中国フラッシュニュース(68)『2006年中国自動車市場の展望』

アップダウンを繰り返しながらも、今後数年以内に日本を上回るとされる中国自動車市場。

住商アビーム自動車総研の提携先であり、中国自動車業界に精通したコンサルティング会社オートビジョン有限公司の総経理である張浩群が、中国自動車業界のホットな話題をお伝えするコーナーです。

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第68回『2006年中国自動車市場の展望』

2005年の中国自動車市場は、販売台数が約 590 万台、前年比 12% というまずまずの結果となった。そこで、2006年の中国自動車市場への展望について、中国国内の専門家・評論家の見解をまとめてみた。

1.市場規模
2006年の市場規模は、2005年に比べ 11% 程度伸び、640 万台に達すると見ら れている。このうち、乗用車(MPV、SUV を含む)は 360 万台(2005年比 16 % 増)、商用車は 180 万台(同 4% 増)となる見通しである。

2.自動車産業の構造変化
現在の中国の自動車産業の構造変化を促すであろう外部環境、内部要因についていくつか紹介する。

1)過剰投資
米国の著名なアナリストの分析によると、2005年の中国の自動車メーカーの平均稼働率は 76% に低下しているという。現在、多くのメーカーが増産減益という状態に陥っている。
更に、各メーカーの設備投資計画を集計すると、2010年までに自動車メーカー各社の生産能力の合計は 20 百万台に膨らむと見られている。これは、国内市場予想規模より 10 百万台も多いため、稼働率の低下は免れられないと考えられる。

2)エネルギー問題
中国では、自動車によるエネルギーの消費が急激に増加している。2020年の自動車による原油消費は、2005年の 2 倍に増加すると予想されている。
政府は、省エネ対策の一環として、小型車使用の奨励、排気量に応じた消費税の引き上げなど、一連の対策を打ち出し始めている。
エネルギー問題は、各自動車メーカーにとっても無視できない大きな環境要因となりつつある。

3)自動車輸出
中国からの自動車輸出が本格化しつつある。現在、その尖兵役を果たしているのは中国民族系自動車メーカーである。
中国自動車メーカーの海外輸出のロードマップを見てみると、大きく三段階に分類できる。第一段階はアフリカ、中米・南米など、第二段階はロシア、中東などである。そして、第三段階として、一部のメーカーは、先進市場である北米、欧州への輸出を計画し始めている。
2006年、中国からの自動車輸出は確実に増える見通しである。

<張 浩群>