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コラム

think drive (29)  『 HYBRID車の歴史とこれから 』

新進気鋭のモータージャーナリストで第一線の研究者として自動車業界に携わる長沼要氏が、クルマ社会の技術革新について感じること、考えることを熱い思いで書くコーナーです。

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第 29 回 『HYBRID 車の歴史とこれから』

新型プリウスが、発売前だというのに、実に 6 万台も予約が入っているという。そこで、3月号ではインサイトを取り上げたのだが、あらためて今月は、ハイブリッドに着目し、その意外な性能と展開について考えてみる。

まずはハイブリッド車の歴史からみていこう。量産タイプのハイブリッド車はおなじみトヨタプリウスが世界初で、その誕生は 1997年。”20 世紀に間に合いました”というキャッチコピーが未だ記憶に新しい。電気モーターとエンジンを組み合わせ、その使い分けを自由自在に可能とする THS (Toyota Hybrid System)は世界中の自動車エンジニアを驚かせた。もちろん燃費性能は当時では画期的な 28km/L を記録した。その後、1999年にはホンダが初代インサイトをデビューさせる。このクルマは 35km/L と当時の燃費記録を塗り替えるための、好燃費スペシャルカーと言える内容だった。NSX と基本を同じくするアルミフレームに樹脂製のパネルを被せるなど軽量化をあくまで追求し、空力抵抗も Cd 値で 0.25 と超高性能、さらに 2 シーターと割り切っていた。2000年には日産からティーノハイブリッドが発表されるが、100台限定と量産には至らなかった。

その後も海外メーカーの追従を許さず、トヨタはプリウスの改良を重ねるだけでなく、クラウン、ハリヤー、エスティマと車種展開を進める。2005年からレクサスブランドを国内でも展開するが、もちろん同ブランドにおいても、GS、LS、RX にハイブリッドモデルを用意し、フラッグシップに掲げている。このようにして、ハイブリッド=トヨタの構図は出来上がった。なお、トヨタのハイブリッド車は累積販売台数が 100 万台を超え、環境対応が叫ばれる昨今ではハイブリッド車が売れるという印象を与えているが、そのほとんどは”プリウス”であり”ハイブリッド車”が売れているというのは錯覚である。ホンダも初代インサイトに続き、シビックハイブリッドをデビューさせるなど継続的にハイブリッド車を展開しているが、トヨタの後塵を拝している印象は否めない。その点をホンダ自身も自覚しているのか、2 代目インサイトを皮切りに一気にグリーンマシーン展開を推し進めてくるようだ。もちろんその主役はハイブリッドになるだろう。

海外メーカーはコンセプトモデルのモーターショーでの発表こそあれ、量産モデルとなるのは、2004年のフォードエスケープを待つことになる。GM / ダイムラー / BMW が連携して開発を進めている 2 モードフルハイブリッドシステムは 2007年に GM のシボレータホに搭載され量産が開始された。今後、BMW からは X6 に、ダイムラーからは M.Benz ML クラスに搭載され発売が予定されている。ちなみに今年発売予定されている M.Benz S400 ブルーハイブリッドは独自開発のハイブリッドシステムが搭載される。さらに VW からはトゥアレグハイブリッドのプロトタイプが発表され 2010年に発売予定だという。しかも同時期にアウディからは Q7、ポルシェからはカイエン、さらにパナメーラにも搭載予定だというから、とても待ち遠しい。ちなみにポルシェの創業者であるフェルディナンド・ポルシェ博士は 1900年のパリ博で”ローナーポルシェ”と呼ばれるハイブリッドプロトカーを展示していたというから驚きだ。さらにその電気モーターはインホイールタイプだったという。

このように、海外プレミアムブランドも加わりハイブリッド車の展開が急ピッチで進みそうなこれから数年だが、背景に CO2 排出規制を中心とした環境負荷低減があるのは言うまでもない。その技術的選択肢のひとつとしてハイブリッドが選ばれているのだが、果たしてハイブリッドの使い道はエコロジーという方向性だけなのだろうか?お互いの得意不得意をフォローし合いシナジー効果を生むことがハイブリッドの最大のメリットだから、その結果、高出力、低燃費を可能とするように、ハイブリッドは決してエコカー専用技術ではない。

燃費向上にも動力性能向上にも使えるハイブリッドシステムは、これからのクルマに必須なアイテムになることだろう。

<長沼 要>

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