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コラム

脇道ナビ (5)  『私の書斎』

自動車業界を始め、複数の業界にわたり経験豊富なコンセプトデザイナーの岸田能和氏が、日常生活のトピックから商品企画のヒントを綴るコーナーです。

【筆者紹介】
コンセプト・デザイナー。1953年生まれ。多摩美大卒。カメラ、住宅メーカーを経て、1982年に自動車メーカーに入社。デザイン実務、部門戦略、商品企画などを担当。2001年に同社を希望退職。現在は複数の業界や職種の経験で得た発想や視点を生かし、メーカー各社のものづくりに黒子として関わっている。著書に「ものづくりのヒント」(かんき出版)がある。

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第5回 『私の書斎』

アーバン、スタイリッシュ、エグゼクティブ、プレミアム、ギャラリー、ステイタス・・・・とカタカナだらけの説明。おしゃれな店が並ぶ街並みや並木道でゴールデンレトリバーを散歩させる家族やベイサイドの夜景といったこぎれいな写真も添えられている。(但し、小さく「イメージフォト」と印刷されている)そんなマンションのチラシが新聞に折り込まれていた。間取りを見てみると、部屋名は Dining Room、Living Room、Kitchen、Bed Room、Bath Roomといったように英語の表示だった。そして部屋名の後に 6.3 J、4.7J という数字が付いていた。最初は何のことだか分からなかったが、すぐに「J」は「畳」のことだと見当がついた。

つまり、「Japanese Room 6J」なら「6畳の和室」である。もちろん、占有面積などの表示は 82.5 平米といったようにメートル単位になっているが、部屋の広さは畳の方が分かりやすいからだろう。たとえば、「10.4 平米」と言われてどのくらいの広さだと分かる人は専門家くらいしかいない。しかし、同じ広さでも「6.3畳」だと言われれば、たいていの人は、どのくらいの広さかピンとくる。人一人が寝転べる広さが 1畳だということは誰でも知っているし、6畳間がどのくらいの広さであるかも分かっている。しかも、それは単に平面的な広さだけでなく、天井までの高さを含めた「空間」の感覚をつかむことができる。

同じように海外から輸入されているじゅうたんやハイテク機能満載のホットカーペットであっても日本の伝統的な「畳」単位が基本となっている。もちろん、180 センチメートル×180 センチメートルと言ったメートル単位も表示されているが、まずは畳単位で見当をつけるほうが手っ取り早いことは誰しも経験があるはずだ。

ただ、同じ 1畳と言っても京間や団地サイズなどいろいろとあるところが、公式の単位になり得なかった原因の一つであろう。

しかし、「6畳」というとその空間がパッと分かるというのはスゴイことのはずだ。そんな何十年もかけて生活感覚、身体感覚の中に刻み込んできた単位をもっと大切にすることも考えてみるべきだろう。

ちなみに、この原稿を書いている書斎(家族は「クローゼット」「物置」と呼んでいるが)の広さは 1.8畳である。書斎は狭いが、心は広いので、三分の一を洋服用スペースとして提供している。

<岸田 能和>

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