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コラム

クロスオーバーモデルの好調と今後の展開について

今回は、「クロスオーバーモデルの好調と今後の展開について」をテーマとし
た以下のアンケート結果を踏まえてレポートを配信致します。

http://www.sc-abeam.com/sc/?p=7005

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【国内市場におけるクロスオーバー SUV の好調】

 国内新車販売市場において、複数ジャンルを掛け合わせたクロスオーバー SUV
として発売された新型車が好調だ。

 フィットをベースに SUV の力強さとクーペが持つ流麗なフォルムを組み合わ
せたというホンダ・ヴェゼルは、12月の発売後 1 カ月余りで月販計画の 8 倍
超を受注し、2014年 1月の新車乗用車販売台数月別ランキング(日本自動車販
売協会連合会発表)では 9 位にランクインした。ワゴン R をベースに、SUV
のユーティリティーと走りの融合を軽自動車で実現したというスズキ・ハスラー
も、2014年 1月のランキング新車乗用車販売台数月別ランキング(軽自協連発
表)で発売が月中であったにも関わらず 10 位にランクインし、すぐに計画月
産台数を 2 倍に引き上げる方針を発表した。

 いずれも、それぞれのベースとなっているコンパクトモデルから派生し SUV
などのジャンルと掛け合わせることによって、プラスアルファの個性を主張し
ユーザーに新しい価値観を訴求するモデルであると見受けられる。一方で、現
状のヒットモデル要件として不可欠な、環境性や居住性・利便性はしっかり押
さえている。

【クロスオーバー SUV の成り立ちと変遷】

 オフロードでの高い走破性やフレーム構造による高い耐久性を実現する従来
の SUV に対し、一般的な乗用車と同じモノコック構造を持ちオンロードでの走
行を主目的とする SUV は「クロスオーバー SUV」と呼ばれているが、日本自動
車販売協会連合会の車種定義(平成 25年 12月 31日現在)で SUV に分類され
ている車種のうち上記のようなモノコック構造を有するモデルが大半を占める
など、目下の市場で SUV と称されているモデルの大部分が前述のクロスオーバー
SUV に該当している。

 クロスオーバー SUV の殆どは、ベースとなるモデルからの派生車種として、
プラットフォームを共有している。例えば、国産クロスオーバー SUV の火付け
役を担ったとされるトヨタ・ RAV4 やホンダ・ CR-V は、それぞれカローラ、
シビックをベースとしている。

 これらのクロスオーバー SUV は、従来は大型セグメントにて発祥したもので
あるが、近年では小型セグメントにラインナップを拡大している。小型セグメ
ントであっても、同セグメントのセダンやハッチバックをベースとした派生ク
ロスオーバー SUV が投入されている場合が増加している。また、このように大
型セグメントから始まったクロスオーバー SUV モデルのラインナップが小型セ
グメントに拡大し人気を博している状況は、海外メーカーについても同様であ
る。

 こういった小型クロスオーバー SUV のラインナップ拡大の影響か、日本自動
車販売協会連合会が公開している統計データによれば、普通乗用車の年間販売
台数に占める SUV の割合は、2010年の 13.8 %から 2013年には 16.3 %、2014
年(1-2月)では 22.4 %にまで上昇している。また、新車乗用車販売台数月別
ランキングにおいても、2010年で上位 30 位に入っているクロスオーバー SUV
モデルが 1 車種であったのに対し、2013年には 3 車種、2014年(1-2月)では
5 車種が入っている。

【クロスオーバーモデルの今後の展開】

 上述の小型クロスオーバー SUV モデルの好調は、環境性や居住性をアピール
するモデルが市場にあふれる中で、環境性や居住性だけに留まらない嗜好性や
趣味性など、所有欲をくすぐるプラスアルファの個性をアピールすることでユー
ザーに新しい価値観を訴求できている結果であろう。

 このような、ベースとなっているモデルから派生することによって新しい個
性をアピールするモデルは、自動車メーカー各社のモデルラインナップにおい
て今後どのような位置付けになるのであろうか。メルマガ読者の皆様にご意見
を頂戴した結果は、以下の通りとなった。
 
1.ベースモデルからクロスオーバーモデルが派生するというトレンドは一過性
   のものに過ぎず、モデル数は減少していく :18 %

2.ベースモデルからクロスオーバーモデルが派生するというトレンドが続き、
   特に小型 SUV でモデル数が増える :30 %

3.ベースモデルからクロスオーバーモデルが派生するというトレンドが続き、
   小型 SUV に留まらず、スポーツ MPV や 4 ドアクーペやなど様々なジャン
   ルの掛け合わせへ広がりを見せる  :48 %

4.その他  :4 %

 まず、ベースモデルからクロスオーバーモデルが派生するトレンドが続くと
お考えの方(2.または 3.とお答えの方)は、全体の 8 割近くに達するという
結果となった。飽和した国内市場において環境性や居住性は既に”当たり前”の
差別化争点となっており、ベースモデルでは難しい頭一つ飛び抜けた差別化を
実現するため、このトレンドは継続されるであろう。

 さらに、クロスオーバーモデルの派生は小型 SUV に留まらないとお考えの方
(3.とお答えの方)が全体の 5 割近くに達した。クーペとセダン、SUV とクー
ペ、スポーツカーと MPV など、主に欧州メーカーが複数ジャンルを組み合わせ
たクロスオーバーモデルで成功している事例があることから、このトレンドは
加速するとお考えの方は多いようである。また、モジュール化の進展により派
生モデルを開発するコストの低減が進めば、派生モデル開発時の損益分岐台数
は下がり、派生モデル増加の追い風になるとの声も寄せられた。その他、今後
は市場規模拡大だけではなくニーズ多様化も見込める成長著しい新興国市場を
見据えた派生モデルの展開もありうるのではないか、とのご意見も頂いた。
 
【新しいジャンルの創出への期待】

 市場ニーズの多様化やモジュール化進展による派生モデルの開発コスト低減
など、昨今の小型クロスオーバー SUV のように、ベースモデルとは一味違う個
性を持った派生モデルが増加するための環境は整っていると言える。

 かつて乗用車をベースとしたクロスオーバー SUV というジャンルが生まれ、
今では既存ジャンルとしてすっかり定着し小型セグメントへの拡大が進んでい
るように、今後も既存ジャンルを跨いだ新たなクロスオーバーが生まれ、現時
点では想像できないような新しい市場を切り開いていく可能性もある。多様化
する市場ニーズに応える新たな価値観を提案する新しいモデルや新しいジャン
ルが次々と創り出され、自動車業界に広がりがもたらされることを期待する。

<宋 太賢>

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