6,000台程度に留まった。

中国自動車市場はまだまだ流動的であり、各社の戦略で明暗が大きく分かれるところである。

<張 浩群>