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コラム

東京・丸の内にも自転車タクシー、「ベロタクシー」が2週…

◆東京・丸の内にも自転車タクシー、「ベロタクシー」が2週間の無料運行試験
スターバックスコーヒージャパンやNPO法人が協力。今春にも有料運行へ

<2005年02月01日号掲載記事>
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「ベロタクシー」をご存知だろうか。後部に二人乗りの客席がついた、三輪自転車のタクシーである。近年、国内各地で導入が相次いでおり、見かけたことがある人も多いと思う。
「VERO」とはラテン語で「自転車」を意味する。長さ約 3m、高さ約 1.7m のユニークな流線形のデザインをしており、21 段変速ギアや電動アシスト機能、油圧式ディスクブレーキ(後輪)を持ち、ライト、サイドミラー、ウインカーも装備している。最高時速は約 25km。客先は二人乗りで、屋根だけでなく、間仕切りやクッションも付いており、快適性にも配慮されている。独 VEROTAXI 社製で、1台約 100 万円だそうである。

ベロタクシーは、1997年ベルリンで誕生した。ベルリン市長によると、公共交通機関と自家用車のギャップを埋めるローカル交通システムとして普及しており、街の景観の一部として溶け込んでおり、市民の生活にも欠かせないものになっているという。現在では欧州各地に広がっており、ロンドン、アムステルダム、コペンハーゲン、パリ、ウィーン、リスボンなどの大都市や、バルセロナ、ミラノ、ミュンヘンなどの観光地を中心に普及している。

国内では 2002年に京都で初めて走行を開始した。以降、東京・六本木地区、大阪・心斎橋地区、奈良市、松本市、那覇市でも導入されており、来月開催予定の愛・地球博の会場でも運行予定である。(愛・地球博では、ブリヂストン、ヤマハ、ナショナルの国内自転車メーカー 3 社が開発した自転車タクシーも運行する予定である。)

国内にこのベロタクシーを持ち込んだのは、NPO 法人環境共生都市推進委員会である。京都、東京、大阪で運営しているほか、他の地域での導入を支援している。「地球はひとつの共同体である。」というスローガンのもと、快適で、環境に優しいこの新しい移動手段の普及に努めている。

各地域とも、一定のエリア内での運行となるが、料金は、初乗り 500m まで大人 1 人 300 円、以降 100m ごとに 50 円追加という手軽に利用できる価格に設定されている。車体に大きく描かれた広告が収入の柱となっているからである。

ベロタクシーの一番の特徴は、「スローライフ」にある。平均時速 11km のこの乗り物は、急いでいる時に利用するための移動手段ではない。むしろ、ゆっくりとした移動時間の中で、レジャー気分、街の景観や季節感を楽しむためのものである。それ自体が環境に優しい乗り物だというだけでなく、「ゆとり」を持った生活、時間の過ごし方が、環境に優しい街づくりにつながるというこの NPO の考えに、各地域が共感し、導入が進められているものである。

この「現代の人力車」は、「移動」というテーマに対して、現代社会の移動手段が持ち合わせていなかった新たな付加価値を提案した。むしろ、失った価値を持ち込んだ、という表現の方が正しいかもしれない。自動車に限らず、現代社会の移動手段は、「スピード」「快適性」「安全性」を追求する形で進化してきた。こうした現代社会に、遅いことのメリットを持ち込んだのが、このベロタクシーであろう。

自動車業界でも、大きな流れは「環境性能」「安全性」「利便性」の追求にあると言える。しかし、より豊かなクルマ社会を実現していくためにも、王道を追求したクルマだけではなく、固定観念に囚われない新たな付加価値をもたらすクルマの登場を期待したい。

<本條 聡>

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