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コラム

新車に関する情報の入手方法

  今回は「『新車に関する情報』の入手方法の主流は?」と題して 4 月 21日
付配信のメールマガジンにおいてお願いしたアンケート結果を踏まえてのレポ
ートです。
http://www.sc-abeam.com/sc/?p=7344

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【はじめに】
 2014年度(2014年 4月~ 2015年 3月)の日本国内「車名別販売台数ランキ
ング」を改めて眺めてみますと、その顔ぶれは一昔前とは様変わりしています。
もちろん私ども自動車業界に身を置く者にとっては、それぞれの車名は身近な
ものであり、どんな特徴を持つどのカテゴリーのモデルであるかは容易に想起
出来ます。

 翻って、一般の消費者はどうでしょうか。自動車という商品に強い興味を持
っている層はともかくとして、そうではない層にとっては馴染みの薄い名前も
少なからずあるのではないでしょうか。試しに周囲のかたにランキング上位車
種のリストを見せて、各車名の認知度を尋ねてみてください。少なくとも私の
周囲にいる自動車の購買層でもある老若男女数名は、半数以上の車名を知らな
いという状況でした。

<2014年度 車名別販売台数ランキング>
(台数の多い順に年販 10 万台超の車種のみ列記。暦年は初代モデル登場年。)

1) アクア  (2011年)
2) タント  (2003年)
3) N-BOX  (2011年)
4) デイズ  (2013年)
5) フィット (2001年)
6) ワゴン R (1993年)
7) プリウス (1997年)
8) ムーヴ  (1995年)
9) N-WGN  (2013年)
10) ミラ  (1980年、ただし「ミラ イース」は 2013年)
11) アルト  (1979年、ただし「アルト ラパン」は 2002年)
12) ハスラー (2014年)
13) ヴォクシー (2001年)
14) スペーシア (2013年)
15) ノート  (2005年)
16) カローラ (1966年、ただしサブネームを順次設定)
17) ヴェゼル (2013年)
     (出典:自販連、全軽自協) 

 ご覧のとおり、近年に誕生した車名が大半を占めており、約 2/3 が今世紀の
デビューで、筆者の周囲における認知度の低さも無理のないことかと感じます。
しかし現実にはこれらのモデルは全て年間 10 万台以上が売れているという’人
気車種’です。いったい昨今、消費者はどのようにしてこれらニューカマーの名
前・存在を知り、それらがどのようなクルマであるのかの情報を得、そして購
買へと至っているのでしょうか。

【設問ならびにアンケート結果】
 前置きが長くなりましたが、今回はこのような経緯でのアンケートテーマの
設定でした。その設問ならびに結果を下記します。

<設問>
「消費者が新車の購入を検討し始め、具体的に候補車名を数モデルに絞り込む
段階で、もっとも多用されているであろうと思われる情報入手方法は?」

<結果および頂戴したコメント(抜粋)>

1. テレビ・ラジオ・新聞・一般誌等のマスメディア  25 %
―メディアの多様化、車種の増加、自動車の普及などの影響で、これらマスメ
ディアでの広告宣伝により個別のニューモデルが認知され、拡販に繋がるとい
う流れは明らかに弱まっていると感じる。

2. 自動車雑誌      16 %
―まずは新車ガイド、続いてライバル比較記事などで研究する。

3. インターネット(検索・広告・ニュース記事など) 37 %
―クルマに興味のある人ならまずネットでの情報収集というのが主流だと思う。
―メーカー公式 Web サイトでモデル・タイプ・カラーまで絞り込んでいる。
―公式 Web サイトが非常に重いメーカーがあり、なかなか欲しい情報にたどり
着けない。
―中古車販売サイトでの諸元比較、メーカーサイト以外の評価記事などを参考
にしている。

4. 自動車ディーラーとの個別接触(問い合わせ・往訪 or 売り込み) 11 %
―クルマ好きでない限り、名の通ったメーカーの販売店に赴き、営業部員から
薦められた中からの選択となる。従い、販売拠点の多いメーカーの優位は揺る
がないと思う。
―店舗数が少ない輸入車などにおいてはメルマガなどを活用してアピールを繰
り返していくことなども購入への大きな契機になるのでは。

5. 路上や店頭で実車を見掛ける機会・口コミ   7 %
―かつては自動車雑誌、現在は Web サイトでの情報収集が多いと思われるが、
最も影響の大きいのは口コミではないかと思う。
―街や店頭で見掛けた時の好印象が、車種選択動機になっている顧客は多い。

6. その他 4 %

【考察・随想】
 今回の結果は、数字の分布が一部の選択肢に集中したり、コメントに特定の
傾向が感じられる形とはなりませんでした。しかしながら、大きく分けると
「クルマに興味があり、能動的に情報を取りに行く層」と「クルマへの興味は
さほどでもなく、身近な販売店やクチコミを通じての情報収集に頼る層」とい
う2つの顧客層(いずれもそれによって得る情報が購買行動に影響を及ぼす)
が想起され、販促策の検討・実行に際してもこの2つの層の存在を意識すると
より大きな効果が期待出来るのではと改めて感じました。

 まずは前者「クルマに興味があり、能動的に情報を取りに行く層」は、自分
なりのブランドイメージ・好みをベースに自動車雑誌や Web サイトで情報収集
・比較をし、候補車を少数に絞り込んだ上で販売店に出向くというイメージに
なりましょうか。この層は、マスメディア等を通じたブランドイメージ構築・
公式 Web サイトでの十分な情報提供をし、同時に商品が雑誌記事や一般 Web
サイトで正当な評価を受けておりさえすれば購買行動に繋がる可能性が高い、
云わば攻略法が分かりやすいグループといえようかと思います。

 一方の後者「クルマへの興味はさほどでもなく、身近な販売店やクチコミを
通じての情報収集に頼る層」ですが、この層へのアプローチこそ、売る側のア
タマの使いどころではないかと感じています。クルマを買う理由としては「好
きだから」と「必要だから」の2つが代表格であり(もちろん、両者が重なっ
ての購買行動というケースも多い)「好きだから」層は前者、そして「必要だ
から」層は後者に近いのではと思いますが、数としてはどちらが多いのでしょ
うか。情報を発信する側・収集する側ともに前者が積極的に発信し、動くわけ
ですから、目に留まることも多いのは当然です。しかし身の周りに数多いる自
動車ユーザー、顧客のプロフィールを整理してみますと実際には後者、すなわ
ち「必要だから」層が多数派を占めるというのが現状ではないかと思われ、そ
れがゆえにここをどう攻めるかが販促のカギの一つになると考える次第です。

 そこで以下、後者への攻め手について考えてみたいと思います。もちろん、
テレビ・新聞などのマスメディアでの広告はブランド認知・イメージの維持向
上に欠かせません(一方で、車種やカテゴリーが多様になった現在、この手段
で特定モデルが認知を得るのは容易ではないと感じています)。自動車雑誌を
購入する層ではないでしょうから、雑誌では女性ファッション誌などに散見さ
れる読者層に合わせたコラボ記事などにはなるほどと思わされます(自動車単
体ではなく、それを使ったライフスタイル・日常生活シーンなどをフィーチャ
ーする効果は大きそうです)。メーカー公式 Web サイトについては、もっと
敷居を低くすることも一案かと思っています。各メーカーのサイトは、驚くほ
ど豊富な情報がある一方でそのせいもあるのでしょうか、ブラウザの要求レベ
ルが最新版に限定されていたり、動作が重くなかなか欲するページに飛べない
などのケースが少なからずあります。また、用語も年々新しいものが加わって
おり、難解なものも目立ちます。例えば情報量を絞り、表現も意識して平易に
したサイトを別に設ける等の工夫によって、結果としてより幅広い層に情報を
提供するツールになるのではないでしょうか。

 そして感じるのが販売店の役割についてです。訪問販売に代わって店頭販売
が主流になったこともあり、近年はかつて新車が飾ってあったショールームの
スペースが、より多く商談スペースなどに転用される傾向があります。しかし
商談に至るまでに欠かせないのは商品に魅力を感じてもらうことであるのは言
うまでもありません。モデル数が増加し、個別の商品名や特徴の認知度が必ず
しも高くない今、実車を目にして、触れて、感じる機会を軽供するという「シ
ョールーム」本来の機能がもっと重視されてもいいのではないでしょうか。も
っとも、冒頭の販売台数ランキングに絡んで触れた「発売から年数が経ってお
らず、車名認知度も決して高くないと思われる車種が、年間 10 万台以上売れ
ている」という事実は、既にこうした「販売店のショールーム機能」も再び重
視されつつあることの表れなのかもしれませんが。

 自動車関連の仕事をしていますと、購買層の「クルマ」に対する知識・思い
・ニーズを見誤ってしまうことがあります。今にして思えば筆者も販売の最前
線で仕事をしていた当時、それがゆえに販売チャンスを逸したのでは、と思い
返せる経験をいくつもしています。知らぬ間に、どんなお客様にも「クルマ好
き」目線や「メーカー・売る側」スタンスで接してしまってはいないだろうか、
そんなことを自問してみると今の「売り方」の中に改善・工夫の余地が見つか
るのではないでしょうか。

<清水 祥史>

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