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コラム

景気=天気ではない。経営とは能動的な行動である。

◆トヨタの渡辺社長、「景気は確実に回復基調に乗り出したと思う」

9月の日銀短観で大企業製造業・業況判断指数(DI)がプラス19になった事に関し、「景気は確実に回復していて、その基調に乗り出したと思う」との見方を新車発表会で示した。
原油高の影響については「現時点で自動車市場が動いていることはないが、このまま続いていけば世界経済に与える影響はあると懸念している」と語り、低燃費のコンパクトカーに需要がシフトしていくとも指摘した。

◆日本自動車販売協会連合会、「2005年度の計400万台達成は可能」

◆「レクサス」車の9月の新車登録台数、月販目標の1200台を上回る1407台

<2005年10月03日号掲載記事>

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日銀短観に対して、トヨタの渡辺社長が「景気の回復」というコメントをしている。

自動車産業のみならず、日本の全ての産業をも今や代表する超大企業且つ優良企業のトヨタが、日本国全体のマクロ経済状況についてコメントをすることは、その立場から考えても全く異論を挟む余地は無い。

しかし、その他大勢である我々が「景気が良い、悪い」といった話を前提に、「自社の業績が良い、悪い」ということに結びつけて語ることには、予てから若干の違和感を感じてきた。

【景気とは何か】

特に、「景気」という言葉を、恰も「天気」のように「気まぐれで、コントロールが効かない・受動的な環境」と捉えて、自社の業績はこの環境に連動するかのような経営者やビジネスマンの言葉には大きな違和感を感じてる。例えば、「景気はどうですか?」というのに対して「よくないですねぇ。早く回復してくれないですかねぇ」という会話などもこの一端であろう。

確かに、よく新聞などに出てる、お天気マークで業界ごとの今後の景気見通しをあらわしている絵は存在する。景気は循環するだろうし、好景気・不景気の波もあるだろう。

しかし、経済全体の流れがどうであれ、自社が顧客に伝達する価値を常に最大化しながら、自社を取り巻くその他の利害関係者との間で調整を重ねながら利潤を獲得していくことを「能動的に取り進める」ことは景気云々に左右されるものではない。

ただ、じっと小さくなって景気が回復するのを待っている・回復するまでは従業員の給料は削って、無駄な出費を抑えて、ガマンガマン・景気回復(天気回復)をもって、初めて動き出す(晴れたら外にでる)というのではあまりに受動的であろう。

【景気は回復するだろうが】

今後、景気は回復基調であるのは、どうやら事実であろう。

日本自動車販売協会連合会が発表した 4~ 9月の新車登録台数(除、軽自動車)に基づく年間予想でも、「2005年度の計 400 万台達成は可能」としていることを見れば、自動車流通という面で見ても回復基調であるようだ。

しかし、この回復が戦後 60年のようなパターンでの継続性を持つか、類似の複数産業に跨る形となるか、全ての所得層に平等に訪れるか、というと、答えは多くの人が感じているように、”ノー”ではないだろうか。

また、繰り返しになるが、ビジネスはこの「景気」というものの回復に期待をして、待っていて「発生する」ものではない。積極的に新しい価値を感じてもらえる種(たね)を探しだし、そこに資源を配分していくという行動が必要だ。

そうでなければ、経営者(ビジネスマン)ではなく気象予報士になってしまう。

【トヨタのレクサスに見る能動的な動き】

こうした面から見ると、トヨタのレクサス。現時点では発売開始から 2 ヶ月経っていないこともあり、まだその成否は判断できないが大きな注目を集めているが、その理由は、やはり「能動的に新しい需要を掘り起こす動き」をしていることそのものにあるだろう。
いくら新車販売台数が回復傾向にあるとはいえ、嘗てのように右肩上がりに国民所得が増加していき、台数も右肩上がりに増加していくという時代ではないのは明確であり、国内販売シェア 4 割を誇るトヨタが今後更なるシェアアップを図ることは、簡単ではない。
こうした背景もあり、トヨタは新しいセグメントである裕福層の需要取り込み、単価アップ・収益性の更なる向上を狙っている訳だ。

店舗への莫大な投資、おもてなしの接客に基づく完全店頭販売化、ワンプライスといった様々な要素を組み合わることで、自らの経営資源を傾注して実現へと結びつけていく行動に、人は本来の経営を感じるのだろう。

【「景気はどう?」から「儲かりまっか?」へ】

よって筆者は、これからの時代の新しい挨拶として「どう?景気は ・・・」ではなく、関西人的な「儲かりまっか?」を推奨したい(笑)。

このほうが景気を気にして言い訳するより気持ちが良いし、能動的である。

そして、この質問に対する模範解答としては「儲かってます」か、若しくは「儲かってないけど、こうやることで儲かるように、現在手を打ってます」というものを更に推奨したい。

こうした能動的なアクションを取る企業の打ち手を一緒に考え、実行に移していくのが、我々コンサルタントの役割である。

<長谷川 博史>

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