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コラム

箱根ターンパイク、立ち木のカラマツに電飾1万個、26日まで…

◆箱根ターンパイク、立ち木のカラマツに電飾1万個、26日までライトアップ
桜の木などの電飾と合わせて使われたLEDは計約5万個。社員14人が作業

東急電鉄、「箱根ターンパイク」事業、2004年3月に外資系に営業譲渡
昭和40年に開業。近年は伊豆地方への観光客の減少などにより自動車道利用台数は減少傾向にあり、事業の選択と集中の一環として営業譲渡を決めた。
譲渡先はオーストラリアの投資銀行マッコーリー・グループの日本法人で、簿価76億円の資産を11億円で譲渡し、子会社の東急ターンパイク(株)は解散
<2003年11月27日>

◆リズムを200億円前後で大手投資ファンドの米カーライル・グループが買収
同社は2002年に米J.P.モルガンが買収。投資ファンド間の企業売買に

日産とユニシアジェックス、リズム社の全株式を、米投資ファンドに売却へ
自動車用ジョイント部品メーカー。売却額は計約50億円、J.P.モルガン系に
<2002年07月26日>

<2004年12月03日号掲載記事>
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本日取り上げた 2 つの記事の事例である「箱根ターンパイク」と「リズム」には、一つの共通点がある。

それは、既存の事業体に対する所有権が、纏まったカネを投下することで企業の株式の過半数以上を保有 → 経営にも積極的に関与していくことで企業価値を向上して、最終的には事業拡張を図るうえで最良な事業会社へのバトンタッチや株式市場への上場などを通じてエグジットするようなプレーヤー、即ち投資銀行や投資ファンドに移転したことである(厳密には前者の「箱根ターンパイク」は、営業譲渡の形を取っており、もともとの事業を手掛けていた株式会社は解散するという形を取っているが、結果的には株式買収とほぼ同等の効果を得ていると仮定する)。

こうした「投資ファンド」などによる企業買収は、何故最近急増しているのだろうか?

【所有と経営の分離】
企業に限らず、何らかの事業を行う際に一番原始的な方法は自らの所有する資産を活用して、そこから上がる収益を自らのリターンとして得ていく方法であろう。例えば、昔からの農業であれば(最近では株式会社化しているところもあるやに聞くが)自分の所有している畑に種を植えて、そこからの収穫を市場などで売却することで貨幣を得ていた。勿論、地主と小作人などといった関係などを考えると、必ずしも自分が所有している畑を自らが耕して収穫につなげるわけではなく、外部の人的リソースを利用することもあったが、これは現在の企業にとっての社員などの相当すると考えてよいだろう。

しかし、より大規模な資産(機械や工場など)を稼動させることが、より多くのリターンを得る為に必須になったり、経営の複雑化による専門性の確保が重要になるといった歴史の流れにより、所謂「株式会社制度」といったものが整備されていく。

これらのきっかけとして良く挙げられるのが、大航海時代の航海単位での資本の集約と専門家である船長への安全な航海の委任や、産業革命などにおける生産設備投資に対する資本の集約などであるが、こうした歴史上のイベントを経て株式会社に対する所有(株主)と経営(取締役、執行役などの経営者)との分離という概念が明確になっていった。

【株式会社制度に基づく企業経営】
しかし、限られた資本家の手元資金による生産設備への投資=「当該企業への所有権が閉鎖的な少数に属する」というレベルを超えた不特定多数からの資金調達のニーズが高まるにつれ、「株式会社」に対する所有権は薄く広く希薄化していき、結果的に、誰一人として当該企業に対する独占的な所有権を有する立場には居ない時代へと変わっていく(株主総会などはこうした複数株主間の意思決定を多数決で決める場である)。

結果、株主から経営を任される取締役や執行役といったスペシャリストからしても、最終的な満足を提供すべき相手(勿論、先ず最初に満足を提供すべき対象は顧客であるが)が不特定多数であるが故に、株主総会における決議案そのものが一般的な内容に留まったり、多数決の結果(決議内容)に対する責任だけは必要最低条件として果たすものの、平凡な株主の期待を圧倒的に上回るような働きをする動機付けも薄くなるケースも散見されるようになる。

【所有と経営の一致へ=投資ファンド等によるM&A増加】
ここからは筆者の勝手な仮説であるが、上述のような資本の分散に伴うオーナーシップの欠落が、「大企業」と呼ばれる多額の資本を調達し、巨大な資産を運用する装置を運営する経営者を、時としてぬるま湯に浸してしまったり、ガバナンスが効かない状態に甘えさせてしまったことがファンド台頭の大きな理由ではないだろうか?

特にバイアウトファンドの特徴は、無限の責任を負いながら組合員から集めた資金の拠出を以ってして 100 %、若しくはマジョリティの株式を持ち、議決権も完全に掌握した形でビジネスを運営(経営)するところにある。よって、企業の経営方針は株主兼経営者である自らが策定し、能動的に自社の企業価値を高めていく自然なインセンティブが働く。
即ち、投資ファンドは「所有と経営を一致させる」ような方向の作用を齎していると考えることが出来ないだろうか?

【終わりに】
所有と経営の一致に向けた企業のあり方の変化は、ストックオプション制度などが(会計上の費用化のタイミングやその金額算定の客観性に問題がある場合も多いが)経営者を会社の所有者と兼任させる意味合いを持つことから、得てして「米国式」などと捉えられがちであるが、実際には古典的なオーナー企業への回帰といったほうが間違い無いだろう。
但し、オーナー企業のオーナー兼経営者が独善的になりがちであるのは歴史的に見ても明白ではあるが、投資ファンドの場合、株式会社のエクイティの過半数を有して経営者に名を連ねている側面ではオーナー兼経営者であるものの、当該出資を実現する為の資金は少数のエキスパート投資家(一般的には LP 投資家)から調達しており、彼らに対しては最善な運用義務を負っている(投資家からの信任を受託する行動に倫理性が欠ける可能性を如何に最小化するか、というポイントは株式会社の経営者同様に今後引き続き大きな課題として残るが)。

こうした 2 つの顔を持ちながら、機動的な企業経営を行っているところに投資ファンドの魅力は存在するのであろう。

<長谷川 博史>

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