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コラム

新・業界ニュース温故知新 『研究開発拠点としての中国』

 過去の自動車業界のニュースを振り返り、新たな気づきの機会として紹介し
ていたこのコーナーですが、新たな形態にリニューアルします。

 過去の記事で取り上げた内容を振り返り、現在の自動車業界と照らし合わせ、
新たな視点で見直していきます。

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『研究開発拠点としての中国』

◆トヨタの中国戦略、中国における研究開発会社の概要を発表
 6億8900万ドル(約530億円)を投資、中国向け新エネ車の開発を中国で進める

 トヨタ自動車は、日本、米国に続き中国でもPHVやEVの研究開発を進める。
 主に中国国内向けに投入する環境技術を開発する。トヨタ自動車は2011年10
 月21日、中国に置いた豊田汽車研究中心(トヨタ自動車研究開発センター、
 TMEC) の活動概要について発表した。
 
【参照記事】

『新生GMにとっての中国拠点の役割』

◆米GMと中国・上海汽車(SAIC)、パワートレインの共同開発で合意と発表

 エンジンは直噴の 1000~ 1500cc でターボチャージャで過給する。変速機は
 現在の 6 速 AT 比で燃料の消費量と CO2 の排出量を 10 %以上減らすこと
 ができる乾式のクラッチを使う DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッショ
 ン)。開発はデトロイトにある GM の powertrain Engineering Center と、
 上海にある Pan Asia Technical Automotive Center が共同で当たる。

                   <2010年08月18日号掲載記事>

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【参照記事の概要】

 2009年から新生 GM として再建を進めてきた米 GM であるが、着実にその復
興の道程を進めている。財務体質も改善、キャッシュフローの黒字化も果たし、
販売台数も回復傾向にある。その復興を牽引しているのが、GM 最大の販売市場
となった中国である。

 新生 GM にとって、中国は単なる最大の販売市場というだけでなく、上海汽
車との強力なパートナーシップのもと、グローバル展開における中心拠点であ
り、研究開発拠点でもあるという三つの役割を担う存在となっている。

 特に、研究開発拠点としては、パワートレイン領域での共同開発という、こ
れまでの中国市場向けの商品開発という枠組みを超えたものになっている。中
国側(GM の場合、上海汽車)にとっても、中国市場だけでなく、海外市場への
展開を睨んだ技術開発といえ、グローバル展開を進める先進国メーカーと肩を
並べるところに着実に迫りつつあるといえる。

http://www.sc-abeam.com/sc/?p=191
 
【増殖する中国の研究開発拠点】

 今月、トヨタは、中国江蘇省で研究開発センター「トヨタ自動車研究開発セ
ンター(中国)有限公司(TMEC)」の定礎式を実施した。TMEC 自体は、昨年
11月に設立し、今年 4月から業務を開始しており、建物やテストコースなどの
主要設備は 2013年の完成を目指しているという。総投資額は約 525 億円と報
道されている。中国における最先端要素技術の開発拠点として、特に環境技術
の中国での普及を目指すとしており、合弁パートナー(第一汽車、広州汽車)
などとも広く連携を図るという。

 中国での研究開発拠点の設立・拡大は、GM やトヨタに限った話ではない。日
産は、東風日産傘下の研究開発センターを 2006年に設立しており、ホンダは、
広州ホンダ傘下の研究開発センターを 2007年に設立している。両社は、これら
の研究開発センターで、東風日産、広州ホンダの自主ブランド車の開発を進め
てきた。最近では、マツダも、長安マツダ(2012年にフォードの資本が抜け、
長安フォードマツダから長安マツダに切り替わる予定)の傘下に研究開発セン
ターを設立する意向であることが報道されている。
 
【中国の研究開発拠点が担う役割の変化】

 これまで、中国における研究開発拠点の役割は、中国市場のニーズを取り込
むことに主眼があった。中国市場の拡大に伴い、先進国市場向け車種の中国テ
イスト仕様へのカスタマイズから、現地での自主ブランド車の開発へ機能を拡
大させてきた。こうした取り組みの中で、短期間での設計開発、現地サプライ
ヤの起用によるコストと品質の最適化調整、等々、培ってきた知見、ノウハウ
も蓄積してきていると考えられる。

 近年、中国政府の政策的な後押しも受けて次世代環境車の関連技術開発と市
場投入が急速に進み始めていることや、新興国市場でのシェア維持拡大のため
に競争力のある低価格車投入が不可欠であることを受け、グローバル展開する
先進国自動車メーカー各社における中国での研究開発拠点の位置づけが変わり
つつある。

 冒頭に紹介した通り、昨年 GM はパワートレインの共同開発を中国の研究開
発拠点で進めると発表しているが、今年 9月には中国アドバンスドテクニカル
センター(ATC)を開設し、電気自動車やプラグインハイブリッド車用のバッテ
リーの試験開発に取り組むことを発表している。家電・ハイテク系産業は既に
中国が最大の生産市場になっていること、レアメタル等の資源国であること、
そして、政府自体もこうした産業への優遇政策を進めていることなどからも、
こうした次世代環境車の関連技術の開発が中国で今後拡大する可能性が高い。

 これまで、日米欧といった先進国中心に進めてきた研究開発拠点とは違う位
置づけで、低価格車開発や次世代環境技術開発などの分野で、中国の研究開発
拠点が担う役割が大きくなりそうである。

<本條 聡>

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