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コラム

サーブ、エンジンキーにアルコール検知器を付属した安全システムを開発

エンジン始動前に息を吹き込むことでアルコール濃度を検知し、違法なレベルに達していればエンジンを作動させない新システム「アルコーキー」(Alcokey)を開発、数年以内に親会社である米GMの乗用車に装備され、社有車の飲酒運転などが防げる。システム装備費用は300ドル程度の見込み。

<2004年6月18日号掲載記事>
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今回、サーブが発表した「アルコーキー(Alchokey)」というシステムは、キーホルダー型のアルコール検知器にマウスピースが搭載されていて、運転者が息を吹き込み、検知したデータを車体に送信する仕組みとなっている。

内蔵センサーが血中のアルコール濃度を判別し、法定制限を下回っている場合のみエンジン始動に必要な信号を送ることで、飲酒運転を防ぐというもの。

日本でも、2002年に道路交通法が改正され、飲酒運転に関する規定が厳しくなったのは周知の事実であるが、現在の規定内容は以下の通り。

<規定概要>
飲酒運転は、「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類に区別される。
判断基準は、検問の際に、アルコール検出量だけでなく、真っ直ぐに歩行できる
か、きちんと質疑応答ができるかを加えた3点で判断される。

酒気帯び: ほろ酔い状態まででの運転。下記血中アルコール濃度によって規定されており、2段階に区分されている。
酒酔い:  ほろ酔いとは言えず、酩酊状態(千鳥足になる、何度も同じことを繰り返ししゃべる、呼吸が早くなる、吐き気や嘔吐が起こる)や泥酔状態での運転。
基準はなく、検問時の警察官の判断による。アルコール検出量に関わらず、明らかに酔っていて酩酊状態と判断されれば「酒酔い運転」となる。

<罰則>
酒酔い:  懲役3年以下または罰金50万円以下
酒気帯び: 懲役1年以下または罰金30万円

<交通違反の減点数>
酒酔い:                                                   25点
酒気帯び:
(0.5mg/血液1mlまたは0.25mg/呼気1l以上):    13点
(0.3mg/血液1mlまたは0.15mg/呼気1l以上):      6点

この飲酒運転に関する法制の厳罰化が、飲酒運転減少に大きく貢献していると考えられ、実際、2001年までは年間26千件を超えていた飲酒運転による交通事故は年々減少しており、2003年は約16千件となっている。

また、飲酒運転は死亡・重傷事故につながる割合が高いことは知られている(事故における飲酒ありの死亡重傷率は、飲酒なしの約2.1倍)が、この飲酒運転減少が死亡事故者減少にも貢献した結果、昨年46年振りに交通事故死亡者が8千人を下回ったことにもつながったと考えられる。

今回の技術も、こうした飲酒運転の撲滅に貢献するものと考えられ、その期待は大きいが、その一方で、こうした規制等の制定が、この技術の貢献を大きく左右するものと考えられる。

というのも、今回のサーブの発表では、飲酒運転による事故が深刻な米国で、GMの乗用車に搭載する計画があり、1台約300ドル程度になる見込みとのこと。欧米企業に多い、幹部の通勤用社有車をターゲットにしていると見られるが、個人、しかも飲酒運転を常習する人がこのオプションをわざわざ選択するとは考えにくい。また、このシステムが搭載されていたとしても、飲酒していない同乗者等がエンジン起動させることで回避することも考えられる。

現在、国内でも簡易アルコール検知器が自動車用品店で販売されており、安いものでは1台1千円ぐらいのものもある。

しかし、個人の体質、体調、飲酒後の経過時間等により、血中アルコール濃度は変化するため、なかなか正確な測定や規定は難しい。
これらの商品も、あくまで目安を知らせるものであり、最終的な判断は運転者個人に任せられるため、強制的に飲酒運転を防止するものではない。

従って、飲酒運転を防止するシステムの普及を目指すには、法制面での義務化がどうしても必要と考えられるし、そのためには、他メーカーでの技術開発・量産車への搭載が進まなければ早期実現は難しいのではなかろうか。

今回の技術が、将来の大量普及への第一歩として評価したいが、各自動車メーカーだけでなく、業界、政府等もこうした技術の普及を積極的に支援してもらいたいと考える。

<本條 聡>

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