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コラム

自動車の大きさ・重さで最も気になる要素は?

今回は「自動車の大きさ・重さで最も気になる要素は?」というテーマでご協力を
お願いしたアンケート結果を踏まえたレポートです。

http://www.sc-abeam.com/sc/?p=7222

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【はじめに】 今回のアンケートは、自動車を所有・使用する局面において、寸
法・重量関連項目で最も気になる要素についてお尋ねするものとした。 この設
問に至った背景には、ここへ来て車両重量に関して興味深い動きが複数見られた
(2014年に米国で年間 75 万台もの販売を記録した最量販車種がモデルチェンジ
に際して 300kg を超える、同じく年末に日本国内で発表・発売された新型軽自
動車が約 10 %にあたる 60kg もの、いずれも軽量化を実現した)ことや、それ
とは対照的に昨今の乗用車の多くが寸法・重量ともに押し並べてその値が大きく
なっており、筆者も先日、実際の自動車選択に際してそれがゆえに見直しを余儀
なくされるという経験をしたということがある。
 本項では自動車の寸法・重量を巡る近年の動きを振り返るとともに、ニーズに
ついてのヒントも探ってみたいと思う。

【ワンクリックアンケートの結果】 今回は、選択肢として全長・全幅・全高・
車両重量(および、その他)の 5 つを設定し、ご意見をいただいた。まずはそ
の結果について俯瞰してみたい。

1. 全長:32% 
―今日の車は必要以上に大型化・高出力化・高級化していると思う。ダウンサイ
ジングして仕様も簡素化していくべきだ。

2. 全幅:32%
―日本の道はまだ狭いところが多く、利便性を考えると車幅は重要な要素だと思
う。
―全ての国産 5 ナンバー車の車幅があと 50~ 60mm あれば閉塞感が軽減される
と思う。 

3. 全高: 8%
―全高方向で室内容量を巧みに稼いでいるモデルがエポックメーキングな存在と
なった例がこれまでにもあったし、今後についても高さ方向の工夫に期待してい
る。

4. 車両重量:19%
―快適性・安全性追求の結果としての大型化の流れと、環境に目を向けた場合の
軽量化ニーズという相反する要素が混在する中にあって、車重に注目していきた
い。

5.その他(最低地上高・ホイールベース等):9%
―小回り性を車種選択の一つの基準としている。回転半径が大きいと取り回し性
に問題が出て来る。
 
 今回の結果で特徴的だった点としては「全長」および「全幅」を気にするとさ
れるご意見がそれぞれ全体の 32 %、両者合計で全体の 2/3 を占めていたこと
がまず挙げられよう。中でも「全幅」については具体的なコメントを添えてくだ
さったかたが多く、かつその大半は、幅が拡がり過ぎると実際の利用シーンにお
ける取り回し性が低下し、利便性に大きく影響するという趣旨となっていた。も
ちろん、車両全体のバランスを考えた車体サイズ設定の重要性や、いわゆる 5
ナンバーサイズの「幅 1.7m 以下」という条件がもたらす設計・商品企画面での
制約のデメリットを具体的に説いてくださったご意見もあり、必ずしも車体幅の
増大傾向・大きさに対するネガティブなコメントばかりだったわけではない。
 それと同時に快適性・安全性の追求の結果としての大型化は不可避という前提
にたって、コストとの折り合いを付けつつの新素材の積極的な採用による軽量化
への期待を述べてくださったかたも複数おられ、既に市販車でも推し進められて
来ている取り組みではあるが、今後もその動きに注目していく必要性をあらため
て認識させていただく機会となった。

【自動車の寸法・重量の動き】 もしお時間があれば皆様が最も身近に接してお
られる乗用車(愛車あるいはこれまでに記憶に残っているお気に入りの車種)の
サイズが、過去どのように変化してきたかを調べてみていただきたい。 ごく限
られた例のご紹介となってしまうが、筆者が 1980年代に中古車で付き合い始め、
現在も気になる車種の一つである中型セダンでみると、当時のサイズは全長 4.
3m ・全幅 1.6m ・車両重量 1.1t であったが、その後モデルチェンジの度に大
型化し、現在は順に 4.8m ・ 1.8m ・ 1.5t と、もはや自宅周辺の道路そして駐
車場には収まらないサイズになってしまっている。小型セダンにしても 3 ボッ
クスタイプで 4.0m ・ 1.6m ・ 1.0t 前後というのが標準的だったのは遠い昔の
話で、今や 4.5m ・ 1.7m ・ 1.2t 前後が中央値(というには些か車種が減り過
ぎた感もあるが)、特に全幅については小型車枠がゆえに何とか 1.7m (1.695m)
に収まっている車種がある一方で、既に 1.8m に届かんとする車幅に達している
モデルも少なくない。
 また、車両重量についても 1t を下回る小型車はもはや数えるほどしかなく、
軽自動車においてすら大半のグレードが 1t を超えている車種があるほか、ミニ
バンにあっては 1.5t 超が多数派で、更には 2t を超える重量級も決して少数派
ではないという時代に突入している。新規登録乗用車の普通・小型(いわゆる
3 ナンバー・ 5 ナンバー)の比率をみても 3 ナンバー比率が 1980年・ 1990年・
2000年・ 2013年の順に 3 %・ 11 %・ 26 %・ 49 %と急拡大しており、メー
カーによっては過去 10年あまりの期間に「ほぼ全てが 5 ナンバー」という商品
構成から「大半が 3 ナンバー車」というラインアップに変貌したところもあり、
要因としては全幅の拡大による普通車への移行傾向が顕著である。
 もちろん、全ての車種がただひたすら大型化・重量級化しているかといえばそ
うではなく、冒頭に触れた軽自動車のようにどこにそれほどの余地があったのか
と驚かされるほどの軽量化を実現するケース、登録車においても車体が大型化し
安全装備も充実してきている割には車体重量がさほど増加していない実例も多い
ほか、これは「軽規格」がゆえの開発努力の賜物といえるのかもしれないが、軽
自動車においては全長 3.4m ・全幅 1.48m (そして高さ 2m)という制約のもと
過去 20年あまりの間に明らかに商品力を向上させてきている。このことは、自
動車メーカーにあっては市場ニーズに応じた寸法・重量の商品を開発する実力は
着実に蓄積されているということの証左ではなかろうか。

【市場ニーズへの対応】 そうなると、あとは市場ニーズをどう捉えてそれを商
品開発にどう反映していくかという点が、いかに販売を伸ばしていくかに直結し
てくることは言うまでもない。翻って今回のアンケート結果からも伺えるとおり
自動車の寸法・重量に関しては、大きいクルマのほうが快適だし安全なはず、と
いう入り口はともかく、その先にある突き詰めたところのニーズ(制約)は意外
と「大き過ぎない車体」(走りにくい、車庫に収まらないような車体)に絡む要
素が大きいのではないかと感じた。現在利用する自動車の大半が 5 ナンバーサ
イズである筆者の実感としても「この局面は 5 ナンバーサイズを大きく超える
と苦しいなぁ」と感じるシーンが今なお多くあるし、実際にも先日とある新型車
に惚れ込んだ知人に付き合って新型車に試乗までしたものの、どうしても実用に
耐えない車体の大きさがゆえに土壇場で購入を断念せざるを得なかったというケー
スにも遭遇した。
 また、過去 20年あまりに「ヒット作」と言われる地位を築いた車種を振り返
ってみても、ヒットに至った原動力は数多く挙がっているものの、その少なから
ずが「その車種ならではのサイズ感」を持ち合わせていると感じている(例えば、
近年拡大傾向にある車幅について 1.7m サイズに収めているとか、全長を抑えつ
つ 3 列シート配置を実現した、等)。近年の軽自動車の人気も勿論、維持費の
安さや激しい競合がゆえの積極的な新モデル投入等によるところは勿論あろうが、
同時に「サイズは不変」(厳密にいうと全長・全幅は不変なるも、高さ方向での
差別化・新ジャンル創出が続けられている)という要素によるところもあるので
はなかろうか。また、登録車における SUV 人気の一端もことによると、全幅こ
そ大きくなりがちではあるものの、意外と短い全長によって何とか取り回し性が
確保されていることにも支えられているのかもしれない(というのは近年、頻繁
に近親者の SUV を運転する機会のある筆者の実感でもある)。
 環境性能・安全性の向上という必然的にコストの掛かるエリアの研究開発とは
別に、こうした車体寸法に関するニーズを的確に汲み取ることも、ことによると
いま非常に有効な商品企画の一要素であるのかもしれず、しかもそれは、必ずし
も大きなコストやリードタイムを伴わない形で検討・具現化出来る要素であるか
もしれない。過去にも何度となくあったような「なるほど、この手があったか」
と思わず唸ってしまうような寸法・重量あるいはパッケージングの新ジャンルへ
の新型車投入に、具体案もないままであるが大いに期待する次第である。

<清水 祥史>

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