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コラム

ヒートアイランド現象への対応

(JFE スチール、ヒートアイランド現象抑止舗装用保水材「ロードクール」 開発。高炉スラグを用いた環境に優しい保水材。今夏より本格的に販売へ)

<2005年08月02日号掲載記事>

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最近、暑い日が毎日続き、地球温暖化に改めて危機感を感じている読者も少なくないと思う。国立環境研究所と東京大学気候システム研究センターなどが発表した予測によると、50年後の日本では 1年のうち真夏日(最高気温が 30℃以上の日)が 100日を超えるという。20 世紀では 50日程度(沖縄以外)であったのと比較すると倍増ということになる。すでに昨年において、都内の真夏日は 65日となっており、100日という数字も非常に現実的な予測に思える。

気温上昇の原因は地球温暖化だけではない。特に都市部では、郊外に比べて気温が高いというヒートアイランド現象が進んでいる。実際、気象庁の調査によると、過去 100年の平均気温の上昇が、中小規模の都市では 1℃程度であるのに対し、都内では 2.9℃というデータを公表しており、東京を中心とする都市部の気温上昇は深刻な問題となっている。

このヒートアイランド現象の原因には以下のようなものが挙げられている。

(1)地表面被覆の人工化
・緑地、水面、農地、裸地の現象による蒸散効果の減少
・舗装面、建築物(アスファルト、コンクリート面等)の増大による、熱の吸収蓄積の増大、反射率の低下

(2)人口排熱の増加
・建物(オフィス、住宅等)の排熱
・工場等事業活動による排熱
・自動車からの排熱

(3)都市形態の変化
・都市形態の変化による弱風化
・都市を冷やすスポット(大規模な緑地や水面)の減少

<出典:東京都ホームページより>

ヒートアイランド現象による温暖化は加速度的に進行が進むと言われている。気温が上昇すれば、空調の使用量が増大し、その排熱によって更に気温上昇が進むという悪循環などが原因である。したがって、100年で 3℃という気温上昇を微々たるものと考える方もいるかもしれないが、現在陥っているこの悪循環を考えれば、将来は更に危機的な状況を考えなければならなくなる。

前述の(1)にはクルマ社会のインフラである道路の拡充によるアスファルト等の舗装面の増加が、(2)には自動車自体の走行中の排出ガスを始めとする排熱の増加が含まれており、クルマ社会とも大きな因果関係がある。自動車業界としてもこうした現実を直視し、改善に貢献していくことが求められている。

このうち、道路被覆対策として近年注目を集めているのが保水性舗装である。都心部では、アスファルト・コンクリート舗装の道路面積が、総面積の約 2 割を占めると言われ、その被覆対策が与える影響は大きい。現在東京都では、下水再生水の活用による道路散水や緑化推進とあわせて、保水性舗装の拡充を進めている。

この保水性舗装とは、アスファルト舗装に隙間を大量に持たせ、そこに水分を蓄える機能を持つ保水材を染み込ませた構造の舗装である。雨の日などに水分を吸収し、晴れの日などにこの舗装が太陽によって加熱されると、保持していた水分を蒸発させ、その気化熱によって路面の温度を低下させる。つまり、何の資源も消費せずに自動で「打ち水」を行う道路舗装と言える。雨水を川や下水道に排出するだけでなく、大気に水分を蒸発させることで水という資源を循環させる機能は、土と同じものであり、まさに環境に優しい舗装である。東京都では数年前から都内数ヶ所でこの保水性舗装の導入を試験的に進めており、これによると、通常の舗装と比べ 10℃程度路面温度を下げられるという調査結果が出ている。

JFE スチールが今回発表した新製品は、この保水性舗装に使用される保水材である。既存商品よりも吸水能力が高く、しかもその性能の持続性に優れているというものである。同社は従来よりこの保水材の開発・販売に取り組んできたが、同社の製品の最大の特徴は、原材料として鉄鋼製造時の副産物である高炉スラグを利用しているという点である。

鉄鋼メーカーでは、高炉で鉄鉱石をコークスで還元、溶融し、銑鉄を造る。その際、高炉から取り出される溶融状態の原料を比重で分離することで銑鉄と副産物に分離するが、その副産物が高炉スラグである。その主成分は CaO、SiO2、Al2O3 であり、セメントと似た化学成分のため、セメントの代替材として、建築、土木、道路基盤等に再利用されている。

つまり、高炉スラグを利用した保水性舗装は、環境負荷の小さい原材料を使用して環境対策に貢献するという、環境面で理想的な商品と言える。同社によると、道路舗装用保水材の売り上げは急増しており、東京、大阪、横浜等都市部を中心に採用が進んでいるという。

コスト面では、通常の排水性舗装(一般の道路舗装)と比べて約 2 倍、既存の保水性舗装と比べて 3 割程度高いという。現在社会的問題として取り上げられている道路公団の不祥事もあり、道路整備費用の増加には批判があるかもしれない。しかし、公団を含め、道路建設業界の改革次第で十分に捻出できる金額規模であるだろうし、例えコストが増加することになったとしても、前述のヒートアイランド現象対策という観点では、即効性の高い対策と言えないだろうか。是非とも全国規模での普及を進めてもらい、真夏日、熱帯夜の低減に貢献してもらいたい。

<本條 聡>

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