中国ビジネスの達人(14)『自社の製品なのに自社で販売でき…

今や自動車業界にとって避けて通れないテーマの一つである中国進出。
住商アビーム自動車総研のアドバイザーであり、過去 15年の中国駐在・ビジネス経験を経て現在も浙江省杭州にある日産ディーゼルの製造会社に出向中の三木辰也が、中国進出に携わる方々に対して中国ビジネスのヒントを伝授するコーナーです。

第14回 『自社の製品なのに自社で販売できないってどういうこと?』
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今回は販売についての話しです。

中国に進出してきている企業の販売形態は輸出主体、国内販売主体、輸出及び国内販売平行に分けることが出来ます。中国政府自身は輸出を奨励しており、輸出には増値税還付の問題がありますが、輸出制限品や禁止品を除いて、ほぼ自由に輸出することが可能です。
では、国内販売はどうでしょうか?

WTO 加盟後、徐々に国内販売の制限が緩和されているものの、卸売りや小売の部分については、国内の業者を保護する形で卸売りや小売の販社設立は制限されています。

自社製品が最終製品の場合は従来からある国営の公司を保護し、雇用を確保するために、販売には種々制限を設け、例えば、自動車の販売について、合弁会社には自動車専用の領収書(中国語では発票)の発行をさせない、結果として自社製品を自社にて最終顧客に販売できないような仕組みを作り上げているのです。

他方、一般的に部品や素材を販売する場合、客先は一般消費者ではなく、直接メーカーへの納入が多いことから制限は少ないようです。

ただし、WTO 多国間協議で卸売りや小売も 2005年末までに完全開放を中国政府が約束していることに伴い、2004年 4月には「外商投資商業領域管理弁法」(外国企業の商業分野への投資の管理法)が公布され、6月から施行されました。

これには、自動車の小売については除外されてはいますが、

・外国企業の資格要件がなくなり、最低登録資本は中国資本の企業の規定と同じになる。
・2004年 12月 11日以降、外国企業は独資でも商業会社を設立することが可能になる。(一部除外項目あり。)
・許可地域制限についても、卸売りは 2004年 6月 1日以降、小売は 2004年 12月 11日以降、制限がなくなる。

といった内容が盛り込まれています。

自動車の小売についても、2003年 4月に発表された「汽車品牌専売管理弁法」(ブランド専売法)が 2005年 1月の公布に向けて、業界関係者からの聴取が進められています。

いずれにしても、自由化を含めた体制整備は進められており、独資での卸売りや小売に参入することを考えている場合には、2年後にはとの期待を持って、準備をするべきかと考えます。

<三木 辰也>