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コラム

AYAの徒然草(53)  『「わがまま聞き」が一番!』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第53回 『「わがまま聞き」が一番!』

私には、行きつけのリストランテが 3 軒あります。私は、イタリアンが一番好きなので、外で食事をする時はリストランテに行くことが多いのですが、でも、どんなジャンルのお店でも、美味しいだけでは決して満足しません。

また、料理はイタリアン好きでも、実はワインはフランスワインが好きなのです。ボルドーの赤、フルボディで渋みのある重いワインが好きなのです。

さらに言うと、私は、食べ物の好き嫌いが多いので、お店が用意しているコースメニューの中には必ずと言っていいほど私の苦手な食材が使われています。だから、注文する前に、除いてもらいたい食材を全て言うのですが、毎度だととても面倒なのです。それに、その食材を使わないと完璧にはならないメニューもあるので、苦手な食材を除いてもらっても、満足することが少ないのです。

つまり、私は、「お料理はイタリアンが好き。でも、ワインはイタリアワインよりもフランスワインの方が好き。そして、極上のフランスワインと共に、私の好きな食材だけを使った料理を美味しく食べたい。」という私のわがままを聞いてくれるお店が好きなのです。

そんな私のわがままを聞いてくれるお店の 1 つ目は、私の好みの食材や味の傾向、ワインを全て把握しているお店なんです。席についた途端、いつも私の対応をしてくれるスタッフが「いつもありがとうございます。本日の気分はどんな感じですか?なにか本日どうしても食べたいと思うようなものはございますか?無ければ、私どもに全て任せていただいてもよろしいですか?」と言います。私の好みに合った旬の食材で、メニューには無い私だけのコース料理でおもてなしをしてくれるのです。もちろん、ワインもお任せです。最初にそのお店に行った時に、「私はワインはボルドーの赤が好きなのでこのお店でも料理と共に飲みたい」と言ったら、次に行った時、それまでお店には置いていなかったフランスワインを仕入れ、私だけに特別に用意してくれていたのです。その時の感動と言ったら、それはもう言葉にできないほどです。

他の 2 軒も、ほぼ同じようなおもてなしで私を楽しませてくれます。他の 2 軒は、ドルチェにも凝っているお店で、常連客にだけ出すメニューには載っていない特別なドルチェを私に出してくれます。他のお客さんが「あのドルチェはメニューの中のどれかしら???」と話している様子がうかがえると、なんだかとても優越感に浸れるのです。

こんな私なので、あまり新しいお店を開拓するということはしません。その代わり、私のわがままを聞いてくれるお店には、すぐにリピーターとなり足繁く通うのです。お店が私の期待通りのことをしてくれるのなら、私もお店を裏切らないのです。

というようなことを考えているうちに、私は、外での食事に限らず、洋服・バッグ・靴・貴金属などほとんどの買い物は、自分が好きなお気に入りのお店で買い、そのお店の常連客になろうと意識していることに気づきました。

さて、私のこのようなわがまま振りをお話すると、とんでもない人だと思われそうですが、でも、こんな私は本誌 vol.185 で宝来が紹介した元ホンダ・ BMW の林文子さん(現ダイエー副会長)のお客様と結構似ているような気がするんです。(以下↓ご参照)

顧客接点でもっと仕事をしよう!

林さんは、ご自分のセールスを「御用聞き」とおっしゃっていました。訪問したお宅の奥様が赤ちゃんの世話で大変そうだったら、お家にお邪魔してお手伝いをしたり、一緒にワイドショーを見ながらお話相手になってあげたりしていたそうです。老夫婦のお宅を訪問し、お茶をご馳走になりながら話をしていると、「年を取ると外に出るのがおっくうで電気屋さんに用事があっても行けない」、「歌舞伎のチケットを買いたいけど買い方がわからない」というような老夫婦の悩みや要望を聞いてしまうと、自分がなんとかしてあげたくなり、代わりに自分が用事を済ませていたそうなんです。

自動車の営業の人にそんなことまで頼むなんてとんでもないわがまま振りだと思いませんか?「車を売るために、そこまでお客様のわがままを聞いてあげなければいけないの?」と考えたらつらい仕事に見えますが、でも、逆に言えば「お客様のわがままさえ聞いてあげれば車を売ることなんか簡単なこと」と林さんは考えていたに違いありません。だって、林さんは、毎日 100 人の飛び込み訪問をしていたといいますが、その一人ひとりに対して、車を売ることを忘れるくらい尽くし、車の話は最後にしていたのにもかかわらず、ホンダ入社の翌月からずっとトップセールスの座を守ったのです。BMW でも、高価な車だというのに 5年間で 400台(月に 7台!)も売り、業績が低迷していた店舗を最優秀支店にまで育てたんですから。しかも、プレッシャーなどで精神的に参ってしまうこともなく、「人と会って話をすることが楽しくてしょうがなかった」とまでおっしゃるんですよ。

そんな林さんの「御用聞き」セールスは、私の行きつけの 3 軒のリストランテのサービスととてもよく似ているように思うのです。お客様の好みを無視したお店の自慢料理を出すことよりも、お客様の好みを聞いて、まずはお客様に満足してもらって気分良く帰ってもらうことを優先させるところです。食事が済んだ後、「料理やワインが美味しかった」というよりも、「あのお店に行くと、なんだか幸せな気分になって帰ってこれる」という印象をお客さんに与えているのです。リストランテは、そんな優雅な気分を私に与えることで、結果としてお料理やワインの注文を私から取れている、という関係なのです。

正直言って、林さんのような「御用聞き」スタイルのセールスは一昔前のスタイルだと思い込み、今は通用しないんじゃないのかなぁと思っていました。しかし、色々と考えていくうちに、近い将来、「御用聞き」スタイルのセールスがむしろ主流になるような気がしてきました。

それは、高齢化社会が進み、あまり外に出ない(出られない)ご老人が増えることと、子どもを産んでからも働き続ける女性が増えて、私みたいなわがままな消費者がもっともっと増えると思うからです。わがままな性格だからわがままな注文をつけるわけではありません。老人だけの家庭や働きながら育児をする女性は、わがままにならざるを得ないんです。だから、顧客のわがままを聞いてくれる「御用聞き」サービスがもっともっとあればいいのになぁと思うのです。

例えば、コンビニはコンビニでも、今のような来店型ではなく、お店側の方からトラックに全ての商品を積んで出向き、「何か必要なものはございませんか?」とご老人の家庭を回って要望を聞き、それを叶えてあげるのです。また、働くお母さんの帰りを待つ子どもがお留守番をしている家庭に行っては、「何か困ったことはない?」と様子を見に行くのです。おなかが空いていれば、トラックに積んである食べ物から好きな食べ物を選ばせ、そして一歩踏み込んで、一緒に食べてあげるのです。しかし、今、こんな家庭に入り込んだサービスをしたら、セキュリティ上問題が出てきそうですね。でも、下町などの隣近所が昔から仲の良い町では、目新しいことではないような気もします。

ホンダや BMW の車は林さんからしか買えないわけではありませんし、おいしいリストランテも東京には山ほどあります。でも、私も林さんのお客様たちも、特定のお店にしか行かないし、特定の人からしか買いません。わがままを聞いてくれる「御用聞き」・「わがまま聞き」のサービスがそこにあるからです。「わがまま聞き」がこれからのキーワードだと思いませんか?

<佐藤 彩子>

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