トヨタとダイハツ、国内で初めて商品企画段階から共同開発

◆トヨタとダイハツ、国内で初めて商品企画段階から共同開発した新型車発売

「ストーリア」「デュエット」の後継車で、トヨタは『パッソ』、ダイハツは『ブーン』の名称で販売へ。「ヴィッツ」より全長は45mm短いがホイールベースは70mm長い3595mm。全幅1665mm、全高1535mm。エンジンは1300ccの4気筒と新開発の1000cc3気筒。月販目標はパッソ7000台、ブーン1500台。94万5000~130万2000円。ダイハツの工場で生産する。『強さと可愛らしさが融合した「イカツかわいい」エクステリアデザイン』を採用。『PASSO』はイタリア語で「ステップ、足音」の意。『BOON』は英語で「愉快な」の意

「中国やインドなどで今後、小さい車の販売増が期待できるので、ダイハツとの取り組みを強化したい」と2社共同での新車発表会見で張トヨタ社長。

<2004年6月7日号掲載記事>
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先代のトヨタ「デュエット」は、トヨタが小型車の商品力を強化するためにダイハツが製造・販売していた「ストーリア」を、トヨタブランドでも販売していたものだが、今回は、商品企画段階から両社が共同開発した、国内市場初の車だという。トヨタ「パッソ」が月産7千台、ダイハツ「ブーン」が同1.5千台の計画。
車体、排気量は軽自動車を1サイズ上回ってはいるが、100万円を切る価格帯は、軽自動車ユーザーの取り込みを狙っている。
国内市場では、昨年582万台販売されたが、このうち約1/3にあたる180万台が軽自動車である。トヨタの昨年の国内市場シェアは以下の通りであり、国内でのシェア向上のためには、軽自動車ユーザーの攻略は必須と思われる。

乗用車:           44.4%
トラック・バス:   41.5%
軽自動車:        29.5%

※ダイハツ、日野を含む。 資料:マークラインズ

今回の共同開発車にはもう一つの狙いがある。海外、特に欧州市場の攻略である。
ダイハツは「ブーン」を年内に欧州に輸出する予定である。
一方、トヨタは、チェコにある仏PSA(プジョーシトロエングループ)との合弁工場で、「B0」(ビー・ゼロ)という小型車を2005年より製造開始予定であり、フル稼働時には年産10万台の予定である。外観を変えたプジョー、シトロエンブランドの兄弟車もこの工場で生産される計画である。
この「B0」には、1.0ガソリンエンジンと1.4ディーゼルエンジンが搭載される予定だが、この1.0ガソリンエンジンもダイハツと共同開発する予定である。

日本、アメリカで好調なトヨタだが、これまで3大市場の一角である欧州では、両市場に比べシェアが伸び悩んで来た。今後世界で販売台数を伸ばしていくにあたり、欧州市場の攻略は外せない。
得意の小型車セグメントでは、独VW、仏PSA、ルノー等々、競合する欧州メーカーがしのぎを削って争っており、商品力の高い新型車を導入することが要求される。
今回の小型車に商品企画段階から共同開発に参画するという注力も、国内軽自動車ユーザー攻略だけでなく、今後の欧州戦略を睨んでいると思われる。

<本條 聡>