ダイムラークライスラー、三菱自動車の増資に参加しないと…

◆ダイムラークライスラー、三菱自動車の増資に参加しないと発表、重大局面に

ダイムラークライスラーは22日深夜(日本時間23日朝)、三菱自動車への増資 計画に参加せず、今後新たな金融支援もしないことを緊急役員会と監査役会 で決定したと発表した。三菱自が30日に発表する予定だった再建計画は白紙 となり、抜本的な見直しを迫られるとともに重大な経営局面に立たされた。
<2004年04月23日(号外)掲載記事>
——————————————————————————–

大きなニュースが飛び込んできた。

つい先週のコラムで、三菱自動車再生への投資ファンドの関わり方についてコメントを述べたばかりであったが、ダイムラークライスラーの支援が得られないことになるとは。。。三菱自動車に勤務される皆様に置かれては、不安と不満と緊張感の入り混じる大変な数日を過ごしておられると想像する。

先週、企業のバランスシートを元に以下のように区分けした場合、再生の際に一番重要なのは、優良な資産(1)を有しているにも関わらず、それを活用出来ていないときの「改善案の立案と改善実施」であると述べた。

(1)資産 / (2)負債
/  (3)資本

今回のダイムラーの三菱自動車再生への不参加は、このうち(3)の資金面での協力と、(1)の資産活用面での協力(たとえば、既存工場を活用した新モデルの導入など)が得られなくなることを意味する。

一方、不祥事などの影響により、もし販売が激減して現金収入が著しく落ち込むことになれば、資金的にかなり厳しい状況に追い込まれることは考えられるが、今すぐの話をすれば、バックについている三菱グループにより、資金面での支援は(2)、(3)の形で可能であり(支援に出せる金額の絶対額は当初額の7,000億円は割り込むとは思われるが)当面直ぐのキャッシュは何とかなる。

また、一昔前に流行った、自動車メーカーのグローバルコンソリデーションの結果、収益力が大幅増となった事例を数えるほうが難しいという事実を考慮すれば、(1)の「既存資産をダイムラーとのアライアンスを用いてフル活用する」という手法そのものがそもそもベストな手法であったという保証は無い。

三菱自動車のステークホルダー、特に経営陣と従業員の方々は、今回のダイムラーからの金融支援中止の報道を(ニュース価値は大きいものの)冷静に受け止め、寧ろ単独での成長戦略をどのようにして描けるか、という点を集中的に討議したうえで、(1)の具体的な将来像を見せることで、必要な(2)、(3)の金額及び比率を明確に銀行及び株主に提示することに専念すべきである。

先週の繰り返しになるが、優良資産の活用、構築、収益獲得手段の創造が可能なのはモノでもカネでもなくヒトである。人的資源である役職員、特に社員が、地道に今までのやり方を変えていきながら、自社の良いアセットをフル活用することが再生の絶対条件である。

<長谷川 博史>