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コラム

日産リーフ レンタカー利用報告

◆日産レンタカー、2月10日から電気自動車「リーフ」貸し出し

「日産レンタカー」ブランドでレンタカー事業を展開する日産カーレンタルソリューションは 2月 10日から、日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」のレンタルを開始すると発表した。

<2011年 1月21日 日刊自動車新聞>

◆電気自動車の普及後押し、充電器設置の手引書

国土交通省と経済産業省は、EV の充電設備に関する一般向けのガイドブックを作成した。(中略)政府は 2030年に自動車の国内販売台数の 3 割を EV にする目標を掲げており、その達成を後押ししたい考えだ。(中略)政府は充電設備について、20年までに普通充電器 200 万基、急速充電器 5 千基の設置を目標に掲げている。

<2011年 1月 5日 日本経済新聞>

◆神奈川トヨタ 横浜の12店充電設備導入 他社EVに開放

神奈川トヨタ自動車(横浜市)は EV、PHV 用の充電設備を大規模導入する。
(中略)設置した充電設備は日産の「リーフ」や三菱自の「アイ・ミーブ」といった、他メーカーの EV 利用者にも開放する。

<2011年 2月 4日 日経産業新聞>

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上記記事の通り、2月 10日よりリーフのレンタルが開始された。早速、先週
末に利用してみたのでその概要と 1 ユーザーとしての感想を報告したい。
 

【予約】

予約は日産レンタカーのHPより行う。リーフのレンタル予約受付は 1月中旬から開始すると発表されていたが、筆者は 1月末に申し込んだ。

従来のレンタカー予約と同様に予約確認はメールで配信される。この際メールには次のような注意事項が付記されている。

「走行可能距離は最大で 160km 程度となっておりますが、季節や道路状況、お客様の運転状況によって大きく変化いたします。特にエアコンやヒーター等を使用されますと大幅に電力を消費し、走行距離が減少いたしますのでご注意ください。」

リーフに関心のある方は“あれ?”と思われるのではないか。リーフの公表の航続距離(JC08 モード)は最大で 160km ではなく、 200km のはずである。
早速、日産レンタカーの HP で確認してみると次の説明がある。

「リーフの最大走行可能距離は充電量 100 %(満充電)で 200km (JC08 モード)です。日産レンタカーでは 80 %以上(注 1)での貸出が原則となりますので、最大走行可能距離は 160km 程度となります。

(注 1)充電方式の違いにより最大で 80 %の充電量となります。」

上記の記述には若干の説明が必要であろう。

電池への充電の方式には主に時間をかけて緩やかに充電を行う普通充電と高電圧を使って短時間で行う急速充電がある。電池の寿命を保つ意味もあり、急速充電の場合の充電量は 80 %である。日産レンタカーの店舗では充電を急速充電で行うことも想定して、レンタル・サービスに供せられる場合のリーフの最大走行可能距離は 160km(200km x 80 %) としている、ということであろう。
つまり電池を満充電(100 %)とした場合の最大走行可能距離は 200km (JC08モード)であり、公表されている説明と矛盾するものではない。

とは言え、エアコンやヒータ-等を使いながら走行した場合、走行距離は減少する。リーフに乗り慣れないレンタカー・ユーザーとして、このあたり運転中の心理面でどの程度の影響があるものか、実際に走って確認してみた。
 

【走行と電力消費】

リーフの乗り心地については既に多くの評価が発信されているのでここでは詳細を述べるのは控えたいが、一言でいって「大変快適」であった。初動時の加速感は電気自動車らしく力強い。内燃機関がなく静かになった車両はその他の複数の低騒音対策の導入で更なる静寂性が実現されている。剛性も高く、バッテリーが床下に配置されていることもあって低重心でコーナーリングも軽やかである。高速時の駆動モータの振動・騒音も分布巻の効能か感じられるレベルのものではなかった。電動負圧ブースタを使ったブレーキも全く違和感はない。「走る・止まる・曲がる」車としての完成度は高いと感じた。

エアコンはどうか?電気自動車は駆動用モーター以外ではエアコンの電力消費量が課題となる。

リーフの冷房機構にはパナソニックのスクロール式電動コンプレッサーが採用されている。スクロール式は効率が良く、低騒音 / 低振動が特徴という。
パナソニックは家庭用エアコンの製造ノウハウを自動車用にも応用することで量産規模を拡大しコストを抑える意向とのことである。

暖房機構についてはコスト上の観点もあり従来のエンジン車の暖房機構を使っているという。エンジンに代わる熱源は PTC (Positive Temperature Coefficient) ヒータが採用されている。

リーフの冷房・暖房の最大消費電力はいずれも約 5kW という。電池容量が 24kWh なので、もし目一杯冷暖房を使うと車を走らせずとも 5時間弱で電池が空になってしまうことになる。実際には、年中フルに冷暖房をつけることはないが、今回真冬の首都圏で普通に暖房を入れた場合の電力消費はどうなるか、興味があった。

今回は外気温 3℃という厳しい寒さの中、出発。利用したレンタカー店舗の充電器は普通充電 (200V) で、電池を満充電にして準備してくれていた。

電気の使用量、電池の劣化の状態、運転時の外気温等で実際の走行可能距離は変化する。今回スタート時の走行可能距離はエアコン・オフ時に 155km と表示された。この状態でエアコンをオンとし室内設定温度を 24℃とした。すると走行可能距離は 105km となった。

当日は強い寒波の影響で日中でも 4℃の外気温で、ずっと暖房をつけた状態での走行となった。こういった環境下、ディスプレイが示す走行可能距離は当初予定の通り数値を減らし 75km 走行時点で充電残量は目盛上 1/6 程度となり、充電を行うこととなった。
 

【充電】

利用した充電器は神奈川県内の高速道路サービスエリア (SA) 内にある急速充電器である。

昨年 12月に発売されたばかりのリーフは登録台数も 1月末時点でまだ 1000台に満たないと伝えられているが、SA 内に一箇所だけ設けられた急速充電所は既に利用中であった。充電完了までの時間をドライバーに尋ねると 「あと 50分ほどかかる」との事である。急速充電器は約 30分で 80% の充電が可能と聞いているが、今回利用したこの充電器は古いタイプで、80 %に到達すると一旦充電を停止する機能がついていなかった。幸いにも充電中のドライバーは電池の知識も豊富なようで満充電まで待たずに、自発的に 8 割程度の充電で筆者に充電器を譲ってくれた。

しかし、充電に関する知識があまりないユーザーの中には満充電まで場合によっては 1時間以上も充電器を占有してしまう可能性もあろう。急速充電器であっても 8 割を超えて更に充電を行う場合は充電スピードが各段に落ちると言われている。充電待ちが出た場合には 8 割までの充電で場所を譲るような注意書きが欲しいと感じた。

この古いタイプの充電器は車の充電口へのロックの仕方が複雑で取り外しに時間がかかった。その後、別の SA の急速充電器を利用したが、こちらは 80 %での自動停止機能もついていたし、ロックの仕方も簡単で特に問題は感じられなかった。EV 同様充電器も今後大いに進化していくように思う。

今回はトータルで 205km 走行した。走向上は 2 回の急速充電で足りたが、この機会に普通充電も試してみた。

こちらは通常の私営駐車場に設置されている 200V 充電所である。75分間充電してエアコン未使用時の走行可能距離は 18km から 42km と 24km 伸びた。

この 75分で 24km という数字だが近距離ドライブの充電としては意味があるが、中長距離ドライブ時にはやはり急速充電が必要と感じる。リーフのナビには充電所の位置が表示されるが、比較的充実しているとされる横浜地区でも急速充電所はまだ少ないと感じた。

また、現在設置済みの急速充電所でもディーラーや県庁 / 市庁等に設置されているものは主に本体の営業時間中のみ使用可能であることにも注意を要する。現状土日の県庁や深夜のディーラーで充電のサービスを受けることは原則できない。現在の充電環境下、こういった時間帯に EV を利用するためにユーザーは SA の急速充電器に殺到してしまうことが予想される。先を急ぐ高速道路で充電渋滞が起きてはストレスも溜まろう。一般道路を含めて充電インフラ、特に急速充電器を充実させるための対策が早急に必要であると感じた。
 

【レンタカー利用料】

リーフのレンタル料金は 12時間で 9975 円(基本料金)である。リーフとほぼ同等の車格と見られるブルーバード・シルフィでは 9450 円だ。

一方で現在、殆どの場合充電サービスは無料である。したがって、今リーフをレンタルすれば燃料代はタダとなる。今回 205km 走ったが、仮にガソリン代が Y130/L として、燃費 10km/L の場合は 2600 円でリーフをレンタルする場合のコストメリットがあるとも考えられよう。

しかし、いつまでも充電サービスが無料であるとは思えない。寧ろ、サービス利用の公平感や設置業者のモチベーション向上の意味でも有料化が必要であろう。経済産業省と国土交通省は昨年 12月にガイドラインをまとめ、充電サービスに対して課金できるという見解を示している。

ただ、今後充電器の利用料の徴収を検討する際には、利用料の料金体系、店舗等での平均滞在時間、EV ドライバーに対する利便性の考慮等にきめ細かく対応する必要があろう。また、今後出てくる PHV やマイクロ EV とテスラ・ロードスターでは電池容量に大きな違いがあり、一回あたりの充電量も大きく違ってくるものとみられる。従量課金が公平だが、現在の制度では従量課金は自由にできないなど規制があると聞く。

前回のワンクリック・アンケートの結果でも EV の普及の為には航続距離の向上と充電インフラの整備拡大が上位を占めた。EV の技術開発は自動車メーカーが中心となって取り進められようが、充電インフラの拡充には政府・地方自治体の支援が欠かせない。2030年に自動車の国内販売台数の 3 割を EV にする目標を掲げる政府は思い切った支援策を講じていく必要があろう。

<櫻木 徹>

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