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コラム

運転支援システムがもたらす需要促進効果

今回は「運転支援システムがもたらす需要促進効果」というテーマでご協力を
お願いしたアンケート結果を踏まえたレポートです。

http://www.sc-abeam.com/sc/?p=7278

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【はじめに】 
 今回のアンケートは、運転支援システムが自動車の販売需要を刺激するのか、
また刺激するとしたらどの様な効果をもたらすか、皆様のご意見をお伺いする
ものでした。2013年 6月に閣議決定された「世界最先端 IT 国家創造宣言」に、
「世界で最も安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現」の為に、
「高度運転支援技術・自動走行システムの開発・実用化を推進する」とし、
「具体的には、現在官民で取り組んでいる安全運転支援システムの早期実用化
のより一層の加速を図る」と明記されております。官民連携で安全で円滑な道
路交通社会の構築に向けた戦略を打ち立てている中、各自動車メーカーも、交
通事故死者を減らし、渋滞緩和、CO2 削減効果が見込める運転支援装置の開発、
導入が進んでいます。その流れを受け、運転支援システムが今後世の中にどの
様に浸透されていくのか皆様の考えをお聞かせ頂きました。

【ワンクリックアンケートの結果】 
 先月のメールマガジンの結果は以下の通りとなりました。

1. 運転支援システムは「購買層の拡大」を促す    :35 %
2. 運転支援システムは「購入単価アップ」に寄与する :14 %
3. 運転支援システムは「購入モデルの変化」を促す  : 8 %
4. 運転支援システムは需要を刺激する要因とならない :36 %
5. その他                     : 7 % 

 今回のアンケート結果では、運転支援システムがもたらす効果について「購
買層の拡大」と「運転支援システムは需要を刺激しない」の二つが各々約 35%
と多数派の回答となりました。

【運転支援システムへの期待】 
 まず「購買層の拡大」とご回答頂いた方で多かったコメントが、「高齢者へ
の訴求力向上に繋がる」というものです。 

 警視庁交通総務課統計によりますと、都内における交通事故の総件数は年々
減少し続け、2013年は 42,041 件で 10年前(2004年 84,513 件)の約半数と
なりました。その一方で、高齢運転者(注 原付・二輪車・四輪車を運転して
いる 65 歳以上の者)が関与する交通事故の締める割合は、年々高くなり、2013
年は 19.2 %で 10年前(2004年 10.2 %)の約 1.9 倍となっています。また、
高齢者が関与した交通事故の内、高齢運転者側の違反内容としては「安全不確
認」(構成率 29.2 %)が最も多く、「交差点安全進行」(18.5 %)、「前方
不注意」(10.5 %)、「動静不注視」(6.6 %)、「ハンドル・ブレーキ操作
不適」(5.3 %)となっています。 

 上記原因として、加齢に伴う動体視力の衰えや反応時間の遅れといった身体
機能の低下等があげられており、行政としても 70 歳以上のドライバーに対す
る運転免許更新時の「高齢者講習」の受講、75 歳以上のドライバーに対する
「講習予備検査(認知機能)の義務付け、また、70 歳以上のドライバーが運転
する車に表示する事ができる「高齢運転者標識(高齢運転者マーク)」の利用
等種々対策を打っているものの、有効な手段と成り得ていないのが現状です。

 既に実用化されている「踏み間違い衝突防止アシスト」等の安全運転支援シ
ステムや、更に将来は、路車間通信により交差点における出会い頭衝突、一時
停止規制見落とし、信号見落とし、赤信号停止車への衝突等への回避支援が可
能になる事が見込まれており、こういった技術の導入により、交通事故を低減
させる効果は大きくなると考えられます。 

 また、2007年に実施された警視庁アンケートによりますと、車を運転する理
由としてどの年代も「移動手段」が一番多い回答であったものの、65 歳以上か
らは「自分の楽しみ」の割合が、更に 75 歳以上になると「生きがい」「自立」
等の割合が増加しており、高齢者にとって「運転をする事」が非常に意義深い
ものになっているとの結果も出ております。 

 2014年の運転免許統計によりますと、65 歳以上の免許保有者は 15,342,263
名(2013年 14,209,958 名)と全体の 18.7 %(2013年 17.4%)と年々増加し
ていますが、運転支援システムの普及・技術の進歩により、高齢者の判断や操
作の支援の有効な手段となれば、運転者数の減少カーブを緩やかにする一定の
効果はあるのではないでしょうか。

【需要拡大への将来の可能性】 
 次に、回答を一番多く頂いた「運転支援システムは需要を刺激しない」に関
してですが、コメントを拝見すると「買い替えの動機づけにはならないが、買
い替え時の検討材料にはなる」「あって当たり前の機能となる」等、運転支援
システム自体に対しての否定的なコメントは少なく、コスト次第ではあるもの
の運転支援システムが将来普及する装備であると考えられている方が多いとの
結果となりました。 

 今はオプション装備の安全運転支援システムも、過去にシートベルト、エア
バック、ABS、横滑り防止装置などのオプション装備が標準装備や義務化となっ
た様に、将来は購入者の意思に係わりなく装備され、今回のアンケートで「購
入単価アップに繋がる」とご回答頂きました中でもコメント頂きましたが、単
価に含まれていく(上乗せされる)可能性も十分あります。

 また、現時点ではコストが高く今すぐには必要ないと感じている層に対して
も、将来、自動車保険の割引適用や、事故防止による費用対効果が実証され、
安全性が世の中で認知されるようになれば、訴求力の高い装備になっていくの
ではないでしょうか。2014年より、国土交通省所管の独立行政法人「自動車事
故対策機構 (NASVA)」で行われている自動車アセスメントに「予防安全性能ア
セスメント」が追加されており、評価制度も整ってきており、世の中の流れと
して運転支援システムの認知は進んでいくと思われます。

【運転支援が目指す先】
 以上、頂いたコメントをもとに種々記載して参りましたが、社会的存在意義
と、ユーザーにとって魅力的でメリットを感じさせる商品が市場に出てくる事
による需要の高まりによって、今後安全運転支援システムは社会に普及してい
く機能である事は必然の帰結といえるのではないでしょうか。

 各自動車メーカーのキャッチフレーズ「Fun to Drive」、「Be a driver」、
「駆け抜ける歓び」等からも伝わるように、自動車メーカーは、交通事故低減
に向け、且つ、運転操作への過剰介入とならない様な技術革新を目指しており、
全ての世代に安全性を、そして、(購買力のある世帯に限られてしまうかもし
れませんが)更に進化させた快適性を感じてもらえるような車作りを目指して
いるように感じます。

 運転支援システムの先には「自動運転」があります。Google や Apple 等 IT
業界からのアプローチと、自動車メーカーが目指す将来像が、似て非なるもの
なのか。若しくは将来的に融合された Something が生まれるのか。その段階に
達するにはインフラ等都市構造の変革が求められ、民間企業を超えた話となっ
てきますが、何れにしても「交通弱者」がいない世界が実現する事を期待して
やみません。

<成田 朗子>

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