中国フラッシュニュース(27)『奇瑞汽車 海外進出のロード…

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

第27回『奇瑞汽車 海外進出のロードマップ』
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2005年早々、奇瑞汽車は、アメリカの自動車ディーラーである Visionary Vehicles LLC 社をパートナーに選び、2007年に 27 万台の奇瑞車をアメリカで販売する契約を結んだと発表し、業界、メディアの注目を集めた。

奇瑞汽車海外進出の「ロードマップ」は 2001年に始まった。
2001年から、奇瑞汽車はイランの SKT 社と、イランにおける奇瑞汽車の CKD 生産について交渉を続け、2003年 2月に正式契約し、生産を開始した。これは奇瑞汽車の海外進出の第一歩であった。さらにイランの CKD 生産により、奇瑞汽車はレバノンでも販売されることとなった。

その後、2004年 11月、奇瑞汽車はマレーシアの ALADO 社と、CKD 生産及び完成車輸出についての合意をしており、2004年年末までに、すでに小型車 QQの輸出を始めている。

また、奇瑞汽車は、カンボジア、ベトナムなど他の東南アジア地域にも強い興味を示している。

しかし、奇瑞汽車のアメリカ進出に、以下の3点から疑問を示す声が多い。

(1)昨年の生産及び販売台数が 10 万台、その内、輸出台数が8千台である奇瑞汽車が 2年後にアメリカだけで年間 27 万台の販売目標としていること

(2)環境・安全基準を継続的にクリアする必要が有り、これらの基準をクリアする為の開発コストの増加が危惧されること。

(3)Visionary Vehicles社は25万台の販売を支えるディーラーを250店舗開設することとしている。250 店というのは、アメリカでのAudiのディーラー数とほぼ同等であり、この計画自体達成が難しいと思われること。
また、仮に 250 店舗開設したとしても1店舗で 1,000台販売する計算になるが、現在アメリカで 1,000台以上の販売台数を記録しているのは、トヨタ、ホンダだけであることを考慮すれば厳しいと言わざるを得ない。

また、Visionary Vehicles LLC 社は以前にも低価額車というコンセプトでYugo 車を輸入し、失敗している経緯が有り、今回も同様の結果になるのではないか、という危惧もある。

<張 浩群>