大手損保6社の昨年4-12月期の業績(単独)、上位5社が自… 

◆大手損保6社の昨年4-12月期の業績(単独)、上位5社が自動車保険で減収
<2004年02月09日号掲載記事>
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損保の正味保険料収入(売上高)の5割前後を占める自動車保険だけを見ると主要損保9社・グループのうち8社が前年割れとなり、その原因が無事故割引の拡大や保険料値下げなど価格競争激化による保険料の単価下落によるという。
最大手の東京海上でも自動車保険の正味保険料収入は前年同期比2.3%減。
微減のように聞こえるが、数量減ではなく単価減だけに収益減少と費用減少が直結しないので利益に直接効いてくるという問題がある。
因みに損保会社の経常利益率は大体7~8%である。
誤解のないように補足しておくと、保険料収入は自動車保険が全てではないし、保険料収入以外にも資産運用収益など沢山の懐があるうえ、固定費の圧縮も進められているので、この結果が損保会社の経営を揺るがす等ということではない。
しかし、自動車業界人として読み取る必要があるのは、この結果を損保会社が放置されるはずはなく、支払保険料の抑制策がいっそう強化されることに警戒心を持って対応策を用意しておくべきではないかということである。
自動車整備売上の2割を占める事故整備は平成14年に前年比11%減少している。規制緩和で落ち込みが激しく総売上への貢献度合いも低い定期点検整備を除けば最大の下落率である。
その原因の一つに、事故査定や指定工場への誘導の強化やリサイクル部品の使用推奨など損保会社の支払単価抑制策の強化が指摘されている。その傾向がいっそう強まる可能性があることをこの記事は示しているのである。
整備売上の減少は部品売上の減少を呼び、この二つが自動車ディーラーの最大かつ安定的な利益源なのでディーラー経営を圧迫し、それを主な取引先・販売窓口として高いアフターマーケット収益を上げている自動車メーカーや部品メーカーの採算に連鎖する。業界人全てが危機感を持って限られた市場での顧客管理、付加価値、コスト管理を強化していくことと考えたい。

<加藤 真一>