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コラム

省燃費運転を浸透させるために

◆日産、メーターパネル内に燃費表示計。今後発売する新型車すべてに搭載へ

22日に全面改良して発売するSUV「エクストレイル」以降の一部改良を含む新型車にグローバルに順次採用する。ドライバーの燃費を意識した丁寧な運転をサポートする為、走行中のクルマの瞬間燃費や平均燃費をメーター内のディスプレイに表示させる。ドライバーは、アクセルの踏み代によって、燃費が一瞬毎に刻々と変わることをリアルタイムに確認する事が可能。

日産の社内実験では、燃費表示計を搭載すると運転中の急激な加減速を控えるようになり、平均で約10%、燃費が向上するという。

現在の採用車種は、日本の「スカイライン」、「ラフェスタ」、「アトラス」、北米の「アルティマ」、「インフィニティG35」。

<2007年08月21日号掲載記事>

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【当たり前になりつつある燃費表示計】

近年、国内でも省燃費運転に関する機能を搭載する車種が増えてきている。コンビネーションメーターの内部や周辺などに、省燃費走行を行っていることを表示するタイプが多くのモデルに搭載されている。

トヨタは、昨年から AT 車に「エコドライブインジケーター」を順次搭載している。アクセル開度やエンジン・トランスミッションの状況、速度・加速度から運転状況を総合判断し、燃費効率が良い状態で運転している場合には、ランプを点灯させることで、ドライバーの省燃費運転への意識啓発を図り、燃費向上に寄与する、というものである。トヨタによると、約 4 %の燃費向上が見込まれるという。

ホンダは、既に 8 割の車種に、ECO ランプ機能や燃費表示計の搭載しているという。同社は「エコドライブのコツ」というリーフレットを昨年よりディーラーで配布しており、省燃費運転の意識浸透に力を入れている。

http://www.honda.co.jp/eco-drive/

そして、今回日産も、燃費表示機能を全面的に採用を進めることを発表した。日産の社内実験では、平均で約 10 %燃費が向上するという。この種の機能も、近い将来、「ついていて当たり前」なものになるかもしれない。

実は欧州では、もっと「当たり前」な存在になっているようである。BMW を始めとする欧州車では、10年以上前からこのような瞬間燃費計を採用しているモデルもある。昨今の OBD の普及に伴い、現在では、多くのモデルがコンビネーションメーター内部または周辺に多機能ディスプレイを設置し、その機能の一つとして、瞬間・平均燃費や航続距離などの情報を表示する機能を備えている。

【燃費を改善するために】

燃費は、以下のようなクルマの使用環境・条件によって大きく結果が異なるものである。
・温度、湿度などの気象条件
・空気圧、メンテナンス度合いなどの個体差
・エアコン使用や、荷物、乗車人数の違い
・道路の流れによる走行パターン
・加減速度合いなどドライバーの運転スタイル

※詳細は、以下 を参照方。

『thinkdrive(7)「燃料について」』

つまり、運手の仕方次第で、燃費は改善を図ることが可能であり、ドライバーに省燃費運転を意識させるだけでも改善効果が見られるということである。上記の通り、各社はこの意識による改善だけでも 4~ 10 %程度燃費向上すると発表している。

これまでも、自動車メーカー各社は、クルマ自体の燃費を向上させる技術の開発・導入を進めてきた。言い換えれば、誰が運転しても燃費が良くなる技術を追求してきたとも言える。しかし、環境規制が厳しくなる中、より実効性の高い燃費改善策として、ドライバー自身に省燃費運転を意識させる取り組みにも注力し始めているのであろう。

京都議定書以降、自動車業界だけでなく、消費者の環境問題に対する意識は日ごとに高まりつつある。さらに昨今の原油価格高騰も消費者の大きな負担となっている。こうした外的な要因も、省燃費運転への意識を高めることに大きく影響していると考えられる。

【省燃費運転を心がけたくなる機能】

現在、自動車メーカー各社が導入している、省燃費運転を心がけたくなる機能としては、以下のようなものが導入されている。

・瞬間・平均燃費、航続距離等の表示
・省燃費運転中に点灯するECOランプ等
・HEV車の動力使用・回生状況等の表示

こうした表示を見ながら、省燃費運転を心がけることによって、燃料代の節約を図ったり、環境への負荷低減に僅かながらも貢献していることに満足感を感じたりすることを促すものである。

これらの機能は、消費者側の主体性に委ねるところが大きく、生活習慣として省燃費運転が身についた人は継続して取り組むであろうが、今まで取り組んでなかった人が、改めて取り組みたくなるような魅力にかける部分もある。

そこで、改めて、省燃費運転を始めたくなるような仕掛け・機能を考えてみてはどうだろうか。

【「Nike+」に思うこと】

他の業界の事例であるが、スポーツ用品大手の Nike の「Nike+」を参考にしてみてはどうだろうか。

Nike は、PC 業界大手の Apple と提携し、同社の携帯音楽プレイヤー iPodNano (iPod の小型版)と連動するランニングシューズ等を展開している。(そのブランドが、「Nike+」である。)

シューズの中に小型センサーを入れることで、ランニング中に iPod で音楽を楽しむだけでなく、その走行ペースや距離、消費カロリーなどの情報を iPodで確認できるというものである。

ここまでの機能は、クルマの燃費表示機能と通じるものがある。目的は健康(環境)のための運動量の把握(燃費の把握)と運動(省燃費走行)自体の推進であり、適正な運動(省燃費運転)により健康(環境)を維持しているという満足感を得るものである。

しかし、Nike と Apple に注目したいところは、その先にある。

この走行データを自宅の PC に取り込むことで、自分の走行データを過去の実績を含めて確認でき、目標設定と結果のレビューをできるだけでなく、両社が構築した一種の SNS (ソーシャルネットワーキングサイト)を介して、世界中の仲間とコミュニティを形成しているところにある。

これにより、自分のランキングも把握できると同時に、仲間と情報交換しながら、ランニングへのモチベーションを高めることができる。さらには、バーチャル上にて、マラソン大会といった形でランニングデータのコンテストをやることで、利用を促進したりしている。こうしたネットワークを構築することで、安定したユーザーも確保できると同時に、このネットワーク自体への参加を目的にランニングを始める人も出てくるかもしれない。

【省燃費運転を浸透させるために】

省燃費運転についても、このような仕組みを作ることができれば、新たな興味を持つユーザー層もあるのではないだろうか。

技術的には可能だと思われる。HDD ナビのデータ更新を自宅の PC のネットワークを使って行うような仕組みも登場しているし、ポータブルナビを使って、自宅とクルマの中でデータをやり取りすることもできる。iPod と接続できる純正オーディオを導入しているメーカーも多数ある中、音楽を再生する以外の使い方が生まれても良いような気がしてならない。

既に、省燃費運転を評価・診断するような装置も実用化されており、法人ユーザー向けへの導入も始まっている。こうした診断技術を一般向けにも開放することで、利用を促進することも考えられる。

省燃費運転に、こうしたエンターテイメントの要素を加えることで、より一層大きな輪に広がる可能性があるのではないだろうか。クルマ生活に新たな楽しさを加えることが、クルマ社会を持続的に成長させるためにも必要だと考える。

<本條 聡>

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