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コラム

今更聞けない財務用語シリーズ(28)『合併』

日頃、新聞、雑誌、TV等で見かける財務用語の中でも、自動車業界にも関係が深いものを取り上げ、わかりやすく説明を行っていくコラムです。

第28回の今回は、合併についてです。

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今回は、企業の再編や買収の際の手段の一つである合併について解説していきたい。合併は企業再編や買収の手段として他の再編や買収の手段より比較的古くから用いられてきた。

合併には吸収合併と新設合併の大きくわけて 2 種類がある。実際に行われているのは、吸収合併がほとんどである。この吸収合併とは、合併の当事者となる会社の一部が解散して他の存続会社に吸収される方式を言う。
この吸収合併の中に規模の小さい子会社が存続会社となって、親会社を消滅させる「逆さ合併」や合併後の比率が対等になるような「対等合併」などがある。

合併とは、「存続会社」が新株を発行して「合併によって消滅する会社」の株主が持っている消滅会社の株式に応じて事前に企業の規模や将来の収益力から算出し、決定される「合併比率」によって算出された株式数を割り当てることで行われる。消滅会社の株主は、存続会社の株主になる一方、消滅会社の資産や負債は存続会社に引き継がれるのだ。

合併による再編・統合は自動車業界でも用いられている。日立とトキコ、ユニシアとの合併やトヨタ紡織とアラコ・タカニチの合併、先日発表された豊田通商とトーメンの合併など業界内の再編には合併の手法で統合しているケースが散見される。

トヨタ自動車グループである豊田通商と総合商社のトーメンの合併は、来年2006年の 4月 1日に合併する決議を行った。存続会社は豊田通商となり、合併比率はトーメンの株式1株に対して、豊田通商株式 0.069 株を 割り当て交付する。トーメンは 2002年末にトヨタ自動車をはじめとしたグループの増資による支援を受けており、その時点から豊田通商との経営統合を視野に入れたものであった。トーメンの発表によれば、豊田通商が非自動車関連事業の拡大を狙う一方、トーメンは総合商社としての安定した収益基盤の構築を狙っており、この両者が合併することで相互の経営資源を最大活用でき、バランスのとれたセグメントを構築することを目的としたということである。

このように合併を行うメリットは両社の統合によりリソースを再配分し、事業規模の拡大やシナジー効果を追求することにある。二つの会社のままではそれぞれアドミ部門を必要とするが一社にすれば、そのアドミ部門をスリムかつ一つの部門にすることができるなどメリットは様々である。

しかし、合併によるデメリットは、突然今まで違う企業だった企業同士が一つの企業になることによって生じる。
例えば企業文化の違いによる摩擦や、人事制度の違い、社内で使用するシステムの違いなどがこの代表例であろう。
企業としては内部の人員のモチベーションからオペレーションの再構築に気をつける一方、お客様の混乱を最小限にする必要が出てくるのだ。この為、最近では、資本提携や持ち株会社の設立などを最初に行い、緩やかな統合を行った後に合併を最後に行うケースが多い。
前述した、豊田通商とトーメンのケースにおいてもトヨタ自動車がトーメンに資本参加して以来、期間を置いた上で合併を行っている。これもおそらく上記のような諸問題を解決する為の期間だったのではないだろうか。

特に日本人は擦り合わせ(根回し)の社会だとも言われており、日本企業には拙速な合併ではなく「擦り合わせ型」の企業統合が好まれるのかもしれない。 勿論企業統合にはスピードも大事だが、それ以上に「擦り合わせ」に価値があると判断する場合も多い。自動車部品も性能の良い部品を詰め込めば良い自動車になるのではないのと同じである。良い部品同士を組み合わせた時に何が起こるか、を見極め問題を取り除いた上で、組み合わせる(合併させる)ことが重要なのだ。

<篠崎 暁>

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