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コラム

政府、ネット上で自動車関係の申請手続き、道路運送車両法…

◆政府、ネット上で自動車関係の申請手続き、道路運送車両法など改正へ
「ワンストップサービス」化を実現するため、必要な規定の整備を行う
<2004年03月01日号掲載記事>
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2003年11月に国連が発表した「電子政府ランキング」で、日本は総合18位と低迷している。これまで日本政府は調査軸の中心である「国民にとっての利便性アップ」に対して、インフラ整備に優先的に取り掛かっていたことからすると、必然とも言えよう。
一方、プライオリティの置き方は異なっても、どの国であっても最終的には「政府にとって」都合が良い形より、「国民にとって」利用しやすいことをゴールに置くべきであるのは間違いない。
また、ユーザビリティを上げる為には、当然システムインフラやアプリケーションといった使いやすさに加えて、実際の手続きに沿った基本設計が必要である。
よって今日は、電子政府化の肝の一つである「自動車関係の手続き」が、今後どのようなスケジュールで進められるかを把握し、「ユーザー」の目で見た現行の手続きと電子政府化後の手続きの差を認識すると同時に、電子政府化後も存在するボトルネックの把握と、もう一人の国民である、「事業者」への影響について簡単に纏めてみたい。
1)電子政府化に基づく、自動車登録関連手続きのスケジュール
現時点では、2005年中に車庫証明や登録などの手続きをインターネットで一括申請できるサービスが始まる予定。
2)現状の自動車登録に関連する手続きと、電子政府化後の手続きの違い
・現状例えば今、中古車を購入しようとする場合(移転登録)の手続きは以下のようになる。
1.印鑑証明、住民票を市区町村の役所で取得。
2.車庫証明の申請を地元の警察に提出。
自分の土地であれば保管場所使用権原疎明書(自認書)、
賃貸駐車場であれば、大家さんから、賃貸している事実を証明する
保管場所使用承諾証明書を入手のうえ、車庫の場所を示す地図を付ける。
この申請に基づき、警察が場所を確認したうえで、証明書を発行。
3.売主からは譲渡証を入手、更に自動車税納税証明書も必要。
自賠責の書類も重要だ。(勿論、大前提として車検証は忘れられない。)
4.これらの書類を全て揃えて国土交通省の陸運支局で登録申請。
5.運輸支局に国税の自動車重量税、都道府県税事務所に地方税の自動車税と自動車取得税をそれぞれ納付。
6.登録審査をクリアすれば、陸運支局でナンバーと新しい車検証を受け取る。陸運支局管轄外からの移転の場合は、ナンバープレートを自動車に取り付ける封印作業も必要。
・電子政府化後(2005年以降の手続き)
基本的には当面、現行制度と新制度が運用面では並行して適用される。
以下は現時点で想像される内容であり、運用はこれからとなることから実態とは異なる可能性があることを前提に纏めた。
1.印鑑証明に相当する本人確認は住民基本台帳ネットワークのカードを用いることでクリア。住民票も同様。
2.車庫証明の申請もネットで完了。地図もネットで送付。
3.譲渡証についても、今回の道路運送車両法の一部改正(案)に伴い、「譲受人の承諾を得て、譲渡証明書に記載すべき事項を電磁的方法により登録情報処理機関に提供することが出来ることとする」とのことで、ネットを通じた処理が可能になる。
4.税金などはネットバンキングか現金自動預け払い機(ATM)で払う。
3)電子政府化後も存在する問題点
本人確認~税金の支払いについては住基台帳ネットワークのカードやネットバンキングなどでクリアすると仮定しても(特に住基ネットのカードが重要だが、普及のスピードが追いつくか)インターネットなどを通じた情報のやり取りだけでは終わらない手続きをどのようにクリアするかがポイントになる。
その中でも一番のポイントは封印作業であろう。
前述の通り、ナンバープレートを付け替えるクルマの場合、現状は陸運支局に車両を持ち込んでその場でプレートをビール瓶の王冠のようなもので打ち付けて封印している。  もし今後もこの封印作業を現行制度と同様の形で運用されるのであれば(しかも、陸運支局が平日夕方までしか営業していないという現状が変わらないのであれば)ユーザーがインターネット経由での手続きを行おうと思っても、結局は車両を物理的に陸運支局に持ち込む必要が生じる。忙しい現代人が自動車の名義変更のために平日の混んでいる道をクルマで陸運支局に行く姿を想像するに、ユーザーフレンドリーとは言えない。
ナンバーと車検証は原則的に運輸支局で受け取るとのことだが、郵送などの方法と、それに伴う封印実務の見直しを真剣に検討して欲しいところである。
4)ディーラーにとっての採算悪化
一般的には、こうした煩雑な手続きをユーザーは1.5万円程度(ディーラーにより異なる)の手数料を支払ってディーラーに代行してもらうことが多い。
日本自動車販売協会連合会(自販連、東京・港)の発行している
「第56回(平成15年3月期)自動車ディーラー経営状況調査報告書」によれば、全国1,512社の集計ディーラーの平均手数料収入は4.7億円。
うち、割賦手数料、保険手数料を差し引いた金額は約3.2億円。
一説では、この中の約1.3億円相当が実際の名義変更などに伴う手数料と言われるが、1社当たりの経常利益額が1.1億円であることを勘案するとこの金額はばかにならない。
また、中古車専業店は1.2万社~2万社存在すると言われ、合計小売ベースで3~4百万台を販売していると言われる。
1台当たり1.5万円の手数料と仮定すると、1社当たり3.75百万円の影響となる。
尚、新車、中古車合計した手数料額合計は、年間2,400億円超と莫大である
(1.5万円x3百万台+1.3億円/社x1,512社)。
5)今後の課題
実際には全ての自動車購入者が自らインターネットを通じて登録作業行うとは考えにくく、今後も代行手続きは存在すると思われるが、この手数料を経営期待値として100%事業計画に織り込んでおくことは、あと数年で難しくなる。こうした手数料以外の領域で、如何に収益を確保していくかも(例えば、サービス、リース・ファイナンス、カーナビやETCなど)今後のディーラー経営では大きな課題である。

<長谷川 博史>

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