広州ホンダ、「アコード(雅閣)」を全面的に値下げ、最大で…

◆広州ホンダ、「アコード(雅閣)」を全面的に値下げ、最大で1.2万元値下げ
2カ月前にはバックオーダーを抱え、プレミア価格の上乗せもあったが…
<2004年6月28日号掲載記事>

◆中国の広州本田汽車、海外拠点で初めて日産1000台規模の生産ラインを確立
1999年3月から生産を始めてから6年目での達成

<2004年7月01日号掲載記事>
——————————————————————————–

ホンダの中国合弁、広州本田汽車(広州ホンダ)は 29日、日産 1000台体制を確立した。1ラインで日産 1000台規模の工場は世界の自動車業界でも最大級で、中国では初めてとのことである。

一方、数カ所の自動車市場では 27日、広州ホンダの「アコード」が全面的に値下げされた。2 カ月前には予約待ちをしないでアコードの現物を購入するには、数万元の上乗せが必要だったが、現在、北京の消費者向けに販売されている広州ホンダの数車種は、すぐに現物が手に入るだけでなく、販売ディーラーが値下げによる販売促進活動を展開している。

今回の値下げに関して、あるアナリストは「広州ホンダの価格は国内自動車市場の価格体系の最後の防衛ラインだった。広州ホンダは国内自動車市場の価格体系における模範的企業で、その値下げは現行の価格体系がまもなく崩壊することを意味する。市場全体で一斉に値下げが行われる可能性がある」とやや悲観的なコメントを発している。

だが、要は、これまで需要と供給のバランスに著しく差があったが、今回の生産能力増強により、需給バランスが多少是正されることが予測され、それがアコードの値下げという形で表れたということである。

需要が供給を上回っていれば、値上げや価格上乗せ販売になり、逆に供給が需要に対応してくれば値下げ販売になるというのは至極当たり前のことであり、ホンダ自身も値下げをある程度予測した上で、今回の生産能力増強を選択したものと思われる。

ホンダが上記のような選択をしたのにはいくつかの背景があると思われる。

まず、ホンダ自身が現在の中国における乗用車の価格体系は適正ではないと考えていたこと。自身が行なわなくとも他社の生産能力増強により遅かれ早かれ需給バランスが是正され、乗用車の価格体系は適正なものになると予想していたものと思われる。

そして、そういった予測される他社の動きに先んじて、ホンダ自身がアクションを起こす必要性があったこと。というのも、アコードにプレミアムがついていたからといってホンダ自身がプレミアムブランドというわけではないからである。そうなると、まだまだ成熟しきっておらず拡大を続ける中国マーケットでのシェア競争に乗り遅れるわけにはいかない。

以上のような背景を受け、生産能力の増強の選択が為されたと思われるが、但し、選択をした以上、今後満たさなければいけない要件が出てくるのも事実である。

まずは、販売能力の強化である。生産能力の増強により販売できない分は、その分在庫としてストックされてしまうことになるため、ディーラー網、サービス網等を強化し、文字通り売り切らなければならない。

但し、売り切るといっても、他社との値下げ競争に完全に巻き込まれるのは避ける必要がある。その意味では、現在中国において一定の評価がなされているホンダブランドを販売チャネルへの教育、適切なプロモーション等により維持、強化していく活動が求められる。

今後のホンダの中国における販売施策のニュースを待ちたいところである。

<秋山 喬>