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コラム

業界人が読みたい1冊『能力構築競争』

第3回 『能力構築競争』
(著者:藤本 隆宏、発行元:中央公論新社)
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某雑誌の年間ベストセラー100選にも入っていた本書をご存知の方は多いと思うが、まだ読まれてない方には是非ともお勧めしたい1冊である。
筆者は、自動車産業に関する研究の第一人者である東京大学経済学部の藤本教授であり、専攻は技術・生産・経営管理論である。
本書では、日本の自動車産業が追求してきた「もの造りの強み」を、自動車という商品の特性(本書では「アーキテクチャ」とある)と自動車産業の歴史的背景を踏まえながら分析している。
日本の自動車産業は、デザイン、ブランドといった商品自体の競争力(本書では「総合商品力」=「表層の競争力」とある)よりも、製造現場での生産効率の向上(「深層の競争力」)に注力し、世界の自動車産業と競争してきたが、これには、従来の欧米型の大量生産では対抗できない市場、環境の制約の中で培ってきたものである。
その日本の自動車産業の成長を中心となってリードしてきたのはトヨタ自動車であり、トヨタがどういう環境の中で、所謂「トヨタ生産方式」を構築してきたのか、世界有数の製造業の地位を築いたのか、というのを中心に分析している。

この本をお勧めしたい理由は2つある。
1つは、トヨタを始めとする日本の自動車会社が導入してきた革新的な量産システムが、どういった時代背景の中で、何のために、いつ頃導入され、どういう効果をもたらしたのか、わかりやすく説明している点である。トヨタ生産方式に関する本は無数あり、今や「カンバン」「カイゼン」という言葉の意味は自動車業界では世界中に浸透している。しかしながら、そういった競争力追求の努力を強いられた歴史的背景とそれがもたらした
強みについて、この本では明確に説明している。
もう1つは、欧米他他国の自動車産業と日本の自動車産業の歴史的背景とその成長の変遷を具体的な事例を交えながらわかりやすく説明している点である。素人的には、世界の自動車メーカーが皆トヨタ生産方式を導入したら、競争力がなくなるのでは、と疑問を持ちたくなるが、欧米自動車メーカー各社がなぜ日本に差をつけられたのか、どうやって追い上げようとしたのか、それに対し日本のメーカーがどういう方向に進んだのか、こういった疑問に答えてくれる。
日本の「もの造りの強み」について興味はあるが難しい話しは自分とは縁がないと思われる方にも、トヨタの本はもう十分読んだのでわかっているとい方にも、是非とも一読頂きたい1冊である。

<本條 聡>

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