中国ビジネスの達人(16)『合弁会社の経営会議の意義とは?…

今や自動車業界にとって避けて通れないテーマの一つである中国進出。

住商アビーム自動車総研のアドバイザーであり、過去 15年の中国駐在・ビジネス経験を経て現在も浙江省杭州にある日産ディーゼルの製造会社に出向中の三木辰也が、中国進出に携わる方々に対して中国ビジネスのヒントを伝授するコーナーです。

第16回 『合弁会社の経営会議の意義とは?』
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経営会議というと何か重々しく聞こえるかも知れませんが、日本でも一定規模の会社なら通常設置されており、予算、人事、大きな問題等を討議し、経営方針を取り決めますが、中国でも同様の会議は執り行われます。

規模の小さな会社かつ1社独資の公司では社長(中国では総経理)が会長(同董事長)を兼務し、多くの意思決定を独自で行うこともありうりますが、合弁会社になるとそうは行かず、日本側と中国側の意見交流の場にもなる、大切な会議となります。

特に人事、労働条件、待遇問題は組合(中国では工会という)とも関連し、法律や慣習が日本とは異なる点もあり、慎重に対応する必要があり、軽視せず、中国側の経営者と十分に討議した上で意思決定すべきと考えます。

販売政策、予算、業務上の重要事項を討議するのは当然ですが、中国側が重要視するような事項(例えば、中国特有の節句の休暇や地方政府、役所との付き合い等)についても経営会議でも討議する場合があります。

経営会議は、各部門に決定事項を徹底させ、会社方針と業務にギャップを生じさせないよう、意思統一を図る意味でも重要な決定機関ですが、文化の違う国、会社の人が集まる合弁企業ではお互いの理解の場であり、相互の意識、認識、考え方を修正する機会となり、日本の企業での経営会議以上の意味合いが存在します。

<三木 辰也>