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コラム

米国自動車業界の購買(1)

弊社親会社であるアビームコンサルティング(旧デロイトトーマツコンサルティング)が、自動車業界におけるモノづくりから実際のチャネル戦略に至るまで、さまざまな角度から提案していく。

アビームコンサルティング ウェブサイト
http://www.abeam.com/jp/

第 9 弾は、アビームコンサルティング USA 代表 ダロン・ L ・ギフォードとアビームコンサルィテング USA マネージャー河合博子が、米国自動車業界の購買について 4 週に渡って紹介する。今回はその第 1 回にあたる。

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第9弾『米国自動車業界の購買(1)』

(日刊工業新聞 2005年03月16日掲載記事)

今後数回にわたり米国の自動車業界における購買プロセスについて検証していきたい。今回は米国の自動車メーカーが購買プロセスのグローバル化をどうとらえているのか。また、長く信頼関係が欠如していたメーカーとサプライヤーの関係の変化について紹介する。

ゼネラルモーターズ(GM)社購買部門のトップであるアンダーセン氏が、昨年 10月発表したサプライヤーに対する技術援助・人材投資の動向は、ビッグスリーがこれまで製造コスト削減の要求一点張りで押し通してきた「サプライヤー泣かせ」の関係を修復しようとしている現れだといえる。

発表の内容は、GM の購買部門の品質管理エンジニア 240 人余りをサプライヤーの工場 451 地点に送り込み協力体制を築きながら、新製品発売に向けて部品および製造過程における品質問題がないように管理をしようというものである。

アンダーセン氏は「完ぺきな品質の部品調達の確保による製品完成」を宣言し、新製品が市場に届く最終工程までサプライヤーの作業を監督・管理することを決めた。このように品質管理専門の「調査官」をサプライヤー側に送り込み、協働作業を行うことは日本の完成車メーカーでは当然のごとく行われているプロセスだ。しかし、米国においてメーカー側が、前向きにサプライヤーとの協力体制を築いたうえで、品質管理と完璧な最終製品完成を目指すことを明言したのは注目に値する。

このような動きを関係改善の一歩と評価するとしても、米国の完成車メーカーとサプライヤー間には依然、根強い不信が存在していることを認めざるを得ない。ある大手サプライヤーのトップは「サプライヤー企業は、サイレントマジョリティー(言葉を持たない沈黙の集団)だ。米国自動車業界のビジネスモデルには決定的な理論的欠陥がある。メーカーの購買部マネージャーに、コストカットのプレッシャーをかけられるうえに、支払い遅滞は日常茶飯事」と苦言を漏らしている。

サプライヤーの企業団体である「オリジナル・イクイップメント・サプライヤーズ・アソシエーション(OESA)」も今後は、ビッグスリーの購買部門トップと「タウンホールミーティング」を持つことで、購買プロセス慣習の改善を目指していくべきであると宣言している。さらに OESA は大手サプライヤーがその下層に連なる二次・三次サプライヤーに、自分たち一次サプライヤーが完成車メーカーから受けてきた理不尽なプレッシャーと同様の圧力をかけてきたことを認め、「自己改善」する必要があると認識し始めた。

早急にサプライチェーン全体における関係修復・信頼関係の構築を目指さなければ、サプライヤー側が新技術に投資することもできないばかりか、品質管理の問題克服もクリアできない。競争し烈化するグローバルビジネスにおいては、メーカー、サプライヤーともこのままでは生存不可能になるという危機感を、米国自動車業界はついに実感し始めたのである。

<ダロン・L・ギフォード/ 河合博子>

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