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コラム

二輪車における日本メーカーの国内輸入状況

◆11月の輸入車販売、34.3%増 タイ産「マーチ」が押し上げ

<2010年12月06日号掲載記事>

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【11月の輸入車販売】

11月の国内市場全体の販売台数は 324 千台と前年比で約 3 割減少する中で、輸入車の販売台数は 19 千台と前年比で約 3 割増加した。

この増加の背景には、タイで生産し日本に輸入している「マーチ」が、当然ながら、輸入車の台数としてカウントされていることが挙げられる。

輸入車全体の販売台数から日産の台数(ほぼ「マーチ」と想定される)を除いてみると、14 千台であり、前年と同水準である。

輸入車販売はエコカー補助金制度終了の反動が小さく前年と同水準を保った上に、「マーチ」の台数が加わったと捉えられる。

【「マーチ」の影響と今後、同様の車種が増加する可能性】

実際に、「マーチ」が発売された 7月以前とそれ以降の輸入車の販売台数は以下のようになっており、7月以降に日産の台数が急増し、その影響で輸入車販売台数も増加している。

輸入車販売台数 前年比 内)日産 前年比(日産除く)
1~6月月次平均 16,214台 112% 11台 112%
7月 21,683台 156% 5,514台 117%
8月 19,718台 174% 4,729台 133%
9月 30,004台 145% 6,605台 113%
10月 14,766台 130% 2,968台 104%
11月 19,052台 134% 4,243台 104%

ブランド別に見ると「マーチ」が発売される前の 1月~ 6月は VW がトップであったが、7月以降は 5 ヶ月連続で日産がトップである。

三菱自動車がタイを小型車の輸出基地とし日本などへ輸出する計画を発表しているが、今後、グローバルでの生産体制見直しや低価格車を開発・販売していく一環として、「マーチ」に限らず、海外で生産し日本に輸入する車種が増えていく可能性があるのではないだろうか。

【二輪車における日本メーカーの輸入台数】

実は、二輪車業界では、以前から海外で生産し日本に輸入する取り組みが進んでいる。

例えば、ホンダの原付 1 種(50cc 以下)の「トゥデイ」は、2002年の発売当初から、日本で研究・開発、アジア諸国から部品を調達、中国で生産を行うという体制になっている。

他に、原付 1 種ではホンダの「ディオ」や、ヤマハの「ジョグ」、「ビーノ」など、原付 2 種(51cc~ 125cc)ではホンダの「PCX」など、小型 2 輪(250cc以上)ではカワサキの「Ninja400R」なども海外で生産し日本に輸入している。

こうした車種は全体として、どれくらいの台数があるのだろうか。四輪車と二輪車では統計の基準が異なるため一概には言えないが、概観として状況を見てみたい。

国内新車販売の状況比較(2009年)

四輪車 二輪車(全体) 二輪車(50cc以下)
a. 全需 4,609千台 434千台 *1 256千台 *1
b. 内)輸入台数 178千台 367千台 *2 172千台 *2
c. 輸入比率(b÷a) 10% 84% 67%
d. 内)日本メーカー輸入  17千台 n.a      n.a
e. 日本メーカー輸入比率 0.4% n.a      n.a
(d÷a)

*1:251cc 以上は登録台数、250cc 以下は国内出荷台数(販売店の在庫なども含まれる)
*2:メーカーやインポーターの在庫、新車以外なども含まれる
(出典):自販連、輸入組合、世界二輪車概況

本来、日本メーカーが海外で生産し輸入販売しているケースを比較するためには、e.日本メーカー輸入比率を見るのがよいと考えるが(四輪車では 0.4 %)、ここでは二輪車における同ケースの比較対象として、50cc 以下の c.輸入比率 67 %に着目したい。

というのも、50cc 以下のマーケットがあるのは日本以外は稀と言われ、ハーレーダビッドソンや BMW など外国メーカーが参入しているのは 51cc 以上のクラスがメインだと思われる。「Goo Bike」の車両紹介ページなどでも、50cc 以下の外国メーカー車種はハスクバーナの「CR50」など一部と見られる。

50cc 以下の二輪車市場は日本メーカーが主流であり、輸入台数の多くも日本メーカーのものと捉えられないだろうか。そうすると、50cc 以下では、販売台数の 60 %程度は日本メーカーが海外で生産し輸入している台数と捉えられる(輸入台数に含まれるメーカー在庫や中古車など精査の必要はある)。

【海外への生産移管】

前述したように、四輪車でも、今後、グローバルでの生産体制見直しや低価格車を開発・販売していく一環として、「マーチ」のように海外で生産し日本に輸入するケースが増えていく可能性が考えられる。

例えば、小型車セグメントで価格志向の顧客が増え、コスト競争力を求めて海外へ生産移管が進み、二輪車の原付 1 種(50cc 以下)で見たような、需要の半分以上は海外で生産し日本で輸入販売する状況もあるかもしれない。

一方で、海外へ生産を移管していくだけでは国内生産が減少し、国内雇用の減少に繋がるという問題がある。国内生産と海外生産の役割・位置づけを明確にし、上記のような問題との兼ね合いを考慮しながら、検討していく必要があるだろう。

<宝来(加藤) 啓>

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