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コラム

今更聞けない財務用語シリーズ(36)『配当』

日頃、新聞、雑誌、TV等で見かける財務用語の中でも、自動車業界にも関係が深いものを取り上げ、わかりやすく説明を行っていくコラムです。

第36回の今回は、配当についてです。

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各企業が06年 3月期の決算発表を行い始めている時期である。そろそろ、株式投資を行っている方は、配当が気になる頃であろうから、今回は配当について考えていきたい。

配当とは、一般的に株式会社が株主に対して獲得した収益の一部を還元する為の手段である。この配当について、「誰が」、「誰に」、「いつ」、「いくら」で行うものか、株式会社の場合かつ現金での配当を前提に一度整理をする。

1.「誰が」
株式会社が行う。但し、配当の原資は収益や今までの収益の積み立て分となることから赤字の企業は配当を行うことができない。また、収益を計上していたとしても、事業基盤が整っておらず、配当に現金を使用することが難しいベンチャー企業のような場合でも配当を行わないケースがある。
また、自己株式を保有している場合は、自己株式に対して配当を行うことはできない。(自分が自分に対して配当することはできない。)

2.「誰に」
株主に対して行う。株主は利益配当請求権に基づき配当を受け取ることができる。但し、権利確定日に株主であることが要件となる。権利確定日は、決算日(3月決算会社の場合であれば、3月 31日)になる。
3月 31日に株主であれば、例え配当受領日迄に株式を売却し、株主でなくなったとしても、配当が受領できるのである。

3.「いつ」
今までは、期末配当(6月)と中間配当(12月)の 2 回、株主総会の決議をもって配当することとなっていた。しかし、5月の会社法の改正により、いつでも、株主総会決議をもって配当できるようになった。
また、定款に記載をし、会計監査人を設置、取締役の任期を 1年にするなどの要件を満たしている会社は、取締役会の決議をもって配当が可能になっている。

4.「いくら」
1 株に対して何円で配当するということを株主総会で決定する。但し、いくらでも配当をできるわけではない。上限は、商法によって剰余金の額から諸項目を加減算することで計算される。
しかし、「いくらかにするか」という点については、株主の期待値を基準に考える必要がある。配当利回り(配当額を株価で割って計算する)や配当性向(配当額を当期利益で割って計算する)などで株主の期待値と同等かそれ以上の配当を行わなければ株主は離れていってしまうからだ。
一方、期待値に応えるあまり、必要な設備投資や研究開発など将来への先行投資などが行えなくなれば、結果として株主を裏切ることになるなど、期待値と会社の懐のバランスによって決定されることになる。
また、会社設立 100 周年など区切りの際に行う記念配当や、一時的な収益増に伴う特別配当など、特別なイベントを反映させることなどもある。

このように配当は商法に基づき、株主に利益を還元する目的で、株主の期待値を考慮しながら行うものである。自動車業界でも昨年、トヨタが 20 円増の1 株 65 円配当とし、連結損益を基準に配当性向を 30 %を目標とする、としている。ホンダも連結の配当性向を 30 %を目標とする方向だ。
通常は単体の利益に対して配当性向 30 %という目処を置いているが、両社は、単体の利益よりも大きい連結の利益を基準に通常の企業が基準としている配当性向を目指すとしているものだ。
今年も自動車メーカーは株価の上場来高値を更新、業績についても過去最高益を記録など、株主が増配を期待する要素が盛りだくさんである。これに対し、ホンダは株式分割をし、株式の流動性を高めると共に四半期配当(四半期毎に配当を実施)することを検討するなどの方針を発表。日野自動車、スズキも増配する模様である。トヨタも昨年規模の増配が期待されるなど、株主への利益還元の方針が打ち出されている。

配当による利益還元を行うことで株価は上昇し、自社の資金調達が有利になる、敵対的買収防衛に役立てる、ステータスが上がり優秀な人材が獲得し易くなるなど良いことがある一方、株主の期待値はますます増加していき、株主に還元する資金はより多く必要になってしまうのである。一度膨らんだ期待値を下げることは難しい。膨らんだ期待値に見合った資金を用意し続けなければならなくなることを考慮した上で長期的な視野にたった配当政策を検討する必要があるだろう。

<篠崎 暁>

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