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コラム

脇道ナビ (61)  『冷蔵庫を開けるネコたち』

自動車業界を始め、複数の業界にわたり経験豊富なコンセプトデザイナーの岸田能和氏が、日常生活のトピックから商品企画のヒントを綴るコーナーです。

【筆者紹介】
コンセプト・デザイナー。1953年生まれ。多摩美大卒。カメラ、住宅メーカーを経て、1982年に自動車メーカーに入社。デザイン実務、部門戦略、商品企画などを担当。2001年に同社を希望退職。現在は複数の業界や職種の経験で得た発想や視点を生かし、メーカー各社のものづくりに黒子として関わっている。著書に「ものづくりのヒント」(かんき出版)がある

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第61回 『冷蔵庫を開けるネコたち』

ゴソゴソ・・・・。台所から何やら不穏な音が聞こえてきた。早速、台所に行ってみると、案の定だ。我が家のネコ様たちがビニール袋に頭を突っ込んで何かを食べていた。ビニール袋を取り上げようとしたが、「ウウウー・・・」と威嚇し、ビニール袋をくわえて逃げ回る。やっとのことで、そのビニール袋を取り上げ、思わず「ヒェー、ウソだろー」と声をあげてしまった。それは、私がビールのつまみにしようと大切にしていたちくわの袋だったからである。しかも、そのちくわは冷蔵庫にしまっていたはずだ。恐る恐る、冷蔵庫を見ると、扉が開いていた。ネコ様たちは冷蔵庫の扉を開けて中を漁ったのだ。

我が家の冷蔵庫は、取っ手を「引く」のではなく、少し「押す」と、バネの力で扉が開くようになっている。手が濡れているときや、何かを持っているときはベンリが良い。その取っ手にネコたちが跳びついて扉を開けていた。

どうやら、我が家の冷蔵庫は誰にでもやさしいユニバーサルデザインなので、人だけでなく、ネコにも優しかったようだ。

もちろん、我が家のネコたちは器用ではない。ただ人一倍、いやネコ一倍、食い意地だけは張っている。だからこそ、床から 1 m以上の高さのところにある取っ手に跳びつき、開けることができる。恐るべきは食い意地だ。

先日、ある人と清涼飲料水やビールが入っているねじ式の栓がついたボトルの話題となった。ペットボトルやアルミボトルの栓には、ひっかかりがなく、開けるのに一苦労する。特に、濡れているときなどはなおさらである。だからこそ、飲料メーカーは栓を開けやすいボトルについてもっと考えるべきだとの話になった。

ただ、そこで思い出したのが、我が家のネコたちのことだ。食べたいものがあるから、必死で冷蔵庫を開ける。一方、コンビニにはたくさんの飲料が並んでいるがそんな必死の思いをしてまで、どうしても飲みたいと思うような飲料があるだろうか。もちろん、ボトルの栓を開けやすくすることは大切である。しかし、飲料メーカーに期待すべきことは、少々、栓が開けづらくても、値段が高くても、何としてでも飲みたいと思う、おいしい、栄養がある、効能があるなど魅力的な飲み物だ。それは飲料に限らず、シャンプー、お弁当、お菓子など様々な容器に入っているものも同じだ。開けやすい、誰にも使いやすい、捨てやすい、などと容器の工夫ばかりをうたいながら、中身は他社とさほど変わらない商品は少なくない。どうやら、我が家のネコたちは大切なことを教えてくれたようだ。

<岸田 能和>

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