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コラム

勝手にホームページ診断 (9)  『日産 GT-R』

自動車の販売・マーケティング活動におけるホームページの重要性は今後、更に高まっていくことが予想されます。

SE のキャリアを経て、現在は自動車好きの中小企業診断士、Web コンサルタントとして活躍する遠藤康浩が、その商品の持つ特徴や魅力が適切に消費者にコミュニケーションされているか、という視点から車種別のホームページを診断していくコーナーです。

【筆者紹介】
中小企業診断士。住商アビーム自動車総合研究所アドバイザー。(株)NTT-ATテクノコミュニケーションズでSEとして勤務後、経営コンサルタントとして独立開業。現在、中小企業向けホームページのコンサルティングを中心に活動。

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第9回 『日産 GT-R』

【今回の診断ホームページ:日産 GT-R】
http://www2.nissan.co.jp/GT-R/R35/0710/index.html

概要:日産の“スーパーカー”
「速く楽しく安心」なスーパーカーを目指したハイパフォーマンスモデル。乗り手を選ばずに、誰でもハイパフォーマンを実感できるモデルである。
独立型トランスアクスル4WDの採用、走行中でも走行モードを切り替えられる装置なども含め、最新技術が惜しげもなく投入されている。480ps/60kg-mという3.8LのV6 ツインターボエンジンと、2ペダルMTのデュアルクラッチトランスミッションの組み合わせはスーパーカーと呼ぶに相応しいパフォーマンスを発揮する。

診断のポイント:車名からスカイラインがなくなった、新生“GT-R”
販売面だけではなく、日産ブランドを牽引する役割を担ったフラッグシップモデルの戦略は?

【販売以上の役割を担うモデル】

私が自動車免許を取得した頃(13~4年前)、同世代の男性にとってあこがれのクルマは、紛れもなくスポーツカーだった。トヨタのスープラ、日産のスカイラインGT-R、ホンダのNSX、三菱のGTO、マツダのRX-7、中古車情報誌を片手に手頃な値段のものがないか血眼で探した記憶がある。結局は、大学生の身分では手が届くはずもなく、レビンやセリカ、シルビア、シビックなどの現実解を探すことになったのだが・・・

時は流れて、若者のスポーツカー離れが止まらない。かつては各メーカーを代表していたスポーツカーは、軒並み生産中止になっており後継車がない車種も珍しくない。現在、国産車で 2ドアクーペスタイルのスポーツカーは壊滅状態である。時の流れに抗うことはできずに、スポーツカーは「自動車メーカーの顔」ではなくなってしまった。

当時から、スポーツカーは販売面でメーカーに大きく貢献していたわけではない。そこそこは売れていたので、赤字ではなかったかも知れないが、売上の多くをスポーツカーが占めるということはなかった。それでも、スポーツカーは自動車メーカーにとって重要な存在であった。それは、メーカーの技術レベルを示し、またコーポレートイメージを形成する上で、少なからず重要な役割を担っていたからである。私と同世代があこがれたR32スカイライン GT-Rは、日産のイメージそのものであった。

スカイラインの冠が取れ「GT-R」として復活した新生GT-Rは、販売台数を稼ぐ存在ではない。すなわち、低迷する日産の新車販売の反転攻勢をかけるための起爆剤としての役割を担っている。
昔は各社に存在した、象徴としてのスーパーカーを、今、日産が復活させる意図は、日産のブランドイメージ価値を高める役割を期待しているからに違いない。

【日産の「顔」のはずが・・・】

ところが、である。日産の顔になってもらうべき、GT-Rのホームページはというと・・・残念ながらその役割を果たしているかどうか疑問である。

製品のホームページとしては、これでも良いと思う。素っ気ない部分がかなりあるのは気になるが、このようなモデルを購入するのはマニアであることを考えると、ホームページでは細かな情報提供でよいという判断はアリだと思う。かなり高い関心を持つ人が閲覧者であるという意味で、このホームページの作りは理解できる。

しかし、である。GT-Rのホームページは、製品のホームページであると同時に日産の顔になるべきホームページでもあるはずである。あこがれのクルマ、いつかはGT-Rをと思っている人たちに対して、日産ブランドをアピールすることが、GT-Rに与えられた使命であると私は考える。それが出来ているかというと、残念ながらその観点はこのホームページからは伝わってこない。

よく見ると、トップページのフラッシュのリンクにある「Multi Performance Supercar」と「Nissan Technology Flagship」というメニューから、日産のGT-Rにかける思いを見ることができる。でも、素っ気ない単色の文字ばかりのコンテンツで、これではGT-Rに高い興味のある人しか、しっかり読んでくれない。

GT-Rはどんなクルマなのか、なぜ日産はGT-Rを作ったのか、消費者に対するメッセージは何なのか、これをトップページで明確に訴求しなければ、日産のブランド価値向上、ひいては新車販売台数の増加というミッションを達成するには不十分であると考えられる。
街中をGT-Rが走っていること、それ自体が日産の宣伝になるはずである。それと同様に、GT-RのホームページはGT-Rのみのホームページにあらず。フラッグシップモデルに与えられた宿命である。
すべての日産ユーザー(あるいはこれからユーザーになる人々に)GT-Rを通じて日産のクルマづくりの考え方を見せること。これが出来て、初めてGT-Rとのホームページの役割を果たしたことになるはずである。

<遠藤 康浩>

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