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コラム

愛知万博の長久手会場内で新交通システム「IMTS」の試…

◆愛知万博の長久手会場内で新交通システム「IMTS」の試験走行始まる
車両が報道陣に初公開された。無人の自動運転で3両の隊列走行を行う予定

<2004年08月18日号掲載記事>
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MTS(Intelligent Multimode Transit System)とは、トヨタが開発を進める次世代新交通システムのことである。来年開催される愛知万博において会場内の足として運行されることになっており、その試験走行の開始が発表されたものである。

実は、IMTSの導入は、今回の愛知万博が初めてではない。トヨタでは、1999年より同社東富士研究所内のIMTS専用実験線にて、実用化に向けた研究開発に取り組んできており、2001年には淡路島の農業公園に導入され、公園入場者の輸送に利用されている。淡路島では専用コースでの自動運行であったが、今回の愛知万博では自動運転の専用道区間とマニュアル運転区間に分かれていること、3台での隊列走行での運行(淡路島では2台)、車両自体の先進的なデザインなどからも、その技術と信頼性は確実に進化していることが伺える。

一般的に、従来の鉄道とバスの中間の輸送力(距離、量など)を持ち、専用の軌道を走行する交通システムを総称して、「新交通システム」と呼ばれる。バスのように交通渋滞に左右されず、鉄道よりも導入コストが安いことが特徴であり、環境にも配慮したものが多い。主なものとして、以下システムがあげられる。

モノレール:
一本の走行路の上で、ゴムタイヤの車両がまたがる、またはぶらさがる形で走行する。
多摩都市モノレール(東京都)、タウンライナー(千葉市)など

AGT(Automated Guideway Transit):
ゴムタイヤの車両がガイドウェイに沿って走行する。すでに完全自動化による無人運転も実現している。
ゆりかもめ(東京都)、アストラムライン(広島市)など

リニア地下鉄:
動力にリニアモーターを採用し、小型化した車両を使用する地下鉄。従来の地下鉄に比べ、建設費が安い。
都営地下鉄大江戸線(東京都)、市営地下鉄鶴見緑地線(大阪市)

LRT(Light Rail Transit):
従来の路面電車の進化型で、加速性・快適性を高めた車両が専用または分離された軌道を走行する。
熊本市電9700形(熊本市)、グリーンムーバー(広島市)

HSST(High Speed Surface Transport):
常伝導磁気浮上式リニアモーターカー。車輪がなく磁気で浮上し、リニアモーターで進む。振動・騒音がないのが特徴。
愛知万博で、会場へのアクセス手段として導入が予定されている。

(出展: NTTコムウェア ホームページ他より)

IMTSは、これらの新交通システムと比較して、特に経済性、柔軟性において大きなメリットを持つ。

(1) 優れた経済性
・専用道と一般道を併用できるため、渋滞が多い都市部で安定した定時運行の必要となる高架等の専用道を最低限の距離に抑えられる。
・走行路に埋め込まれた磁気マーカーによって誘導するため、専用軌道にレール、変電設備等が不要であり、インフラ建設費を安く抑えられる。
・専用軌道では無人走行が可能。
・車両のメンテナンスも自動車のインフラを利用できる。

(2) 高い柔軟性
・幹線は、無人運転による隊列走行、各支線は運転手による単独走行と使いわけることも可能であり、需要に応じた効率的な運行が可能。
・専用道と一般道を組み合わせることで、広い運行エリアをカバーすることが可能。

このIMTSのメリットを最大限に活かせるのは、人口1百万人を超えるような大都市ではなく、10~50万人クラスの中堅都市ではなかろうか。

低迷が続く経済状況の中で、人口の減少もあいまって、苦しい財政のバス事業者や、第三セクターという形で地方政府の支援を仰ぐ鉄道・新交通システムも多い。IMTSの優れた経済性によるコスト低減や、高い柔軟性による幅広い運行形態により、限られた財源の中で、市街地と郊外居住地域という二つのニーズが混在する中堅地方都市の交通を担う存在としての期待は大きい。

現在、交通手段としては、クルマ社会と競合する公共交通。トヨタがこの分野に取り組むのは、クルマを利用できない高齢者、障害者や、駐車場を確保しにくい都市部のの移動手段を提供するという社会的な意義だけでなく、将来的に自動走行を実現させようというITS社会の実現に向けた新たな形の自動車の開発に向けた技術の育成も視野に入れているのではないだろうか。

<本條 聡>

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