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コラム

米国の自動車ディーラー、価格情報サイトの充実で販売員の…

◆米国の自動車ディーラー、価格情報サイトの充実で販売員の営業活動見直しも

<2004年06月14日号掲載記事>
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記事では米国におけるインターネットを用いた価格情報サイトの充実が、どういった影響をディーラーに与えているかについて述べている。

米国では、インターネットを通じた情報の非対称性の解消により、消費者の価格交渉力が高まった結果、自動車販売員たちは商品について詳しく学び、歩合を増やす術を身につけざるをえなくなりつつあり、「販売員たちは、詳しい客だとわかると、詳しくない客に対して使ってきた手口をすべて引っ込めてしまう」としている。

このような事象(米国でautobytelやcarpointなどの新車見積もり取得支援サイトがそれなりの存在感を示している現実)の背景は明白である。

米国では、ディーラーの殆どが独立資本であり、フランチャイズ制に則り不安定で短期的なメーカーとの契約をベースにディーラー・メーカー双方が車両・ブランドの取り扱いに関して代替選択肢を有する相互選別制となっている。また、ディーラーで働くセールスマンも利益を基にした歩合制となっている場合が殆どであることから、如何に利益と台数を稼ぐか、という課題を達成する為に、潜在顧客を如何にして成約に導かせるかという手段へと繋がり、結果、消費者からするとディーラー店頭での自動車購入プロセスは一般的に「歯科治療以下の苦痛」とも言われる。

よって、インターネットを通じて「とくに、ショールームの「融資・保険」コーナーで聞かされる、保証やオプションについてのうんざりする売込みを避けられる」ことだけでも、消費者からすれば格段の進歩なわけだ。

一方、日本のディーラーの場合、資本的には独立資本とメーカー系資本が混在しているが、そもそもメーカーとの関係は系列制が基本であり、人的・資本的関係をベースにした安定的且つ長期的な関係が構築されている反面、車両・ブランドの取り扱いに代替選択肢は無いに等しい。(少なくともこれまではそうだった)

また、日本のディーラーセールスマンは一般的に正社員が多く、給料制となっており、店頭販売よりも訪問販売による成約の比率が高い(訪問販売比率は今でも全販売の6割弱となっている)ことから、利益と台数を拡大するインセンティブに基づく「何が何でもクルマを売りつける」といったドライブは働きにくい。また、訪問販売の成功の鍵は「如何にお客様との繋がりを維持・拡大していくか」であり、短期的な収益拡大のための半押し売りのような手法はあまり効果的ではない。

よって、元々のディーラーにおける接客は米国とは比べ物にならない。(米国で7年間生活していた個人的な経験から、多くのサービス業で共通の現象であるかと考えるが、これは飽くまでも主観であり本題からは逸れる)ほかにも種々原因があると思われるが、米国に比べて日本で新車見積サイトが相対的にうまくいかなかった理由はここにある。即ち、そもそもディーラーでの自動車購入エクスピリエンスへの満足度の差が両国の間で顕著であることが、最大の原因であろう。(1999年の日本自動車流通研究所の調べでは、消費者のディーラー体験の記憶で、不満を抱いた消費者の比率は僅か6.2%のみとなっている)

事実、日本における主要新車見積サイトでは、そのビジネスモデルを見積もり斡旋による紹介料ビジネスから買取車両斡旋やディーラー支援サイトへと中身を変えつつある。

それでは、両国の新車ディーラーに対する価格見積サイトの今後の影響はどうなるだろうか?

最大のキーポイントはインターネットを通じた販売プロセスが一部代替すると思われるセールスマンのコスト構造である。

米国の場合、歩合制=変動費となっているため、売上の減少は人件費の抑制に繋がる反面、日本の場合は給料制=固定費であり、販売不調の場合でも人件費だけは掛かる。

よって、記事にもあるが、米国の場合 販売員の数は減らないだろう。
「販売員はみんな歩合制なので、タバコをふかしながら突っ立っている連中が大勢いても、ディーラーの懐が痛むことはない」。
しかし、販売員に求められる資質は、「如何にお客にクルマを高く売りつけるか」ではなく、クルマという商品及び付帯するサービスの持つ特典を分かりやすく説明する能力へと変わっていくだろう。

一方、日本の場合そもそもディーラー店頭で顧客に与えている満足感は高いことから、単なる見積もり斡旋のインターネットサービスが販売員を代替するとは考えにくい。しかし、一旦新しいビジネスモデルに基づき自宅から今以上の情報収集と購買行動が可能になった場合(例えば、以前 「政府、ネット上で自動車関係の申請手続き、道路運送車両法…」
で書いた電子政府の実現により新しい購入プロセスが確立されるなどに至った場合など)結果として販売員の数を減らすか、米国のように歩合制へと移行せざるを得なくなる可能性もある。

また、日本では新車店頭販売価格の比較サイトのようなものの浸透の余地は大きいだろう。米国での同様のサービスは、ケリーブルーブックが有名だが、メーカーからディーラーへの卸売価格を始めとする各種価格を開示している。日本では同様のサイトの存在は限定的である。

日米何れにしても、自動車がオンラインのみで販売完結するまでにはまだ時間が掛かると思われ、ネットが伸びようと、セールスマンによる販売努力が実を結ぼうと、最後にはディーラーへの来店に結びつくというパターンがまだ暫く続くであろう。

<長谷川 博史>

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