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コラム

移動時間の過ごし方の変化について

 今回は「移動時間の過ごし方の変化について」というテーマでご協力をお願
いしたアンケート結果を踏まえたレポートを配信致します。

http://www.sc-abeam.com/sc/?p=7598

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【はじめに】
 自動車の技術革新に伴い移動時間の過ごし方について選択肢が増える事が予
測されており、自動車メーカー含め各社が考えるコンセプトを発表する機会が
増えてきた。
 有限の時間の中、特に渋滞時の運転などにより消費されていた、若しくは忌
避されてきた時間を、如何にその人にとって価値のある時間として提供できる
か、そこに自動車の付加価値をつけられるのではないであろうか。

 そういった考えのもと、皆様にはまずは、自動車の移動時間をどの様に過ご
したいかにつき考えをお伺いしたものである。
【ワンクリックアンケートの結果】
 先月実施したアンケートの結果は以下の通り。

1.エンターテインメント系(音響、映像等)システムの充実:  43%

2.ヘルスチェック機能による健康・身体状態管理:  11 %

3.オフィスや家と同等のインターネット通信環境、アプリケーション利用: 28 %

4.あくまで走行性能重視(移動空間の過ごし方としては特に希望なし): 13%

5.その他:   5%

 「エンターテインメント系システムの充実」が約過半数をとる結果となった。
また、エンターテインメントも配信サービスなどが期待されている回答もあり、
全体として、インターネット通信環境の充実を重視されている方も多いと感じ
た。
【他移動手段(鉄道等)との比較】
 日本の特に首都圏では鉄道網が発達しており、自動車を保有しなくても移動
手段に困る事は少ない。
 鉄道は自動車に比べ、「コスト安」、「駐車場不要」、「時間が正確に読め
る」、「移動時間の過ごし方の選択肢が広い」といった利点があげられる。最
初の二点については、カーシェア等のサービスが充実する事で自動車を利用す
る事への動機づけとなりえる。後者の二点については自動車の技術革新により
移動時間に選択肢が増える事で、Door to Door で価値提供ができる自動車は、
鉄道以上に魅力を出せる可能性がある。

 また、「現在の他の交通機関(電車等)での過ごし方に近いのではないか。
ただ車は閉鎖された空間なので、個人の嗜好性がより反映されると思う。」や、
「家と同じく過ごしたい」といったアンケート回答も頂いており、電車以上の
移動時間の過ごし方が期待されている事も伺えた。

 ドイツでは鉄道会社がカーシェアに参入しており、自動車会社主体のもの、
鉄道会社が主体のもの両社によるサービス展開が進んでいる。自動車と鉄道で
一見パイの取り合いのようにも見えるが、多様な移動機会を提供する事で、需
要を喚起し全体のマーケットの拡大に繋がる事が望まれる。
【ユーザーエクスペリエンスの観点から】
 今年の CES で BMW は、デジタル・プレミアム・モビリティ・サービスとし
て「自動車を運転中もそれ以外の時間も、インテリジェントな方法で継ぎ目の
ないユーザーエクスペリエンスで、車の移動と関連した様々の生活支援プラッ
トフォームを提供する」と発表した。車、モバイル、ホーム、会社等の日常生
活の様々な情報をクラウド経由共有、アップデートをおこなうものである。
 また、ユーザーの行動履歴や趣味嗜好による先読み・行動予測の実用化もさ
れてきている。
 トヨタは、今年の CES で、日常行動運転で、ナビ案内をしていなくても運転
経路を予測し、道路状況(交通渋滞の回避や事故回避のルート)を先読み提案
してくれるコンセプトを発表した。
 その他、Here でも日常の運転ルートを学習し、交通情報を加味した先読み表
示や代替ルートの提案や、各曜日・時間の運転履歴から目的地候補の行動予測
を行う機能を既に実用化している。
 行動予測による、渋滞ルート回避やルート最適化による移動時間の短縮が期
待される。
【スマホアプリとの連携】
 自動車の中でもスマホを利用出来る事が当たり前の要望となってきている。
 今年の1月にフォードとトヨタがスマホアプリと車載システムの連携プラッ
トフォームに SDL(Smart Device Link) を採用するとの発表があった。その他
の自動車メーカーも採用に向け検討中との発表もあり、Apple や Google では
なく、自動車メーカーが主導権を取る事ができるのか、その他のスマホ連携方
式として Tier 1 では Bosch 社の「My SPIN」が唯一生き残っているが、自動
車オリエンテッドと IT オリエンテッドとの綱引きも今後注目される。
【健康機能の付加価値】
 急病発症などにより運転が行えない状態に陥った時に、自動車のシステムが
運転を代わり自動で路肩まで運転を行うデッドマンシステムは、現在実用化に
向け動き始めている。センサーの更なる進歩や、事態発生以降の動作設定など
の基準作りなど、実用化にはまだ越えるべき壁があるものの実用化が待たれる
機能である。

 更に、そういった事態を予防する機能に関し、メーカーや各大学、研究機関
で開発が進んでいる。文科省が平成25年度から行っている「革新的イノベー
ション創出プログラム(COI STREAM)の中でも、高齢者のドライバーモニター
や、移動時から在宅時・外出先に至る全てのシーンで健康管理情報をモニタリ
ングし、個人の健康情報をリアルタイムに取得する事で運転支援を行うといっ
た研究開発が行われている。

 また、今年の CES で Audi は、ウェアラブルデバイスを利用しドライバーの
ストレスや疲労度を判断、リラックスできる様なオペレーションモードに調整
するといった健康管理機能のプロジェクトを発表した。

 今回のアンケートで、「最近増加している体調不具合が原因で起こす事故な
どから、ヘルスチェックが乗車中、あるいは乗車前に対処できるシステムなど
が搭載されると思う」といった回答も頂いたが、デッドマンシステムなどの共
通機能のプラスアルファで、各社がどういった付加価値を提供できるかが差別
化要素となっていくであろう。
【最後に】
 各社から発表される将来ビジョンは大変魅力的で、早期の実現化が期待され
る。
 今は各社が各々取り組んでいるが、将来はコモデティとして集約される部分
と、各社による差別化が出てくる部分に分かれていくのではないか。
 「エンタメ系は高付加価値化の余地が比較的大きいのではないか」といった
アンケート回答も頂いているが、各社の提供価値が具体化され、私たちが選択
できる状況に早くなれば良いと考える。
 年末年始やお盆の渋滞ニュースが過去の遺産となる日が待ち望まれる。
 少なくとも今時点、純正のナビはパーキングブレーキを作動しないと、TV 鑑
賞もカーナビ操作もできないが、この状況が改善される様な安全技術が早く確
立されたら良いと個人的には考えている。

<成田 朗子>

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