中国フラッシュニュース(48) 『「自動車産業政策」見直し作業が始まる』 

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

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第 48 回『「自動車産業政策」見直し作業が始まる』

中国自動車業界における憲法とも呼ばれる「自動車産業政策」が公表されてから一年が経った。国家発展改革委員会産業政策司(局)は、今年 6月と 7月に、国務院発展研究センター、中国汽車工業協会、中国汽車工程学会(SAE-CHINA)、中国汽車技術研究センターの専門家、第一汽車・東風汽車・上海汽車など主要メーカーの代表を招集し、「我が国自動車産業長期発展トレンドおよび対策研究会」と題する会議を行った。その実態は、「自動車産業政策」の見直し作業を開始したものと言える。

2004年 6月に公表された「自動車産業政策」の評判は芳しくない。多くの具体策が未だに公表されておらず、自動車業界内外の多数の企業から不満が噴出している。特に、「税制優遇」政策を巡り、中央政府、地方政府、メーカーの三者の間で、激しい攻防戦が繰り広げられており、未だに妥協点が見出せずにいる。また、政府による「自主開発・自主ブランド育成」への具体的な優遇策も実施されないままである。

今回の見直し作業では、「我が国自動車産業の自主開発、自主ブランド育成の措置に関する研究」、「小型車の見通しと措置に関する研究」、「自動車産業構造転換に関する研究」など 8 つの課題を設定し、招集したメンバー間で議論されることになっている。これらの「研究」結果は今年の第四四半期中の完成が求められており、来年に予想されている「自動車産業政策」の改定案の基礎資料になると見られている。

各メンバーが自己の利益の確保に注力するだけでなく、建設的な議論が行われ、透明性の高い政策改定案に繋がることを願う。

<張 浩群>