AYAの徒然草(20)  『私のとっておきの時間』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第20回 『私のとっておきの時間』

最近、行きつけのカフェが 1 つ増えたんです。お店のすぐ目の前がビーチと公園になっていて、江ノ島と相模湾を一望できるとってもステキなカフェなんです。海に面している壁は全てガラス張りで開放感があり、陽の光がまぶしいほど入ってきます。夕方になると、その窓の向こうに、海に沈む美しいサンセットと江ノ島が望めるんです。すっかりこの景色が気に入ってしまい、今年に入ってからもう 3 回も足を運んでいます。私が住んでいる都内からはちょっと遠いのですが、でも、その微妙な遠さが、たどり着くまでの間に私をちょっとした旅気分にさせてくれ、それがまた良いんです。ロケーション、お店の雰囲気、窓からの景色、全てが私を「非日常」の感覚にしてくれるこのカフェのお陰で、オフの楽しみが1つ増えました。

このカフェに行って何をしているかと言えば、実は、1 人でエスプレッソを飲みながら考えごとをしたり本を読んだりしているんです。考えごとをしたり本を読んだりすることなんて、自分の部屋でもできるし、どのカフェに行っても同じじゃないかと思われるかもしれませんが、私にとっては、「非日常」になることがとても重要で、このカフェのように、オンの時には全く接点のない空間じゃないと気分がリフレッシュされなくてだめなんです。だから、オフでも仕事の気分が抜けきらない時に、自然と行きたくなる場所が好きなんです。デートで行きたくなるようなお店は、もっとこじんまりしていてあったかい雰囲気を好むのですが、1 人で過ごすお店は開放的な方が心地良いんです。

最近、凝り始めたことが 1 つあります。それは、お菓子作りです。お菓子作りが高じてパンを作ることもたまにあります。しかし、作る時間はいつも夜(深夜)なんです。私にとってお菓子作りやパン作りをしている時って、無の境地に入り「無心」になれる時間なんです。だから、夜の静寂さの中で作る方が上手くできるというか、気分が乗るんです。他に、お菓子作りやパン作りの魅力は、生地の触感から焼き上がりの香ばしい匂いまで、五感を楽しめるところ。お菓子やパン作りは(特にパン作りは)、その日の湿度や気温によって、いつもと同じ分量の材料で同じ温度で焼いても、いつもよりもふわふわになったり堅くなったりと違う触感のものが出来上がったりするんです。それを、その日のコンディションを感じ取り、自分の経験と感覚で生地の泡立て具合や練り具合を調節しながら作るところが、まるで職人さんになった気分になれて、とても楽しいんです。もちろん楽しいのは、出来が上手く行った場合だけですが、失敗した時は仕事と同様、「どこが悪かったのだろうか」、「いつもと何が違ったのか」と失敗の原因を分析し、次に同じ失敗を繰り返さないようにちゃんとメモしておきます。また、出来上がりが自分の満足の行くものになった場合、「私の感覚は鈍ってないな」と、自分に自信がつくんです。そんな「無心」にもなれて自分にも自信を持てるお菓子やパン作りの時間は、私にとって、お気に入りのカフェで 1 人で過ごす時間同様、至福のひとときなんです。

こんなふうに、カフェで考えごとをしたり夜中にお菓子作りをしたりして 1人で過ごす時間が、最近の私のパワーの源になっているような気がしています。日ごろ、一緒に過ごしてくれる家族や友達がいるからこそ、1 人でいる時間の大切さがわかることってあると思います。家族や友達、職場の人たちと一緒に居るときの時間は楽しいし、いろんな話ができて刺激もある一方、無意識のうちに気を遣っていたりするところがあり、知らず知らずのうちに心は疲れていると思うんです。それを、1 人で過ごす私の「とっておきの時間」が、私を「素の私」に戻してくれて、もやもやしていたものがあってもそれが全てリセットされているような気がするんです。その 1 人で過ごす「とっておきの時間」が、最近の私の小さな幸せでもあり、そしてその時間で温められた小さな幸せが、ちゃんと仕事に還元されるようになればいいなぁと思っています。

自分の部屋で本を読んだり考えごとをしたりすることは、みなさんもよくあると思います。それを、「非日常」に場所を変えてみるだけで気分が全然違うんですよ。いつもとは違う空間で「とっておきの時間」を過ごすことにより、いつもとは違うヒラメキが浮かび、新たな発見ができると思います。そんな、自分のための「とっておきの時間」を作って心のメンテナンスをすることを、私はオススメします。

<佐藤 彩子>