中国フラッシュニュース(40)『「三国志」の様子を呈する大型トラック勢力図』

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

———————————————————–

第40回『「三国志」の様子を呈する大型トラック勢力図』

2004年、各セグメントが不振に陥り出した中国自動車市場の中で、大型トラック(14 トン以上)だけが急成長を見せていた。統計によると、大型トラックの販売台数は 37 万台に達し、前年比 38.7% 増となった。更に 2005年の販売台数は 40 万台の大台に乗せると見られている。

中国の大型トラック市場を巡り、ベンツ、ボルボ、ルノーなどの海外大手メーカーに加え、第一汽車、東風汽車などの国内勢も依然として勢力を誇っており、激しい競争が展開されており、さながら「三国志」の様子を呈している。

まず、ボルボであるが、中国重汽、一汽、ボルボの三社による大型ディーゼルエンジン(9~ 13L)の合弁生産に合意し、更に中国重汽との間で、合弁会社を設立し、ボルボブランドの完成車を生産することにも合意した。

続いて、ルノーであるが、まず東風汽車との間で、エンジン製造の協力関係を経て 2004年に両社の合弁会社であるルノートラック(上海)有限公司を設立した。中国政府の認可を取得後、2006年に 3.6 万台、2010年に 5 万台の大型トラックを生産する計画である。

そして、ベンツであるが、2003年 9月、北京汽車と結んだ包括協力のフレームワークのなか、北京福田汽車と商用車に関する内容も含まれているが、まだ実質的には進捗が聞かれない。

世界の列強メーカーを前に、中国系メーカー各社は「海外メーカーに比べ、乗用車ほど力の差は大きくない」と一定の自信を見せている。実際、現時点では、一汽、東風のトップ 2 社が、中国の大型トラック市場の 80 %を握っている。

また、現時点では、中国系メーカーが、価格面において、依然として圧倒的な優勢を確保している。輸入トラックが平均 100 万元を超え、合弁企業生産のトラックでも平均 70-80 万元となっているのに対し、中国系メーカーのトラックは平均 30-40 万元で販売されている。ただし、中国系メーカーの弱点は、積載量、パワーなどの性能面において、海外メーカーよりも劣っていることが挙げられる。細分化が進む現在の中国市場では、外国メーカーにも大きなチャンスがあると考えられる。

<張 浩群>