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コラム

think drive (27)  『 ホンダインサイト 』

新進気鋭のモータージャーナリストで第一線の研究者として自動車業界に携わる長沼要氏が、クルマ社会の技術革新について感じること、考えることを熱い思いで書くコーナーです。

【筆者紹介】

環境負荷低減と走りの両立するクルマを理想とする根っからのクルマ好き。国内カーメーカーで排ガス低減技術の研究開発に従事した後、低公害自動車開発を行う会社の立ち上げに参画した後、独立。現在は水素自動車開発プロジェクトやバイオマス発電プロジェクトに技術コンサルタントとして関与する、モータージャーナリスト兼研究者。

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第27回 『ホンダインサイト』

年初のデトロイトショーで正式デビューしたホンダの新型インサイトが日本で 2月末に発売を開始した。クルマが売れない状況のなか、目標の約 3倍という大ヒットを記録している。クルマが売れない、不景気だ、等々のニュース、話題しか聞こえてこないが、このインサイト現象をみると、魅力あるものはいつの世でも売れるのだということを実感する。では、インサイトが売れている理由を考えてみよう。よくいわれている事だが、”安いハイブリッド”だということが上げられるだろう。

ホンダの広報資料によると、ハイブリッド車に対するアンケートでは、ハイブリッド車は欲しいけど高い。という回答が圧倒的という。具体的には、200万円以下で、同クラスのガソリン車に対し、20~ 30万円の値段差であれば欲しい、買う、という結果だという。そこで、ホンダの開発ターゲットが決まり、新型インサイトが誕生、発売開始された。バッテリーの容量を小型化し、ホンダお得意の IMA という比較的シンプルなハイブリッドシステムを採用、低コスト化を実現している。

試乗してみると、燃費を意識した運転を可能とする、ティーチング機能、コーチング機能などが充実していて、燃費性能をゲーム感覚で楽しめる。中でも、ホンダ特有のインターネットナビと連携すると、全国での燃費ランキングがナビ上で表示される機能は面白い。この機能は、他車種への展開も考えていて、将来的には全ホンダ車に搭載されるのかもしれない。すくなくとも、これから続々と登場する Honda Green Machine シリーズでは標準装備されるだろう。ちなみに Honda Green Machine とは、ホンダがこれから展開する環境負荷の少ないクルマのシリーズを指し、当面は IMA ハイブリッドシステムを中心としたクルマになるだろうが、今後、ディーゼルや小型過給ガソリンなどもラインナップに加わると楽しいと思うのは筆者だけだろうか。

ドライビングフィールは、ホンダの小型車クラスそのものだ。フィット、シビックに通じる軽快感に溢れ、エコカーという意識は信号待ちでエンジンが停止した時くらいなもの。電気モーターのアシストが得られる小排気量エンジンによる加速は十分で、街中での走りにおいては連続感もともなう気持ちよいもの。車両後部に搭載されるバッテリーの重さも感じさせない、足回りのセッティングだ。電気モーターによるトルク感の強さや、バッテリーの重さを少し感じさせるプリウスとは明らかに違う乗り味となっている。

ところで、このインサイトは 2代目であることはあまり知られていないかもしれないので、初代インサイトの紹介で締めくくろうと思う。クルマに興味ある人には説明の必要はないだろうが、初代インサイトはとても革新的な ”省燃費マシーン”だった。2人乗りに割り切り、空力特性も超一流、さらに軽量化のためにアルミフレームを採用し、当時の量産ガソリン車世界一となる 35km/Lを記録した。今でも充分特徴的なデザインとコンパクトさで、路上で見かけると目立っている。

発売前は、プリウスと似ている等の評判だったデザイン面も、路上で実物をみると、それぞれ独自のエッセンスを持っていると思う。今年中にプリウスも新型デビューが待っているのと、現行プリウスも低価格化し継続発売されるという。今年は再びハイブリッドブームが訪れる予感がするが、日本では省燃費、低公害車への注目があまりにもハイブリッドだけに集中しているのは少し気になってしまう。ディーゼルや小型ガソリンターボなどもどんどん登場してほしい。

<長沼 要>

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