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コラム

三菱自動車、米国で生産抑制へ。自動車ローンの審査厳格化…

◆三菱自動車、米国で生産抑制へ。自動車ローンの審査厳格化で販売が大幅減
生産能力26.2%減を計画していた米イリノイ工場での操業停止などを拡大へ
<2004年03月26日号掲載記事>
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記事では、「三菱自工の1、2月の米国での販売台数の合計が前年同期比25.7%減の3万6千台にとどまったことに合せて、生産と在庫の調整を行っている」と紹介している。
今回のコラムで取り上げたいのは、日本の自動車メーカーにとってのコア市場である北米でのローン事業失敗→新車販売減→新車開発資金不足→資産売却によるキャッシュ捻出により、「今後の三菱自動車の経営戦略はどうなるのか!」といった大きな話ではない。
寧ろこの記事の見出しである「自動車ローンの審査厳格化で販売が大幅減」という書き方に、もっと基本的な経営の根本に関わる課題を感じるのだ。
それは、「ローンの審査を厳しくしたら(主体)、販売が下がった(客体)」というのが、はたして正しいかということ。
一見正しいように思えるが、本来はローンを用いて車を購入したい人(主体)に対して、ローンの審査を行う(客体)。
つまり販売が前期に比して減少しているのは、ローンの審査を厳しくしたことが理由ではなく、そもそも前期にお金を払えない人たちにクルマを渡していたというところに原因があるはずだ。
クルマが欲しい人がどれだけいても、それが「お金は払えないけど欲しい」という人だとしたら、経営者としてこれを「需要がある」と判断してはならない。
ましてや、三菱の北米での自動車ローンは「一年間の金利ゼロ、頭金ゼロ、一切の支払いゼロ」という三つの「ゼロ」を売りにしていたが、2003年9月の中間期に506億円の貸倒引当金を計上している事実を鑑みるに、「お金は払えないけど、欲しい」という人がかなり居たものと想像する。
会計上は、売上高も利益も(発生主義であれば)お金を回収する前に損益計算書上に計上される。しかし本来販売という行為は、モノを引き渡してから現金を回収するまでの一連の行為を言う。
今回のような、1年間頭金も金利も元本返済さえ無い形でモノを引き渡したとき、会計的にどのように貸倒引当金を設定するか、というのは難しい問題だが、所謂「キャッシュフロー経営」で考えると、詰めが甘かったと言わざるを得ない。
また、米国では既に当たり前に行われていて日本でも徐々に導入が進んでいるローン・リース手法に期間満了時の車両残価を保証するスキームがある。
即ち、借り手(買い手)は車両本体価格の一部(一般的に日本では50%の場合が多い)のキャッシュを分割で支払うことにより、クルマを買うことが出来ることになる。
この手法を用いた場合も、恰もクルマの販売が増加したかに見えて、実は「そもそもお金を(一部しか)払えない人たちにクルマを渡している」可能性は高まることを忘れてはならない。
いつの時代でもローン手法は新たに開発されていくだろう。
また、新しい手法を用いた販売にリスクが伴うのも必然であるが、「自動車ローンの審査厳格化で販売が大幅減・生産台数の調整へ」といった「主客逆転」した見出しの記事はもう見たくないものだ。

<長谷川 博史>

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