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コラム

新車のネット通販について考える

◆中国・吉利汽車、新車のネット通販でアリババと提携。早ければ来年から

<2010年09月14日号掲載記事>

◆中国のネット通販最大手「淘宝網 (タオバオ)」でベンツ 200台が 210分で完売

<2010年09月15日号掲載記事>

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【中国における新車のネット通販】

先週、中国で新車のネット通販に関する記事が二件あった。

一件は、吉利汽車が、電子商取引のアリババと提携し、インターネットで新車を購入できる取り組みを来年にも開始するという記事である。

開始当初は「熊猫(パンダ)」と「帝豪(エンペラーグランド)」の 2 車種が対象となるが、「熊猫」は既存の販売店では取り扱わないインターネット限定の特別仕様車が投入される予定である。また、内装などのオーダーメイドが可能となっている。

購入はインターネット上で行うが、購入の前段階である試乗や、購入後の整備などは既存の販売店で受けられる仕組みとなっている。

もう一件は、ダイムラーが「スマート」をネット通販サイト「淘宝網 (タオバオ)」でギャザリング(共同購入)方式により販売したという記事である。

ギャザリング方式は購入希望者が増えれば増えるほど、安く購入できるシステムで、「スマート」の売り出し価格は、当初、17 万 6 千元(約 220 万円)であったが、最終価格は 13 万 5 千元(約 169 万円)であったという。

予定していた 200台を完売するのに要した時間は 3時間半とのことである。ちなみにネット通販サイトを運営しているタオバオの親会社は、前述した吉利汽車との提携先のアリババである。

【自動車販売におけるインターネットの活用状況】

自動車販売でインターネットの活用が見られるのは、主として、新車や在庫車両の情報提供・販売促進や見積もり依頼の仲介など、購入に至る前段の領域である。最近では、mixi など SNS (ソーシャルネットワークサービス)を、新型車の認知向上や購入後のタッチポイントとして活用する動きも見られる。

しかし、前述した中国の取り組みのように、インターネットで購入まで完結する事例はあまりない。

その理由としては、顧客の側から見て、自動車が、高い安全性が求められる商品であること、嗜好性の高い商品であること、高額な商品であることなどから、自分の目で見て・触れて確かめたいということが考えられる。また、ローンや保険など付帯サービスの契約や、登録関連の手続きも考えると煩雑であることなどが考えられる。

加えて、事業者側の事情として、既存の販売店との兼ね合いが考えられる。例えば、自動車メーカーが新車のネット通販を行うと、既存の販売店とのテリトリの問題を引き起こすことや販売店の新車収益にマイナス影響を与えることなどが想定されるからである。

【インターネットで購入まで完結する販売形態の進展可能性】

中国において、インターネットで購入まで完結する販売が進展する可能性として、まず、顧客がインターネットで商品を購入することに慣れていることが挙げられる。中国の BtoC ショッピングサイトの市場は年々拡大しており、2010年の見込みで 200 億元(2 千 5 百億円)規模になるとも言われている。

また、各メーカーやブランドにより異なるため一概には言えないが、既存の販売店網は、先進国のように全国津々浦々まで構築されていない状況であり、販売店との調整も相対的にはし易いかもしれない。

例えば、コスト優位を打ち出していく施策の一つとして、低価格ブランドの立ち上げや車種を限定するという形で、インターネット販売を活用することが考えられるのではないだろうか。

インターネットの浸透度合いや販売網の構築状況にもよるが、中国以外の新興国でも展開できる可能性があるかもしれない。

先進国においても活用の可能性があるのではないだろうか。日本では、中古車ではあるが、ガリバーがインターネットで購入まで完了する取り組みを行っている。また、同社では顧客の不安を取り除くために、納車後一ヶ月間は返品可能などのサービスも展開している。

商品としては、一物一価と言われる中古車より、新車の方が取り組み易いとも考えられ、新車でも、前述した既存の販売店との兼ね合いはあるが、販売に関わる人件費等のコスト低減策として取り組む余地があるのではないだろうか。

また、コスト低減以外でも、付加価値向上による優位性を打ち出していく施策の一つとして、例えば、嗜好性の高い車種に限定し、インターネットを活用したオーダーメイドの発注に取り組むことも考えられないだろうか。

【商品やその他の施策と一貫性を保ちながら訴求する】

インターネットで購入まで完結する販売形態は、主流にはならないかもしれないが、他社・他ブランドとの差別化による優位性の確立に繋がる要素となり得るのではないだろうか。

単にインターネットを活用して販売チャネルを拡充するというニュアンスではなく、商品やその他の販売施策と一貫性を保ちながら、顧客に訴求していくことが重要になるだろう。

インターネットの活用は、コストの優位性と付加価値向上による優位性の両面から、今後も検討していくべきテーマの一つだと考える。

<宝来(加藤) 啓>

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