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コラム

トヨタのWebサイトの価値は985億円、日本ブランド戦略研究…

◆トヨタのWebサイトの価値は985億円、日本ブランド戦略研究所の250社調査
2位はマイクロソフトの935億円、3位は全日空。11位に日産。12位にホンダ

<2004年09月22日号掲載記事>
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価値計算、一般的にはこれをバリュエーションと呼ぶ。

バリュエーションとは、企業/事業/株式などの価値を算定する所作を指し、企業買収や営業権譲渡などの際の売買価格を決めるためなどに利用される。事業法人が自ら行うケースもあるが、より中立的な立場であるコンサルティング会社や証券会社、監査法人などが行う場合も多い。

具体的な手法としては、財務情報や将来の事業計画、競合他社の情報などを基に将来のキャッシュフローを推定し、幾つかの算定方法(ディスカウントキャッシュフロー法や類似会社比準法等)を利用しながら、当該企業・事業・株式の価値を算出する。

今回の記事では、このバリュエーションを企業の Web サイトを対象に行ない、結果トヨタの Web サイトの価値を 985 億円の1位と算定している。Web サイトの価値は「企業の Web サイトが企業にどれだけの利益をもたらしているか」という観点から測定をした、とのことだが、具体的な算出方法は以下の通り。

1)「売上価値」
企業の売り上げの中で Web サイトが関係している比率を消費者調査などから明らかにし、それに国内粗利益をかけて算出。
2)「情報価値」
Web サイトのアクセス率やメールマガジンの購読数などの情報発信力を他の手段で代替した場合のコストをもとに算出

即ち、企業が年間に国内で生み出す売上総利益の一部は Web サイトが関与しているだろう、という前提で計算を行っているようだ(プラス、情報発信のコスト)。

更に、同手法では「売上価値」を以下2つに分類している。

a)「直接売上価値」
企業のWebサイトで直接決済される場合
b)「間接売上価値」
それ以外の場所で決済される場合(他社が運営する Web サイトや小売店などの店舗)

トヨタの場合、合計 985 億円のうち、b)の間接売上価値が以下の通り 698億円と7割を占めるとのことだが、2004年 3月時点の有価証券報告書を元にこの数字を紐解いてみると、バリュエーションに使用した「購入者の WebSite 利用度xサイト関与率」、即ち Web サイトがあったが故に発生したと計算する%を営業利益の 20.6 %と計算していることになる。

(単位:百万円)

1)トヨタの Website 価値 98,500
2)売上価値 72,700
3)間接売上価値 69,000
4)直接売上価値 3,700
5)情報価値 25,800

以下、筆者による推計

6)トヨタの日本の営業利益※ 1,000,000
7)連結売上高輸出売上率 66.5%
8)国内比率 33.5%
9)国内営業利益 335,000
10)購入者のWebSite利用度xサイト関与率 20.6%

3)÷9)

※2004.3.有価証券報告書より

この率をどう捉えるべきであろうか?

そもそも「間接売上価値」と言った時点で「インターネットで商品の情報を発信し、それが店舗(ディーラー)などでの売上につながっていることによる価値」であり、この「ディーラーなどでの売上」にどう繋がっているのかの測定には困難が伴うだろう。しかし、「営業利益の 20 %がウェブによるものである」というのは、ディーラーの営業マンや経営者の方、若しくはメーカーの国内販売担当の方から見て、「高いな」と思われるのではないか?

一方、調査名である WebEquity という名前から想像するに、本来エクイティ、即ちストックとしての当該 Web サイトの価値を導き出しても良いところを、ここでは年間の利益であるフローをベースに計算してある。

仮に、複数年度の FCF の現在価値をベースに計算した場合どうなるか、といった加工も面白いだろう。

ただ、何れにしても、バリュエーション時に重要なのは、価値評価が誰にとってのものかによって変化するということであろう。

これは、以前、私が書いたメルマガの

『価値を生み出す経営とは(2)・お金って何?』

において、アダムスミスが「国富論」の中で説く、価値には「使用価値」と「交換価値」の2つが存在するいう内容と、「使用価値」は外部とどのような関係にあるかによって如何様にも変化する、ということと同様の理由による。

即ち、貨幣量に表現された価値=価格は、そのモノが内包する有用性とは全く別のところで作られる。

それは、需要者にとっての有用性である。

よって、M&A の際などのビッド価格は買い手候補者により大きく異なることが多々ある。

その意味では、何らかのモノ(含む、今回の Web サイト)の価値をバリュエーションする際には、やはり買い手にとっての価値を十二分に理解したうえで価格付けすることが可能な人がやるべきである。

この買い手にとっての価値を理解する所作は、主としてビジネスデューデリジェンスに含まれる。自動車業界であれば当社がお手伝いすることも可能である。

<長谷川 博史>

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