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コラム

AYAの徒然草(37)  『「能ある鷹は爪を隠す。でも、時にはその立派な爪をさりげなく見せるべきです!』

仕事で成果を出すことにも自分を輝かせることにもアクティブなワーキングウーマンのオンとオフの切り替え方や日ごろ感じていることなど素直に綴って行きます。また、コンサルティング会社や総合商社での秘書業務やアシスタント業務を経て身に付けたマナー、職場での円滑なコミュニケーション方法等もお話していくコーナーです。

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第37回 『「能ある鷹は爪を隠す。」でも、時にはその立派な爪をさりげなく見せるべきです!』

私が、まだ学生気分が抜けきらない、社会人になって間もない頃、貴重な経験をしたことを憶えています。それは、大事な取引先との商談の後に、美しいママさんがいる銀座の高級クラブで、その取引先の方をおもてなしする機会があり、私も同席したのです。ママさんの行き届いた接客とテンポの良い会話に感動し、その上、銀座の夜の華やかな世界を垣間見て、こんな世界もあるんだなぁと驚きが隠せませんでした。何せ、席に座っただけで数万円の世界ですから。そんな世界は、学生時代には縁の無い未知の世界です。

そのお店に足を運んだ約一ヵ月後のある日、もっと驚くことが起きたんです。その日は、私の誕生日でした。いつもの通り会社で仕事をしていたら、会社にいる私宛てに、大きなバースデーケーキが届いたのです。送り主は、なんと、その銀座のママさんでした。「なんであの銀座の高級クラブのママさんが、私の誕生日を知っていたのかしら???」と疑問に思いながらも、嬉しさのあまり、私はすぐに上司に報告しました。「先日行ったあの銀座のクラブのママさんから、こんなに大きくて豪華なバースデーケーキが届きました!すごく嬉しいです!感激です!」と。そして、私は、そんなママさんの私に対する気遣いに感動し、「あのクラブのママさんは、女性である私にさえこんな気遣いのできる素晴らしい方です。同じ女性として尊敬します。そんなママさんのお店なら、安心して大事な取引先の方をお連れすることができますね。」と、ママさんとそのお店を絶賛したんです。
しかし、その美味しいケーキをほおばりながら、「ママさんは、なんで私の誕生日を知っていたのだろう???」という疑問だけが残っていました。私の顔にでも書いてあったのかしら???そんなわけはありません。その疑問を私の上司に話したところ、謎が解けました。あの日、私がお手洗いで席を外している隙に、私の上司は、ママさんから、「○○さん、今日一緒のアシスタント(秘書)の佐藤さんの誕生日、ちゃんと覚えている?一番大事な日を忘れちゃダメよ。日頃お世話をしてもらっているんだから、自分のアシスタントの誕生日にさりげなくプレゼントを贈るくらいの気は遣わないと、いい男が台無しよ!
○○さんは、そういうのをうっかり忘れそうで心配だから、前日に私が連絡して思い出させてあげるわよ。だから、佐藤さんの誕生日を私におしえておいてちょうだい。」と言われ、私の誕生日をママさんにおしえたそうなんです。でも、誕生日の前日にママさんから私の上司宛てには連絡はなかったそうです。そして、誕生日当日に、ママさんの名前で私宛てに直接、大きなバースデーケーキが贈られてきたのです。(ちなみに、当時の私の上司は、案の定、すっかり私の誕生日を忘れていました・・・。)

ママさんが、一度会ったきりの私の誕生日をお祝いしたかったはずがなく、それが目的とは思えません。では、ママさんのこの不可解な行動、どういうことかおわかりになりますか?ママさんは、私の誕生日にサプライズ企画をして私に感動を与え、自分の気遣いの良さを私にアピールし、秘書の私に自分のことを印象づけたかったのです。

日ごろ、ママさんのお店に、取引先の方と一緒に足を運ぶのは、私ではなく私の上司です。私は一度だけ、一緒にお店に連れて行ってもらっただけですから。それなのに、ママさんは、私の上司に向かって直接、「また来てね」という態度と勧誘はしないのです。敢えて、本人にではなく、私のような近い存在の人に別の方法で働きかけるんです。

ママさんは、お店で、私の上司と私の会話から、私たちの信頼関係を見ていたのです。そして、私の上司と私の信頼関係が成り立っていることを確信すると、次の来店の勧誘の矛先を、私の上司ではなく、私へ変えたのです。

ママさんの筋書きは、こっそり私の上司に私の誕生日を聞き、誕生日当日に私宛てにケーキを届け、感動させます。すると私は、当然、私の上司にそれを報告します。それに、「女性の私にまで気遣いのできるきちんとした女性だ」と、私はママさんを褒めちぎります。さらに、あのお店に行けば、取引先の方へのおもてなしも間違いない、次もまたあのママさんのお店に行くべきだと私の上司に勧めるというものです。そうなんです。私の行動は、全て、ママさんの読み通りの行動だったというわけです。

私の上司も、信頼している秘書からの勧めとあれば、店に足を運ばないわけにはいきません。ママさんは、そういう彼の心理も、上手くついてきているわけです。でも、信頼関係が成り立っていない秘書へのアプローチは、逆効果ですよね。だから、お店での観察がポイントだったのです。これは、自分や自分のお店の良さをアピールすべき人(キーパーソン)を見極める能力なのです。つまり、ママさんは、人を見る目と鋭い観察力を持っているのです。これは、ママさんの行き届いた接客よりも、テンポの良い会話術よりもすごいワザです。

銀座の高級クラブのママさんの話が長くなりましたが、私が言いたかったことは、遠まわしに自分をアピールすることが、実は意外と、自分をアピールするのに近道で確実だということです。私はこれを、名づけて「間接アピール法」と呼んでいます。

自分の持っている能力を、それとなく見せることが大事なんです。さりげないアピールです。アピールしたい人に直接働きかけると、あまりにも直接的で、時にはいやらしくも思われます。仕事の上でも、自分の得意なこと・自分はこんなことができるから挑戦させて欲しいということを、普段からさりげなく遠まわしにアピールしておくことが、自分の能力を開花させるチャンスを得る近道のような気がするんです。「間接アピール法」は、一見、地道で面倒に見えますが、効果は抜群なんです。

よく、謙虚さが大事だと言いますが、これは、自分を全くアピールしないということではありませんよね。でも、自分の能力をあからさまにアピールすると、しゃしゃり出ていてひけらかすようになってしまいます。この加減が難しいのです。だから、自分の得意なこと・自分ができることを、遠まわしにアピールすると、間にクッションが入って衝撃が小さくなる上に、アピール効果は大きくなるという理屈なんです。

これは、「ビリヤード」をイメージするとわかりやすいかもしれません。ビリヤードは、ポケットに落としたい色つきの球に、球を突く棒(キュー)は直接当てません。キューで突く球は、白い球(手球)で、それを、落としたい色つきの球に当てます。落としたい色つきの球がどういう軌道を描くかを予想しながら、白い球をどういう角度で、どれくらいの強さで突くかを考えます。落としたい色つきの球が直接アピールをしたい人、白い球が間接アピールをする人です。白い球を上手く突いて、ポケットに落としたい色つきの球を誘導するのです。

また、この「間接アピール法」の理論を裏づけることの 1 つに、「クチコミ」があります。例えば、みなさんが、新しい車を買おうとしているとします。テレビや雑誌などで見て、なんとなく良いなぁと思った車と、自分の家族・恋人・友達・同僚というようなよく知っている信頼できる人が実際に乗っていて良いと勧める車では、どちらがより納得感があって購買意欲をかきたてられますか?自分が信頼している人の勧める車の方が、良さそうに思えてきませんか?

「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがあります。能力のある人ほど、それをひけらかすようなことはしないという意味ですよね。でも、どんなに立派な爪を持っていても、その爪を一生隠し持っていたら、誰にも知られることもなく、立派な爪が日の目を見ないまま一生を終えてしまいます。得意そうに見せびらかすのは良くありませんが、でも、それではそもそも立派な爪を持っていないのと同然です。私は、その立派な爪を、「間接アピール法」で、さりげなくアピールすべきだと思うんです。

これまでの自分を振り返ってみると、私は、自分の得意なこと・自分ができることを、この「間接アピール法」でアピールした結果、やりたいことを実現できているケースが多いような気がします。これからは、それに加えて、銀座のママさんのような人を見る目と観察力をもっと養って、さらに効果的な「間接アピール法」を実践しながら自分のやりたいことをアピールし、新しい可能性を追求していけたらいいなぁと思います。

<佐藤 彩子>

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