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コラム

運転免許証の保有、適齢人口の1.4人に1人。高齢者が増え続…

◆運転免許証の保有、適齢人口の1.4人に1人。高齢者が増え続け、若者は減少
昨年末時点では65歳以上が約879万人と、24歳以下(約798万人)を初の逆転
<2004年02月26日号掲載記事>
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少子高齢化の進行とは言われるが、既にここまで来ているのだ。
運転免許保有者というのは、端的にいえば自動車産業の消費者のことである。
その消費者のうち、従来自動車業界への影響力が高かった16歳から24歳の若者層の消費者の数が65歳以上の高齢者よりも初めて少なくなったというのである。
顧客の内訳が変化しているのだから当然ビジネスも変化する。
一番鮮明なのが二輪車だ。ピーク時に320万台あった国内の二輪車の販売台数は現在4分の1の80万台を割っており、二輪車メーカーの活路は基本的に海外に移り、国内では大型化による収益性向上が課題になっている。
他の企業にとっても同様で、経営者としてはどうにもならない若者の減少をいつまでも嘆くよりも市場の中でのプレゼンスを増す高齢者向けのマーケティングに本腰を入れる態度の方が建設的である。
ところがこのマーケットへのターゲットマーケティングは難しい。
第一に、世界中どこにもこの年代層が消費者の中心になった国はなく、ベンチマークすべきベストプラクティスがない。確かに顧客の生涯価値(LTV)とか顧客シェアといった考え方はあるが、主眼は収穫逓増の原理に則り生涯付き合うべき顧客の若年時における関係構築に置かれている。
既に高齢化した顧客に対して初めてアプローチするときにどうするかという面にはスポットが当たっていない。
第二に、各社のマーケティング部門の現役世代も自分より高齢の顧客をしっかりマーケティングした経験が少なく、想像力も働きにくい。
消費経験が少なく、経済環境が似かより、比較的画一的な関心を示す若年層のマーケティングに比較して、価値観も経済環境も長い人生経験を経て多様化しており、成熟した消費者である高齢層のマーケティングは遥かに高度である。
基本的な理論、統計とリサーチ、他市場や他産業のベンチマーク、それらがなかなか入手できないし、あったとしても自らの経験に基づく想像力が使えないから仮説検証のための仮説がなかなか立たないことが多い。
第三に、シニアのTasteは複雑であり、なかなか定量化・顕在化がしにくい。多くの場合、若年層は若者らしい製品・サービスを好むが、シニアは年代層特有の潜在的ニーズを持ちながら年寄り扱いを好まず、表に出さないことが多い。米国ではOldsmobileが従来シニアセグメントに焦点を当てたポジショニングにあったが、そのシニア イメージが強くなりすぎた結果、次の年代層は勿論、当のシニア層からも受け入れられなくなって次第にブランドが高齢化・縮小していった経験を持つ(その後、ポジショニングを変更している)。
このように自社内にも世界にも例がなく、複雑ゆえに大変難しいテーマには違いないが、それゆえに取り組むに値するテーマだと考える。従来は、上述のOldsの例の通り次の世代への拡がりが少なくマーケティング的に非効率な市場だったが、わが国だけを考えてもこの下のどの年代層よりも裕福な世代であるうえ、今後各国が確実に同じ道を歩む(特に一人っ子政策の隣国中国)ことが分かってきた。
いま、日本企業にとってマーケティング的に取り組む価値は増大しているはずである。
そこまでは分かっているが打つべき手が難しいということであろう。あくまで仮説に過ぎないが、体力、視力、判断力の衰えから安全技術、快適装備の潜在的ニーズはあるはずだが、それをシニアTasteではなく、先進技術、高級装備として打ち出していく方向性等は検証してみる価値があると思われる。

<加藤 真一>

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