AYAの徒然草(34)  『男性のみなさん、もっと女性の「脳」をエスコートしてください!! (前編)』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第34回 『男性のみなさん、もっと女性の「脳」をエスコートしてください!!(前編)』

男性のみなさん、「女はどうしてこうも話好きなんだろうか?」とか、「どうして女はすぐに感情的になるんだろう?」と思ったことはありませんか?また、女性のみなさんは、「男はどうして結論を急ぐんだろうか?」とか、「どうして男は理詰めで追及してくるんだろう?」と思ったことはありませんか?どうやら、個人の性格の違いや努力が足りないというようなレベルではなく、もっと根本的なところで、男性と女性では考え方・感じ方・見方の違いがありそうな気がしませんか?

先日、脳科学者の黒川伊保子さんの講演を聞く機会があり、とても感銘を受けました。今回は 2 週にわたって、黒川さんの理論を紹介させて頂きながら、男性と女性の脳の違いについて私なりに考えたことを綴らせて頂きます。

男性と女性では、生まれながらにして「脳」の構造に違いがあるんです。決定的に違うところは、右脳と左脳をつなぐ「脳梁」という部分の太さだそうです。女性の方が男性よりも 20 %も太いそうです。だから、女性の脳は、男性の脳よりも、右脳と左脳の連携が良いんです。

私たちは、「目」でものを見ていると思い込んでいますが、実は、「目」を通して「脳」でものを見ています。右目で見たものは左脳を通して、左目で見たものは右脳を通して情報が伝わって脳の中でそれが映像化され、2 つの映像が合体して初めて私たちが普段見ているような 1 つの映像になるのだそうです。この仕組みは、見ている対象物までの「距離」を測るためなんだそうです。片目でものを見ると距離感がつかみにくいのはそのせいです。片目だけでは、ものの奥行きが測りにくいのです。

人間が右目で見た映像と左目で見た映像には、少しブレ(差異)があるそうです。脳は、その映像のブレからものの「奥行き」を測っているそうです。

女性の脳は、「脳梁」が男性よりも太く、右脳と左脳の連携が良いので、右目と左目から入ってきた映像のブレ (差異) を感知する前に映像化されてしまい、そのブレがわかりにくいそうです。だから、映像が二次元(平面)になりやすく、奥行き計算が苦手で、手前にあるものほど興味がわくそうです。でも、奥行き計算をしない分、つぶさにものを見る能力が優れているのだそうです。

一方、「脳梁」が細い男性は、右脳と左脳の連携が鈍いので、そのブレがくっきり映し出されるそうです。だから、男性の脳は、距離感や奥行きに強く、そのため、空間認識が得意で、三次元(立体)の形状を好み、近くにあるものよりも遠くにあるものへの興味がわくのだそうです。

また、女性の脳は、「長軸索」という、距離の遠い 2 つ以上の脳神経細胞を接続させる役目を果たす神経が活性傾向にあり、概念距離の遠い神経細胞同士を接続させて組み合わせ、複雑な認識をさせるそうです。複雑性の高い事象に目が行くので、自然・個性やばらつき・顔の認識・左右非対称・紆余曲折のあることや意外性・ドラマティックなことなどを好むそうです。女性は、紆余曲折なことが好きだから、おしゃべり好きな人も多く、そして人に共感したがるんですね。

男性の脳は、「短軸索」という、距離の近い 2 つ以上の脳神経細胞を接続させる役目を果たす神経が活性傾向にあるので、単純・簡潔さを求め、高速処理が得意なんだそうです。だから、人工・合理性・整然としたもの・モノトーン・直線・四角・論理的なこと・誰もが納得できる明確なゴール・最短パス・必然性・権威・数字というようなことを好むそうです。男性特有の論理的な考え方や合理性を追求したりする思考の基盤は、この短軸索が活性化されていることによるんですね。

そして、女性は、右脳(感じる領域)と左脳(言語領域)が頻繁に連携されるので、感じたことを言語化するのが得意なんですって。赤ちゃんの成長過程で、男の子よりも女の子の方が言葉を話し始める時期が早いというのはここから来ているんですね。その上女性は、長軸索が活性化傾向にある影響で複雑な事象や紆余曲折を好み、単純さや簡潔さを求めない故、「結論」から話すことが苦手で、ものごとを「経緯」から話す傾向にあるそうです。女性は、「結論」よりも「経緯」の方が重要なのです。だから女性は話の長い人が多いんですね。また、「結論よりも経緯の方が重要」ということは、会話のみならず、女性の他の行動にも当てはまることが多いそうです。

こんなふうに、男性と女性では、同じ人間なのに、脳の仕組みの違いで、普段目に入っているもの(見えているもの)から感じ方まで、生まれながらにして違うことがいろいろとあるんですね。これは、とても興味深いことですよね。

先日、映画「2 番目のキス」を観たんです。大リーグのレッドソックスをこよなく愛する独身の高校教師ベン(男性)と、ビジネスコンサルタントとして成功を収め、昇進命のキャリアウーマンのリンジー(女性)のラブストーリーです。2 人の交際は順調と思いきや、ベンの熱狂的なレッドソックスファン魂が、2 人に険悪なムードを引き起こすようになるのです。リンジーが週末に会う約束をしようとしても、ベンはレッドソックスのキャンプを見に旅行に出るからと断るのです。リンジーは当然、不機嫌になります。ベンは、一事が万事、行動の原点が「レッドソックス」なのです。リンジーは、そんなに夢中になれるものがあることは素晴らしいことだとベンをうらやましくも思うのですが、何かにつけて、「レッドソックスの試合があるから」という言い訳をしてくることに次第に呆れていき、徐々にすれ違いになっていくのです。「レッドソックスと私、どっちが大事なの!!」と、怒りすら込み上げてきます。好きな人の一番大事なものが自分じゃないことに、深く傷ついていくのです。

男性のみなさん、ベンと同じような経験はありませんか?趣味や仕事を優先して、恋人(奥さん)に不愉快な思いをさせたり、怒らせてしまったり。趣味や仕事と、恋人(奥さん)は、同じ土俵に置いて比べるものじゃないのになんで怒るんだろう???と思ったことはありませんか?また、みなさんがベンの立場で、彼女から「レッドソックスと私、どっちが大事なの!!」と言われたら、なんと言って彼女の傷心をなぐさめ、怒りをなだめ、元の良い関係に戻そうとしますか?女性のみなさんは、自分がリンジーだったら、趣味を優先させて自分を放っておいた彼からどのような言葉を掛けてもらったら、一番気持ちが落ち着きますか?

さて、この場合、女性の「脳」に一番効果的な模範解答は、どのような言葉だと思いますか?さきほどの「女性の脳は(結論よりも)『経緯』が重要」という女性特有の脳の仕組みを思い出して、ちょっと考えてみてください。

(次号掲載の後編に続く)

<佐藤 彩子>