日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)、ホンダ「レジェンド」…

◆日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)、ホンダ「レジェンド」が受賞

<2004年11月11日号掲載記事>

◆三菱自動車、「COLT」がドイツで『ゴールデン・ステアリングホイール賞』

<2004年11月11日号掲載記事>

◆「2005年 欧州カー・オブ・ザ・イヤー」の最優秀車に新型『プリウス』

<2004年11月15日号掲載記事>

◆RJCのカー・オブ・ザ・イヤー、日産「フーガ」が受賞

<2004年11月17日号掲載記事>
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今年も「イヤーカー」が決まる季節が来た。毎年 11月に日本カー・オブ・ザ・イヤー、RJC カー・オブ・ザ・イヤーが決定する。今年は、日本カー・オブ・ザ・イヤーにホンダ「レジェンド」、RJC カー・オブ・ザ・イヤーに日産「フーガ」が選ばれた。

実は、日本に公的なカーオブザイヤーはこれだけではない。今年から、日本自動車殿堂がカーオブザイヤーを独自に選定しており、今年はトヨタ「クラウン」「クラウンマジェスタ」が選ばれている。結果的には、日本の三大自動車メーカーが投入したフラッグシップカーが、それぞれ選ばれたことになる。

そもそも、カーオブザイヤーとは何だろうか。関係者の方には反感を持たれる方もいるかもしれないが、今回は一人の消費者の意見として以下の通り書かせてもらうことをご了承頂きたい。

まず、なぜ団体が複数存在するのであろうか。各団体の目的は何であろうか。各団体の概要について説明したい。

1.日本カー・オブ・ザ・イヤー
一般的にカーオブザイヤーとして消費者に認知されているのは、日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催する、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」である。その目的、基本精神、選考基準は、以下の通り定義されている。

<目的>
市販を前提として日本国内で発表される乗用車の中から、年間を通じて最も優秀なクルマを選定し、そのクルマに日本カー・オブ・ザ・イヤーのタイトルを与え、その開発・製造事業者を称えることにより、一層の性能・品質・安全の向上を促すと共に業界発展と地球環境保護、交通安全に寄与する。

<基本精神>
日本カー・オブ・ザ・イヤーは特定の個人、企業、機関等の為のものではなく、クルマに関心を有するすべての人たちのものである。

1.日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考は公平公正に行われ、特定の自動車メーカー、特定の媒体の政策、利害等よって左右されない。

2.日本カー・オブ・ザ・イヤーは毎年 1 車のみとする。

<選考基準>
選考委員は対象車についてコンセプト、デザイン、性能、品質、安全性、環境負荷、コストパフォーマンス等を総合的に評価して選考する。

要約すれば、総合的な観点で、その年の最も優れた車を選び、クルマ社会の発展等に貢献するための表彰であり、イヤーカーの選定のための団体ということである。実行委員会はメディアが主体であることもあり、消費者にも最も大きく伝えられることが、知名度にも大きく貢献している。

2.RJCカ・オブ・ザ・イヤー
「RJC カー・オブ・ザ・イヤー」であるが、これを主催するのは、日本自動車研究者・ジャーナリスト会議という団体であり、2000年に特定非営利活動法人として認可を受けている。その目的と選定事業は、以下の通り定義されている。

<目的>
自由闊達な研究と評論を通じて日本自動車界の健全な発展に寄与することを目的とする

<事業>
年次を記念するにふさわしい人物,技術,国産新型乗用車,輸入車の表彰。

日本カー・オブ・ザ・イヤーに比べると選定基準等は明確ではないが、評論家、ジャーナリストだけでなく、自動車工学の研究者もメンバーに入っており、どちらかと言えば、技術等自動車そのものに焦点を当てた位置付けなのであろう。イヤーカーの選定以外にも、各種勉強会や見学会を行っている。

3.自動車殿堂カーオブザイヤー
自動車殿堂も、特定非営利活動法人である。昨年までは、自動車業界に貢献した個人、団体と歴史的に意義が大きいクルマへの表彰であったが、今年から、イヤーカーの選定も行うことになった。その目的と選定事業は以下の通り定義されている。

<目的>
日本における自動車産業・学術・文化などの発展に寄与し、豊かな自動車社会の構築に貢献した人々の偉業を讃え、殿堂入りとして顕彰し、永く後世に伝承してゆくことを主な活動とする。

<事業>
その年に発表された国産乗用車のなかから、最も優れた車を選定し、自動車社会の発展に貢献された開発者もしくは開発チームを讃え、車とともに表彰する。

これまでの事業や表彰対象とイヤーカーの選定との関係が理解し難いが、現時点では同団体のホームページも更新されておらず、確認できない。

これらの団体が選定するイヤーカーであるが、なぜ選定されるクルマが異なるのであろうか。

年間の国内外の新型車が一律に比較されることもあり、特にセダンとミニバン、コンパクトカー等カテゴリーも異なれば、評価が難しいこともあるだろう。しかし、今年選定された 3 車種は、どれも高級セダンという同じカテゴリーで競合している車種であるにも関わらず、申し合わせたように3社に分かれている。

各団体、それぞれ選定基準や事情も異なるので、意見が異なることは理解できる。しかし、自動車業界において「有識者」と呼ばれている方々が集まって議論しても、結果が一致しないのであれば、消費者は何を信じれば良いのだろうか。そもそもカー・オブ・ザ・イヤーに選定されることの意味に疑問を持つ人も多いと思う。

更に言えば、日本では受賞できなかったトヨタ「プリウス」は、欧州、北米の二冠を獲得している。国内では消費者の厳しい目に曝されている三菱自工も、ドイツでは高い評価を得て、受賞している。イヤーカーを受賞したクルマが本当に良いクルマなのだろうか。

勿論、少なからず、選定において、「政治的」な背景もあることは事実であろう。しかし、業界の力関係や順番、資金力で決まっているもので、消費者とは無縁のもの、と割り切ってしまうのは、寂しい気もする。

願わくば、消費者の意見も反映される形のカー・オブ・ザ・イヤーが一つぐらいあっても良いのではないだろうか。勿論、上記団体の選定委員の中には、自身のサイトで、一般消費者から意見を取り入れようとしている方もいるし、自身の評価の理由を公開している方も多い。こうした方々に、もっと消費者が参画意識を持て、イヤーカーであることが購買意欲に繋がるような制度改革を期待したい。

<本條 聡>